2011年10月06日

コワイ話 感情移入

感情移入


775 本当にあった怖い名無し sage 2011/06/18(土) 08:30:27.05 ID:YRHnQlpi0
自衛隊での体験談
ちょっと専門用語が多いので分りにくいかもしれない。

高校卒業後すぐに自衛隊に入隊した俺だったんだが。
7月の後期教育のある日、駐屯地にある小さい資料館の掃除ってのがあったんだ。
班長の説明ではこの駐屯地は元々海軍航空隊の基地で、旧日本軍の遺物みたいなのが置いてあり、
駐屯地祭で一般開放されるからそれに控えた掃除をやるのが教育隊の恒例行事なんだとか。
軍オタの同期は凄い喜んでたが、俺は興味無いのでどうでもよかった。
むしろ戦闘訓練や射撃訓練、行軍訓練やるよりラクでいいやー程度に思ってた。




778 本当にあった怖い名無し sage 2011/06/18(土) 08:40:30.29 ID:YRHnQlpi0
んで掃除が始まると俺はラクそうなショーケースの中の掃除をやっていたんだが
ラップみたいなのに包まれた古い手紙みたいなのを手にとって台から外そうとした時
シミが入って字も薄くなって読みにくいんだけど何コレーっと読もうとしたら
何故か物凄い悲しくなり、凄い勢いで涙がボロボロと流れたんだよね、字も読めないのに。
前のレスで書いてる通り、俺は日本軍信仰とか全くないので自分でも何で泣いてるのか良く分らなかった。
というか涙が流れ始めてから自分が自分じゃないような変な感覚に陥ってて
その後マッチョ同期と班付に抱えられて医務室へ運ばれたらしいのだが、その事は全然覚えていない。
ただ、同期や班付の話だと、物凄い自虐モードでずっと何かに謝ってたらしい。


779 本当にあった怖い名無し sage 2011/06/18(土) 08:48:50.57 ID:YRHnQlpi0
その日の課業外、すっかり復活した俺はキレ気味の別の班の班長に呼び出されて
色々聞かれるハメになった。キレかかってて怖いので全てを正直に話すと
どうもその班長は「見える人」みたいで、心霊事例でノイローゼになるケースもあるので調べておきたかったそうな
見える班長の話だと、演習場の中にある旧日本軍時代には弾薬庫や滑走路だった場所には日常的に居るそうで
そういった類のモノが悪さしていないかという質問だったが
生まれてこの方幽霊なんぞ見た事ないし、そういった体験なんぞ全くないので
見える班長の期待にはそぐわなかったようだが・・・
結局同期に下手な不安を与えると色々マズイので、俺は表面上旧日本軍信者で
毎年終戦記念日には靖国神社に参拝してるような右翼君という事にされた。

俺は元々大学進学の資金確保の為に入隊したので2任期、4年で退官。
昨日開かれた同期会の飲み会では、東日本大震災に派遣されてた現役組の
心霊、非心霊含めた色々シャレにならない話でどんよりしていた頃
丁度あの手紙みたいなモノを思い出して見える班長に聞いてみると
あの手紙は志願した特攻隊員が家族に宛てた最期の手紙で
その遺族から提供して頂いた大変貴重な資料だった
そして、その特攻隊員の戦果は戦果不明(見える班長曰く特攻失敗)だったそうだ


781 本当にあった怖い名無し sage 2011/06/18(土) 08:52:51.70 ID:YRHnQlpi0
その後見える班長に色々と話を聞かせてもらったのだが
旧日本軍兵士の幽霊というのは風貌からとても怖いイメージがあるが
基本的にこちらからちょっかいをかけなければ害のない幽霊が殆どだそうだ
逆にちょっかいをかける相手に対してはとことん容赦が無いとの事
そういった場所への心霊スポット訪問は絶対やめようね
そして俺がこの体験をしたとき、見える班長は俺が手紙に何かイタズラをしたと思っていたようで
俺を呼び出した時は泣いたり笑ったり出来ないぐらいシバいてやる予定だったと笑顔で言われた。

あの時嘘を言ってたらと思うと背筋がゾっとする


  

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2011年10月06日

コワイ話 六体の地厄(「地厄」のつづき)

六体の地厄


269 ◆dNcIErbOh0SZ 2011/06/15(水) 05:48:45.61 ID:PtUo60YM0
1

そもそも「地厄」とはなんなのか
そんなことからTちゃんは語ってくれました

「とても古い霊で、その全てが古墳等に奉られる地位の高かった人」
「その土地を収めていた人で眠りを妨げられた事に怒り襲い掛かってくる」
「霊力はとても強く、最上位に値する」

これが地厄の正体だそうです

そんな地厄が同時に六体もいたらどうなるのか?
起きてはならないことが起きてしまいました



271 ◆dNcIErbOh0SZ 2011/06/15(水) 05:52:27.96 ID:PtUo60YM0
2

今から8年前、Tちゃんも自分の力で除霊が行えるようになったばかりの頃の話です
Tちゃんの元へT母から連絡が入り、集合がかけられたそうです
とある片田舎、原因はやはり土地開発。
山を切り崩しての大掛かりな工事。
そこには明らかに古墳であろうものが多数みつかった
本当であれば直ぐに工事を中止し、国へ届け出るのが普通だそうですが
面倒くさかった現場長が、気が付かないふりをして工事を続行して平らにしてしまったのがいけなかった
もしかしたら、古墳の下にお宝でも眠っていると思い、それを拝借しようとしたのかもしれないとの事
結果は最悪な工事に関わった人の全滅

これだけ数が多いと一人や二人の地厄払師様では手に負えない
で、総勢九人が集められた


272 ◆dNcIErbOh0SZ 2011/06/15(水) 05:53:46.38 ID:PtUo60YM0
今までも二体位の除霊はあったそうですが流石にこの数が同時に、しかも同じ土地に現れたことは
前例が無いそうで、緊急招集がかけられたそうです

普通であればその土地に家を建て、地厄払師様が住み、除霊を行うのですが
数が数だけに家を建てる事が出来ないでいた

そもそも一体の地厄に対抗するのに2~3人で対応するのに人数が足りない。
途方に暮れたそうです・・・
で、出した結論が、周囲を壁で囲みその土地へ踏み入れる人が出ないように封鎖

現在の地厄払師様の数はわずか26人。既に他の場所で除霊をしている人を除くと19人
全員集まってギリギリの対応、しかし、それでは他で何かあったときに対応出来ない
壁の建設は直ぐに始まった。範囲は一辺800mにも登る正方形を壁で囲む
周辺住人にも上手く説明しなくてはならない
幸いだったのは周辺に大きな住宅街等は無く年寄りの多い地域だったことだ



273 ◆dNcIErbOh0SZ 2011/06/15(水) 05:54:53.83 ID:PtUo60YM0
4

しかし、問題はこれで終わらなかった。
翌日、近くの旅館に泊まっていた地厄払師様二人が消息を経った
慌てて例の土地を見に行く
「持って行かれてる・・・・」
全員一目見てわかったそうです
いままで前例の無い事・・・
地厄支配下外への攻撃・・・
この時ほど怖かった事は無いとTちゃんは言ってました

しかもこの時持って行かれた二人は地厄払師様の中でも最も霊力の強かった二人
完全に勝ち目が無いと痛感し、逃げるように非難したそうです


274 ◆dNcIErbOh0SZ 2011/06/15(水) 05:56:04.41 ID:PtUo60YM0
5

現在、この場所は周囲を壁で囲み、近辺住人にはダムを作るという名目で強制退去
実際にダムになるかは判らないそうです
そもそもダムを作る間に何人の犠牲者がでるかわからないと涙ながらに話してました

六体いる地厄の内少なくとも一体は歴史上名のある人だったか、そうでなくても
相当位の高い人物だったのは間違いないそうです
そうでなければ、あそこまでの霊力は手に入らないそうです

最後に私から一言
心当たりがあったとしても絶対興味本位で見に行ったりはしないでください
日本でも最上位にあたる地厄払師様達でも解決策の見出せない場所です

ご閲覧有難うございました







  

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2011年10月06日

コワイ話 地厄(じんやく)

地厄(じんやく)


162 本当にあった怖い名無し sage 2011/04/06(水) 12:05:29.99 ID:LgMPazjs0


ちょっと今から25年前の小学3年生だった頃の話を聞いてくれ
C村っていう所に住んでたんだけど、Tちゃんっていう同い年の女の子が引っ越してきたんだ。
凄く明るくて元気一杯な女の子だった
んで、このTちゃんは霊感が強いとかのレベルではないくらいに霊力とも言うべきものを持ってたんだ
正直、ここまで書いただけで近隣に住んでいた人なら「知ってる!」っていうくらい地元では有名な子だったよ
俺、同じクラスだったんだけど、小学3年生だとそんな話ウソって思うわけで俺ももちろん信じてなかった
で、Tちゃんが「じゃあみせてあげるよ」って事になって好奇心旺盛な男子がTちゃんの後をついて行った
その時俺は怖くて付いていけなかった
次の日、俺のクラスは大騒ぎ。
Tちゃんは一旦家に帰ってポラロイドカメラを持ってきて3枚の写真を撮ったそうだ
その全てに思いっきり鮮明に霊が写っていた
今でも鮮明に覚えている

一枚目:木の横でうなだれてる中年の男性
二枚目:顔がグニャグニャに見える甲冑姿の人
三枚目:叫んでいるような顔が画面一杯に写ってる奴

流石にこれを見せられては信じるしかない。
この一軒で男子からは大人気、女子からは怖がられる存在になってしまったんだ
もちろん男子の中にも怖がって近寄らない奴も相当数いたけどね・・・
でも、Tちゃんはそんなこと全く気にする様子もなく、本当に元気でよく笑う女の子だった
正直、俺もTちゃんの事が好きになっていた

このTちゃん、村はずれの一軒家に住んでたんだけど半径100mは一軒も家が建ってないような場所で
だいぶ打ち解けた男子が「何でこんな場所に家建てたの?」って聞いたのよ
Tちゃんは、「お母さんがここに住まないと悪いことが起こるから」と答えた
どうやらTちゃんのお母さんも凄い力ももっているようだった



164 本当にあった怖い名無し sage 2011/04/06(水) 12:37:44.60 ID:LgMPazjs0


その頃、おれんち借家だったんだけど家を建てる計画が出てて土地を探してたのよ
で、小学生の俺はTちゃん家の近くに住みたいとか思っちゃった訳で
村はずれに空き地あるよ!とか母に助言してTちゃん家の近くに家を建てさせようとしたんだ

それで母がその土地を調べてくれたんだけど
不思議な事にTちゃん家の周辺は全て県が保有する土地だったそうだ
んで、県に問い合わせてみたらあの土地を売る気は無いと断られたそうだ
県の保有する土地にTちゃん家のみ一軒
あの頃はダメなんだ位にしか思わなかったが、今考えるとおかしな話だ

この一軒を翌日Tちゃんに話したら
笑いながら「それはそうだろうね、ダメだよ!あそこに住もうとか考えたら」って言われた
正直、聞くまでも無く何かしらあるんだろうとは思っていたけど
こんな事になるとは夢にも思わなかった・・・・

Tちゃんの事が好きな男子が皆でTちゃん家に遊びに行きたいと申し出たのだ
Tちゃんは普段見せたことの無いような顔で「危ないから絶対ダメ!」と断った

しかし、どうしても行きたい男子(俺含む)は勝手にTちゃん家に隠れて行っちゃおうということになり
学校帰りに皆で向かったんだ
最初に驚いたのはTちゃん家を中心に大きくトゲトゲのついた金網がはりめぐされ、
Tちゃん家へ向かう道以外に進入経路が絶たれていたことだ。
Tちゃんに隠れて家に行くのが目的だった俺たちは、道以外の場所から入ろうと言う事になり
金網をよじ登ってTちゃん家の裏側に回りこむようにTちゃん家に向かった



175 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/04/06(水) 14:59:17.95 ID:LgMPazjs0


地面は土に小石が沢山混ざったような感じで草一本生えてなかったのが印象に残ってる
多分丁度金網とTちゃん家の真ん中位まで歩いた時
一緒に来た男子の一人が悲鳴を上げながら走り出した
それにつられる様に俺も含め全員その男子の後を追う
金網を傷だらけになりながら登って学校まで逃げた

最初に逃げ出した男子にどうしたのか聞くと
黒い霧みたいなものが俺たちを包み込もうとしてたらしい
結局その霧をみたのは一人だけだったが
その男子は俺たちの中では一番頭が良くウソを言うような奴じゃなかった
まぁ、それ以前にTちゃんに危ないと言われていたので疑う理由も無いわけだが・・・

次の日、学校でTちゃんに話そうとしたんだけど
俺らが話す前に凄い剣幕でTちゃんが怒り出した

「なにしてるのよ!!!」

初めて見るTちゃんの怒り顔だった
その後Tちゃんに言われるがまま授業を受けずTちゃん家方面に引っ張っていかれた
金網のより200m位手前で立ち止まり、ここで待つように言われる

1時間半位待ったと思う。
一人の女性が俺たちの前に来た。Tちゃんのお母さんだ
俺たちを見るなり「本当にごめんなさいね。大丈夫だからね。」と
正直凄く不安になるような事を言い出した。

そのままTちゃんのお母さんとTちゃん家へと向かう
家の壁にはお札みたいな楕円形の紙が沢山貼ってあった



176 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/04/06(水) 15:00:31.64 ID:LgMPazjs0

家に入ると白い衣装を着たTちゃんが正座していた
Tちゃんのお母さんは家に着くなりTちゃんに向かって
思いっきりビンタをして「あんた!何したかわかってるの?!」と怒声をあげた。
Tちゃんは鼻血を出しながらお母さんに「ゴメンナサイ。ゴメンナサイ」と
泣きながら謝っている。
「私じゃなくてこの子達に謝りなさい!」とTちゃんのお母さん(以下T母)が言って
俺たちに何度もTちゃんが「ごめんね。ごめんね。」と繰り返した

幼心ながら状況解らないし、悪いのは俺たちだし、大好きなTちゃんが鼻血を出しながら謝ってるのに
耐え切れず、皆大声を出して泣いてしまった

T母は何処かに電話を入れる
俺たちには聞こえない位置だったので何を話しているのかまでは解らない
その後、俺たち全員の家と学校へ電話を入れて、俺たち全員の母親と兄弟のいる人はその兄弟も呼ばれた

1時間位で全員が揃った。
どうやら県庁からも連絡が行った事を後から知る。

その後もう1時間位経った頃、Tちゃんと同じような服を来た20手前に見える女の人が到着する
その女の人が俺たちを見るなり「だいぶ持っていかれてますね・・・急ぎましょう」と言った
もう、何がなんだかわからず泣くしかなかった
俺の母親も泣いてるし怖くて仕方なかったのを覚えてる



177 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/04/06(水) 15:01:19.00 ID:LgMPazjs0


多分お払いだったんだと思うけど、TVで見るようなお払いとは全く違っていた
一言も喋らないし、正座したまま目を瞑って動かない
ただ、その間俺は意識が朦朧として耳の奥というか頭の中心からうなり声みたいな声が聞こえていた

やがて、そのうなり声がだんだんと大きくなっていき、最終的には聞こえなくなった
時間にして10分位だと思う

T母に「とりあえずこれで大丈夫ですが、お母さん達は残って下さい」と言われ
俺たちは午後からの授業を受けにTちゃんと学校へ戻った
先生には事情が伝わっていたらしく「大変だったな」と慰められたのを覚えてる

その次の日からTちゃんは人が変わってしまったかのように暗く無口になってしまった・・・
俺たちが話しかけても無視され、笑顔を見ることは一切なかった・・・
そして3ヵ月後、先生から転校した事を告げられる

俺たちは、自分がTちゃんをあんな風にしてしまったとずっと後悔の日々だった


小学校3年生編は以上です
実はこれを書いた理由は、昨日Tちゃんに25年ぶりに会いました
俺の母と元Tちゃん家に行ったんです
母の話だと2011年の4月~5月の間にもう一度集まるように言われていたそうです
そこで色々な謎が解けました。
文章打つの遅いので端折りますが、要望あるようなら夜にでも書いて見ます

所で楕円形のお札とか正座で尚且つ無言で行うお祓いについて知っているかたいませんかね?



218 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/04/06(水) 19:08:46.03 ID:LgMPazjs0


後日談と補足

去年の秋だったと思う。母から電話があり、4月4日実家に来いとの事
5日は会社休みをもらうように言われた
詳細は全く聞かされなかった。

4月4日
仕事終了後、2時間半かけて実家に帰宅
豪華な夕飯を出されたが何故帰って来いと言ったのかは教えてくれなかった

4月5日
朝4時半にたたき起こされる
出かけるから着替えろとの事
実は帰宅した際に駅で小学3年の時の友人と会っていたので何となく予想はしていたが確信に変わる

向かった先はやはりTちゃん家
しかし現地に到着してびっくりした
金網だった場所は高さ3M以上はあろうかというねずみ返しが付いた塀になっており
その上にはトゲトゲのついた鉄線が貼ってあった。
刑務所の壁にみたいな構造だ
嘘か本当か高電圧注意の看板まで付いてる
ちなみにあの事件以来、この場所に近づくことは禁止されていた
(禁止されてなくても近づかなかっただろうけど・・・)
道沿いに歩くと鉄で出来た門があり入り口にリクルートスーツの男性が立っていた
母が名前を名乗り、身分証明書を求められる。
本人確認が終わるとカギを開け「中にどうぞ」と案内された
俺の予想ではこの塀の真ん中にTちゃん家があるものだとばかり思っていたが
塀の中には全く何も無い。例の土に小石が混ざったような地面があるだけだった



219 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/04/06(水) 19:11:01.68 ID:LgMPazjs0


そこに3人の女性が記憶にある白い服着て立っていた
「○○君?」
俺の名前が呼ばれる。
一目見てわかった。Tちゃんだ
俺はどうしても謝りたくて真っ先にTちゃんに向かって
泣きながら土下座した

その後、10分もしないうちにあの時のメンバーが揃い
やはり皆考えることは同じようで真っ先に謝りに行っていた
土下座までしたのは俺だけだったけど・・・

なにより嬉しかったのはTちゃんが昔のように明るくいてくれた事だった

まず自己紹介がされた
3人の女性は、T母、Tちゃん、25年前にお払いをしてくれた女性の3人だった
3人とも世間で言う氏名ではなく何か凄い長い名前(戒名みたいな名前で自己紹介してました)

呼ばれた理由はこの土地の開放と俺たちの守護霊の供養

どういうことかというと、この塀で囲まれた場所には地厄(じんやく)と呼ばれる
土地に巣食う者がいました。
自縛霊の上位版とでもいいましょうか、その場所に足を踏み入れた者に不幸というか
ぶっちゃけ死んだり、神隠しにあったりさせる凶悪な奴らしいです

地厄を無に返すには半年近く地厄専門のお祓い師を置かなければいけないそうです
今回は県からの依頼でT母がその役に選ばれたみたいです
実際に地厄が無に帰るのは25年後。
その間にまた犠牲者が出ると、そこからまた25年後になるそうです



220 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/04/06(水) 19:12:41.55 ID:LgMPazjs0


本来であれば人間の六感で無意識に近づかないようにするそうなんですが
意識してそこに行こうとする気持ちが強い場合それを跳ね除けてしまうそうです

俺たちの場合は、多分全員Tちゃんの事が好きだっただろうから
それで押しのけてしまったんだと思う

ただ、黒い霧を見たというのは幻覚だったみたいです。
地厄は目を通して見ることが出来ないそうなので
六感か守護霊による警笛と恐怖心から来るものだそう。

事の発端はこの頃土地開発が進んでいて、その場所にも住宅街が出来る予定だった
最初は平らな土地では無く起伏の激しい森林だったそうだ
それを切り崩して土地をならして出来た場所だったんだけど
その作業中に行方不明者が二人出た
よく見ると古墳のような人工的な出っ張りがあったんだけど、それも一緒にならしてしまったみたいで
それを村の役人が聞いて地厄の可能性を示唆
県が買い取りを決めお払いを始めたそうです

これが驚いたのですが、俺たちの守護霊というべき者は俺たちの代わりに地厄に持っていかれたそうです
本来ならば俺たちが消されていた所を守護を変わりに捧げる形にしたのが
25年前のお祓いだったようです


221 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/04/06(水) 19:13:43.18 ID:LgMPazjs0


まず、土地の開放。
白衣装の3人が地面に座り足を広げ黙祷する
そうすると表現しづらいんだけど空気が変わると言うか地厄が消滅していくのが何となくわかる

次に守護の供養
これは前に見た正座で黙祷の状態
供養が終われば自然と新しい守護が生まれるそうです
(今まで守護霊無しでいたことが怖かったw)

これで全て終了ですが最後にちょっと小言を・・・・

Tちゃんの態度が変わったのは俺たちがTちゃんを好きでいたことがばれたからでした
同じ事が起きないように誰とも会話せず交流を絶ったそうです
正直、Tちゃんの事好きなのばれたのが一番きつかった。恥ずかしすぎるw

読み返してないので抜けてる部分等あるかもしれませんが、
解らない所あったら解る範囲でお答えしたいと思います
ご閲覧ありがとうございました





  

Posted by アマミキョ  at 15:31Comments(0)TrackBack(0)怖い話

2011年10月04日

心霊イイ話 縁




942 本当にあった怖い名無し sage 2011/04/30(土) 11:18:38.63 ID:rQ5QpZpP0
スレチだったら、ごみん。

174 :本当にあった怖い名無し:2011/04/25(月) 13:20:27.32 ID:FXE7P+OE0
私の父が、結婚前に私の母の実家に泊まった時の話。

父の夢に「カズ、カズよう」と呼ばわる猫が出てきた。
頭のてっぺんと尻尾の先だけが丸く黒い特徴的な猫で、
夫の顔を覗き込んで、これは違うと言いたげに首を振って
「カズよう、カズよう」とどこかへ行く夢。

2日連続で同じ夢を見たので気味が悪くなって、母に話したら、
ご近所にそれとそっくりな猫が居ついていると言われたそうだ。
居つかれた家では迷惑そうだったので、
これも何かの縁と父が当時住んでいた実家に連れて帰ったところ、
離れに住んでいる独身の叔父(私から見て大叔父)に懐き、
死ぬまでずっと離れで暮らしたとか。

叔父の名前は「カズユキ」。
どういう縁かは知らないが、わざわざ探してたんだなあ、という話。


  

Posted by アマミキョ  at 19:12Comments(1)TrackBack(0)心霊ちょっとイイ話

2011年10月04日

心霊イイ話 親子喧嘩

親子喧嘩


963 こぺぺ sage 2011/05/07(土) 09:19:56.86 ID:4jw2/ZYIP
191 :本当にあった怖い名無し :sage :2011/05/07(土) 03:48:18.69 ID:7QlTRPRG0(3)
来年定年を迎える親父から聞いた話。
うちの実家は代々男たるもの・・・みたいな気風があったらしく、男児は皆何かしらの武術を嗜むのが暗黙の了解だったそうだ
親父の親父(父方の祖父)はその中でも傑出してて、空手・柔道・合気道・刀剣術・銃剣術なんでもあり。戦地も経験済で、いかつい大男だったそうな。
親父も子供の頃、祖父から空手を習ったがまるでモノにならず、よく鬼のような顔した祖父に木刀で頭や尻をひったたかれたらしい。
で、大人になった親父は家を出て働こうとしたんだけど、英才教育(?)が祟ったのか、威勢が良すぎてどこの同僚とも上手く行かずにクビ続き。
酒と女に溺れ、今で言うDQNニートになっていた。女のとこ行ってたから引きこもりではなかったらしいけど。


192 :本当にあった怖い名無し :sage :2011/05/07(土) 03:49:04.13 ID:7QlTRPRG0(3)
そんなある日、悪い仲間と酒を飲み、女を抱き、泥酔して部屋に戻って眠った親父。
すると部屋にいきなり、日本刀を抜いた祖父が怒鳴りこんできた。

「今までは若さゆえそういうこともあろうと見逃していたがもう我慢ならん。我が家の男児として恥ずかしくないのか」

親父は仰天したものの、酒に酔い、血気盛んであったので

「抜き身で現れるとは、親父こそどういう了見だ。耄碌したか、ヒヒ爺め!」と殴りかかった。

二人はしばらく争いあったが、もともと威勢だけの親父は祖父に散々にぶちのめされ、泣いて土下座した。
祖父は親父に数時間(体感時間だそうだ)説教した後、「心を入れ替えなければ何度でも来るぞ。いいな、いいな」と何度も念を押して帰っていった。




964 こぺぺ つづき sage 2011/05/07(土) 09:20:56.91 ID:4jw2/ZYIP
193 :本当にあった怖い名無し :sage :2011/05/07(土) 03:50:16.83 ID:7QlTRPRG0(3)
そこで親父ははたと目を覚ました。散々暴れたはずの部屋の中も特に乱れた様子はない。しこたま殴られ蹴られたはずの体、アザも痛みもない。
夢だったのかと首を傾げるも、あの生々しさは心に残った。
そして次の日。祖父が業病に倒れたという知らせが入り、葬式をするので戻ってこいという連絡。
祖父の顔には大きな青タン、頬は真っ赤に腫れて、まるでどこかでケンカでもしてきたかのようだったそうだ。
親父は仰天し、祖母に聞いてみると、昨日、親父が寝ているはずの部屋から人が暴れるような音が聞こえ、様子を見に行ってみるとそうなっていたとのこと。
親父は感極まって、昨日の夢の話をし、親族全員で号泣したそうだ。それから親父は心を入れ替え、会社に勤め、母と出会い、俺たちを育て、今こうして話している。
親父は「出来の悪い息子を殺すつもりで来たのだろうが、結局それが出来ず、自分だけ怪我して帰るとはまったくあの人らしいよ」と笑っていた。

長文失礼。あんまり笑えない事に気づいたが、親父は笑っていたので書き込みしました。


  

Posted by アマミキョ  at 19:07Comments(0)TrackBack(0)心霊ちょっとイイ話

2011年10月04日

コワイ話 姦姦蛇螺

姦姦蛇螺


707 姦姦蛇螺(1/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:37:02.88 ID:0WuN67Vj0
小中学の頃は田舎もんで世間知らずで、特に仲の良かったA、Bと三人で毎日バカやって荒れた生活してたんだわ。


オレとAは家族にもまるっきり見放されてたんだが、Bはお母さんだけは必ず構ってくれてた。あくまで厳しい態度でだけど、何だかんだ言ってBのためにいろいろと動いてくれてた。

そのB母子が中三のある時、かなりキツい喧嘩になった。内容は言わなかったが、精神的にお母さんを痛め付けたらしい。

お母さんをズタボロに傷つけてたら、親父が帰ってきた。一目で状況を察した親父はBを無視して黙ったまんまお母さんに近づいていった。
服とか髪とかボロボロなうえに、死んだ魚みたいな目で床を茫然と見つめてるお母さんを見て、親父はBに話した。

B父「お前、ここまで人を踏み躙れるような人間になっちまったんだな。母さんがどれだけお前を想ってるか、なんでわからないんだ。」
親父はBを見ず、お母さんを抱き締めながら話してたそうだ。
B「うるせえよ。てめえは殺してやろうか?あ?」
Bは全く話を聞く気がなかった。

だが親父は何ら反応する様子もなく、淡々と話を続けたらしい。
B父「お前、自分には怖いものなんか何もないと、そう思ってるのか。」

B「ねえな。あるなら見せてもらいてえもんだぜ。」
親父は少し黙った後、話した。

B父「お前はオレの息子だ。母さんがお前をどれだけ心配してるかもよくわかってる。
だがな、お前が母さんに対してこうやって踏み躙る事しか出来ないなら、オレにも考えがある。
これは父としてでなく、一人の人間、他人として話す。先にはっきり言っておくがオレがこれを話すのは、お前が死んでも構わんと覚悟した証拠だ。それでいいなら聞け。」

その言葉に何か凄まじい気迫みたいなものを感じたらしいが、いいから話してみろ!と煽った。

B父「森の中で立入禁止になってる場所知ってるよな。あそこに入って奥へ進んでみろ。後は行けばわかる。そこで今みたいに暴れてみろよ。出来るもんならな。」


708 姦姦蛇螺(2/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:38:53.65 ID:0WuN67Vj0
親父が言う森ってのは、オレ達が住んでるとこに小規模の山があって、そのふもとにある場所。樹海みたいなもんかな。山自体は普通に入れるし、森全体も普通なんだが、中に入ってくと途中で立入禁止になってる区域がある。
言ってみれば四角の中に小さい円を書いてその円の中は入るな、ってのと同じできわめて部分的。

二メートル近い高さの柵で囲まれ、柵には太い綱と有刺鉄線、柵全体にはが連なった白い紙がからまってて(独自の紙垂みたいな)、大小いろんな鈴が無数についてる。変に部分的なせいで柵自体の並びも歪だし、とにかく尋常じゃないの一言に尽きる。

あと、特定の日に巫女さんが入り口に数人集まってるのを見かけるんだが、その日は付近一帯が立入禁止になるため何してんのかは謎だった。
いろんな噂が飛び交ってたが、カルト教団の洗脳施設がある…ってのが一番広まってた噂。そもそもその地点まで行くのが面倒だから、その奥まで行ったって話はほとんどなかったな。

親父はBの返事を待たずにお母さんを連れて2階に上がってった。Bはそのまま家を出て、待ち合わせてたオレとAと合流。そこでオレ達も話を聞いた。
A「父親がそこまで言うなんて相当だな。」

オレ「噂じゃカルト教団のアジトだっけ。捕まって洗脳されちまえって事かね。怖いっちゃ怖いが…どうすんだ?行くのか?」

B「行くに決まってんだろ。どうせ親父のハッタリだ。」

面白半分でオレとAもついていき、三人でそこへ向かう事になった。あれこれ道具を用意して、時間は夜中の一時過ぎぐらいだったかな。


意気揚揚と現場に到着し、持ってきた懐中電灯で前を照らしながら森へ入っていった。軽装でも進んで行けるような道だし、オレ達はいつも地下足袋だったんで歩きやすかったが、問題の地点へは四十分近くは歩かないといけない。

ところが、入って五分もしないうちにおかしな事になった。
オレ達が入って歩きだしたのとほぼ同じタイミングで、何か音が遠くから聞こえ始めた。夜の静けさがやたらとその音を強調させる。最初に気付いたのはBだった。

B「おい、何か聞こえねぇか?」

Bの言葉で耳をすませてみると、確かに聞こえた。落ち葉を引きずるカサカサ…という音と、枝がパキッ…パキッ…と折れる音。それが遠くの方から微かに聞こえてきている。


709 姦姦蛇螺(3/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:41:13.50 ID:0WuN67Vj0
遠くから微かに…というせいもあって、さほど恐怖は感じなかった。人って考える前に動物ぐらいいるだろ、そんな思いもあり構わず進んでいった。
動物だと考えてから気にしなくなったが、そのまま二十分ぐらい進んできたところでまたBが何か気付き、オレとAの足を止めた。

B「A、お前だけちょっと歩いてみてくれ。」

A「?…何でだよ。」

B「いいから早く」

Aが不思議そうに一人で前へ歩いていき、またこっちへ戻ってくる。それを見て、Bは考え込むような表情になった。

A「おい、何なんだよ?」
オレ「説明しろ!」
オレ達がそう言うと
Bは「静かにしてよ?く聞いててみ」と、Aにさせたように一人で前へ歩いていき、またこっちに戻ってきた。二、三度繰り返してようやくオレ達も気付いた。

遠くから微かに聞こえてきている音は、オレ達の動きに合わせていた。オレ達が歩きだせばその音も歩きだし、オレ達が立ち止まると音も止まる。まるでこっちの様子がわかっているようだった。

何かひんやりした空気を感じずにはいられなかった。
周囲にオレ達が持つ以外の光はない。月は出てるが、木々に遮られほとんど意味はなかった。
懐中電灯つけてんだから、こっちの位置がわかるのは不思議じゃない…だが一緒に歩いてるオレ達でさえ、互いの姿を確認するのに目を凝らさなきゃいけない暗さだ。

そんな暗闇で光もなしに何してる?
なぜオレ達と同じように動いてんだ?

B「ふざけんなよ。誰かオレ達を尾けてやがんのか?」
A「近づかれてる気配はないよな。向こうはさっきからずっと同じぐらいの位置だし。」

Aが言うように森に入ってからここまでの二十分ほど、オレ達とその音との距離は一向に変わってなかった。近づいてくるわけでも遠ざかるわけでもない。終始、同じ距離を保ったままだった。

オレ「監視されてんのかな?」


710 姦姦蛇螺(4/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:42:11.69 ID:0WuN67Vj0
A「そんな感じだよな…カルト教団とかなら何か変な装置とか持ってそうだしよ。」

音から察すると、複数ではなく一人がずっとオレ達にくっついてるような感じだった。しばらく足を止めて考え、下手に正体を探ろうとするのは危険と判断し、一応あたりを警戒しつつそのまま先へ進む事にした。


それからずっと音に付きまとわれながら進んでたが、やっと柵が見えてくると、音なんかどうでもよくなった。
音以上にその柵の様子の方が意味不明だったからだ。

三人とも見るのは初めてだったんだが、想像以上のものだった。同時にそれまでなかったある考えが頭に過ってしまった。
普段は霊などバカにしてるオレ達から見ても、その先にあるのが現実的なものでない事を示唆しているとしか思えない。それも半端じゃなくやばいものが。
まさか、そういう意味でいわくつきの場所なのか…?森へ入ってから初めて、今オレ達はやばい場所にいるんじゃないかと思い始めた。

A「おい、これぶち破って奥行けってのか?誰が見ても普通じゃねえだろこれ!」

B「うるせえな、こんなんでビビってんじゃねえよ!」

柵の異常な様子に怯んでいたオレとAを怒鳴り、Bは持ってきた道具あれこれで柵をぶち壊し始めた。破壊音よりも、鳴り響く無数の鈴の音が凄かった。

しかしここまでとは想像してなかったため、持参した道具じゃ貧弱すぎた。
というか、不自然なほどに頑丈だったんだ。特殊な素材でも使ってんのかってぐらい、びくともしなかった。
結局よじのぼるしかなかったんだが、綱のおかげで上るのはわりと簡単だった。
だが柵を越えた途端、激しい違和感を覚えた。閉塞感と言うのかな、檻に閉じ込められたような息苦しさを感じた。AとBも同じだったみたいで踏み出すのを躊躇したんだが、柵を越えてしまったからにはもう行くしかなかった。

先へ進むべく歩きだしてすぐ、三人とも気付いた。ずっと付きまとってた音が、柵を越えてからバッタリ聞こえなくなった事に。
正直そんなんもうどうでもいいとさえ思えるほど嫌な空気だったが、Aが放った言葉でさらに嫌な空気が増した。


711 姦姦蛇螺(5/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:43:12.14 ID:0WuN67Vj0
A「もしかしてさぁ、そいつ…ずっとここにいたんじゃねえか?この柵、こっから見える分だけでも出入口みたいなのはないしさ、それで近付けなかったんじゃ…」

B「んなわけねえだろ。オレ達が音の動きに気付いた場所ですらこっからじゃもう見えねえんだぞ?それなのに入った時点からオレ達の様子がわかるわけねえだろ。」
普通に考えればBの言葉が正しかった。禁止区域と森の入り口はかなり離れてる。時間にして四十分ほどと書いたが、オレ達だってちんたら歩いてたわけじゃないし、距離にしたらそれなりの数字にはなる。
だが、現実のものじゃないかも…という考えが過ってしまった事で、Aの言葉を頭では否定できなかった。柵を見てから絶対やばいと感じ始めていたオレとAを尻目に、Bだけが俄然強気だった。
B「霊だか何だか知らねえけどよ、お前の言うとおりだとしたら、そいつはこの柵から出られねえって事だろ?そんなやつ大したことねえよ。」

そう言って奧へ進んでいった。

柵を越えてから二、三十分歩き、うっすらと反対側の柵が見え始めたところで、不思議なものを見つけた。


特定の六本の木に注連縄が張られ、その六本の木を六本の縄で括り、六角形の空間がつくられていた。柵にかかってるのとは別の、正式なものっぽい紙垂もかけられてた。
そして、その中央に賽銭箱みたいなのがポツンと置いてあった。

目にした瞬間は、三人とも言葉が出なかった。特にオレとAは、マジでやばい事になってきたと焦ってさえいた。
バカなオレ達でも、注連縄が通常どんな場で何のために用いられてるものか、何となくは知ってる。そういう意味でも、ここを立入禁止にしているのは間違いなく目の前のこの光景のためだ。オレ達はとうとう、来るとこまで来てしまったわけだ。

オレ「お前の親父が言ってたの、たぶんこれの事だろ。」

A「暴れるとか無理。明らかにやばいだろ。」

だが、Bは強気な姿勢を崩さなかった。

B「別に悪いもんとは限らねえだろ。とりあえずあの箱見て見ようぜ!宝でも入ってっかもな。」

Bは縄をくぐって六角形の中に入り、箱に近づいてった。オレとAは箱よりもBが何をしでかすかが不安だったが、とりあえずBに続いた。


712 姦姦蛇螺(6/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:45:12.30 ID:0WuN67Vj0
野晒しで雨とかにやられたせいか、箱はサビだらけだった。上部は蓋になってて、網目で中が見える。だが、蓋の下にまた板が敷かれていて結局見れない。

さらに箱にはチョークか何かで凄いのが書いてあった。
たぶん家紋?的な意味合いのものだと思うんだが、前後左右それぞれの面にいくつも紋所みたいなのが書き込まれてて、しかも全部違うやつ。ダブってるのは一個もなかった。

オレとAは極力触らないようにし、構わず触るBにも乱暴にはしないよう注意させながら箱を調べてみた。
どうやら地面に底を直接固定してあるらしく、大して重さは感じないのに持ち上がらなかった。中身をどうやって見るのかと隅々までチェックすると、後ろの面だけ外れるようになってるのに気付いた。
B「おっ、ここだけ外れるぞ!中見れるぜ!」

Bが箱の一面を取り外し、オレとAもBの後ろから中を覗き込んだ。

箱の中には四隅にペットボトルのような形の壺?が置かれてて、その中には何か液体が入ってた。
箱の中央に、先端が赤く塗られた五センチぐらいの楊枝みたいなのが、変な形で置かれてた。

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こんな形で六本。接する四ヶ所だけ赤く塗られてる。

オレ「なんだこれ?爪楊枝か?」

A「おい、ペットボトルみてえなの中に何か入ってるぜ。気持ちわりいな。」

B「ここまで来てペットボトルと爪楊枝かよ。意味わかんねえ。」
オレとAはぺットボトルみたいな壺を少し触ってみたぐらいだったが、Bは手に取って匂いを嗅いだりした。
元に戻すと今度は/\/\>を触ろうと手を伸ばす。
ところが、汗をかいていたのか指先に一瞬くっつき、そのせいで離すときに形がずれてしまった。


その一瞬
チリンチリリン!!チリンチリン!!
オレ達が来た方とは反対、六角形地点のさらに奧にうっすらと見えている柵の方から、物凄い勢いで鈴の音が鳴った。さすがに三人ともうわっと声を上げてビビり、一斉に顔を見合わせた。


713 姦姦蛇螺(7/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:46:03.43 ID:0WuN67Vj0
B「誰だちくしょう!ふざけんなよ!」
Bはその方向へ走りだした。

オレ「バカ、そっち行くな!」
A「おいB!やばいって!」

慌てて後を追おうと身構えると、Bは突然立ち止まり、前方に懐中電灯を向けたまま動かなくなった。
「何だよ、フリかよ?」とオレとAがホッとして急いで近付いてくと、Bの体が小刻みに震えだした。
「お、おい、どうした…?」言いながら無意識に照らされた先を見た。


Bの懐中電灯は、立ち並ぶ木々の中の一本、その根元のあたりを照らしていた。
その陰から、女の顔がこちらを覗いていた。
ひょこっと顔半分だけ出して、眩しがる様子もなくオレ達を眺めていた。
上下の歯をむき出しにするようにい?っと口を開け、目は据わっていた。

「うわぁぁぁぁぁ!!」
誰のものかわからない悲鳴と同時に、オレ達は一斉に振り返り走った。頭は真っ白で、体が勝手に最善の行動をとったような感じだった。互いを見合わす余裕もなく、それぞれが必死で柵へ向かった。

柵が見えると一気に飛び掛かり、急いでよじのぼる。上まで来たらまた一気に飛び降り、すぐに入り口へ戻ろうとした。
だが、混乱しているのかAが上手く柵を上れずなかなかこっちに来ない。

オレ「A!早く!!」
B「おい!早くしろ!!」

Aを待ちながらオレとBはどうすりゃいいかわからなかった。

オレ「何だよあれ!?何なんだよ!?」
B「知らねえよ黙れ!!」
完全にパニック状態だった。


714 姦姦蛇螺(8/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:46:51.04 ID:0WuN67Vj0
その時
チリリン!!チリンチリン!!
凄まじい大音量で鈴の音が鳴り響き、柵が揺れだした。
何だ…!?どこからだ…!?オレとBはパニック状態になりながらも周囲を確認した。
入り口とは逆、山へ向かう方角から鳴り響き、近づいているのか音と柵の揺れがどんどん激しくなってくる。

オレ「やばいやばい!」
B「まだかよ!早くしろ!!」

オレ達の言葉が余計にAを混乱させていたのはわかってたが、急かさないわけにはいかなかった。
Aは無我夢中に必死で柵をよじのぼった。


Aがようやく上りきろうかというその時、オレとBの視線はそこになかった。がたがたと震え、体中から汗が噴き出し、声を出せなくなった。
それに気付いたAも、柵の上からオレ達が見ている方向を見た。


山への方角にずらっと続く柵を伝った先、しかもこっち側にあいつが張りついていた。
顔だけかと思ったそれは、裸で上半身のみ、右腕左腕が三本ずつあった。
それらで器用に綱と有刺鉄線を掴んでい?っと口を開けたまま、巣を渡る蜘蛛のようにこちらへ向かってきていた。

とてつもない恐怖
「うわぁぁぁぁ!!」
Aがとっさに上から飛び降り、オレとBに倒れこんできた。それではっとしたオレ達はすぐにAを起こし、一気に入り口へ走った。
後ろは見れない。前だけを見据え、ひたすら必死で走った。
全力で走れば三十分もかからないだろうに、何時間も走ったような気分だった。


入り口が見えてくると、何やら人影も見えた。おい、まさか…三人とも急停止し、息を呑んで人影を確認した。
誰だかわからないが何人かが集まってる。あいつじゃない。そう確認できた途端に再び走りだし、その人達の中に飛び込んだ。


715 姦姦蛇螺(9/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:47:31.92 ID:0WuN67Vj0
「おい!出てきたぞ!」
「まさか…本当にあの柵の先に行ってたのか!?」
「おーい!急いで奥さんに知らせろ!」

集まっていた人達はざわざわとした様子で、オレ達に駆け寄ってきた。何て話しかけられたか、すぐにはわからないぐらい、三人とも頭が真っ白で放心状態だった。


そのままオレ達は車に乗せられ、すでに三時をまわっていたにも関わらず、行事の時とかに使われる集会所に連れてかれた。
中に入ると、うちは母親と姉貴が、Aは親父、Bはお母さんが来ていた。Bのお母さんはともかく、ろくに会話した事すらなかったうちの母親まで泣いてて、Aもこの時の親父の表情は普段見た事ないようなもんだったらしい。

B母「みんな無事だったんだね…!よかった…!」
Bのお母さんとは違い、オレは母親に殴られAも親父に殴られた。だが、今まで聞いた事ない暖かい言葉をかけられた。

しばらくそれぞれが家族と接したところで、Bのお母さんが話した。

B母「ごめんなさい。今回の事はうちの主人、ひいては私の責任です。本当に申し訳ありませんでした…!本当に…」と何度も頭を下げた。
よその家とはいえ、子供の前で親がそんな姿をさらしているのは、やっぱり嫌な気分だった。

A父「もういいだろう奥さん。こうしてみんな無事だったんだから。」

オレ母「そうよ。あなたのせいじゃない。」

この後ほとんど親同士で話が進められ、オレ達はぽかんとしてた。
時間が遅かったのもあって、無事を確認しあって終わり…って感じだった。この時は何の説明もないまま解散したわ。


一夜明けた次の日の昼頃、オレは姉貴に叩き起こされた。目を覚ますと、昨夜の続きかというぐらい姉貴の表情が強ばっていた。

オレ「なんだよ?」
姉貴「Bのお母さんから電話。やばい事になってるよ。」

受話器を受け取り電話に出ると、凄い剣幕で叫んできた。


716 姦姦蛇螺(10/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:48:16.00 ID:0WuN67Vj0
B母「Bが…Bがおかしいのよ!昨夜あそこで何したの!?柵の先へ行っただけじゃなかったの!?」

とても会話になるような雰囲気じゃなく、いったん電話を切ってオレはBの家へ向かった。同じ電話を受けたらしくAも来ていて、二人でBのお母さんに話を聞いた。

話によると、Bは昨夜家に帰ってから急に両手両足が痛いと叫びだした。痛くて動かせないという事なのか、両手両足をぴんと伸ばした状態で倒れ、その体勢で痛い痛いとのたうちまわったらしい。
お母さんが何とか対応しようとするも、いてぇよぉと叫ぶばかりで意味がわからない。必死で部屋までは運べたが、ずっとそれが続いてるのでオレ達はどうなのかと思い電話してきたという事だった。

話を聞いてすぐBの部屋へ向かうと、階段からでも叫んでいるのが聞こえた。いてぇいてぇよぉ!と繰り返している。
部屋に入ると、やはり手足はぴんと伸びたまま、のたうちまわっていた。

オレ「おい!どうした!」
A「しっかりしろ!どうしたんだよ!」
オレ達が呼び掛けてもいてぇよぉと叫ぶだけで目線すら合わせない。

どうなってんだ…オレとAは何が何だかさっぱりわからなかった。一度お母さんのとこに戻ると、さっきとはうってかわって静かな口調で聞かれた。

B母「あそこで何をしたのか話してちょうだい。それで全部わかるの。昨夜あそこで何をしたの?」

何を聞きたがっているのかはもちろんわかってたが、答えるためにあれをまた思い出さなきゃいけないのが苦痛となり、うまく伝えられなかった。
というか、あれを見たっていうのが大部分を占めてしまってたせいで、何が原因かってのがすっかり置いてきぼりになってしまっていた。
何を見たかでなく何をしたかと尋ねるBのお母さんは、それを指摘しているようだった。


717 姦姦蛇螺(11/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:49:23.28 ID:0WuN67Vj0
Bのお母さんに言われ、オレ達は何とか昨夜の事を思い出し、原因を探った。
何を見たか?なら、オレ達も今のBと同じ目にあってるはず。だが何をしたか?でも、あれに対してほとんど同じ行動だったはずだ。
箱だってオレ達も触ったし、ペットボトルみたいなのも一応オレ達も触わってる。後は…楊枝…

二人とも気付いた。楊枝だ。あれにはBしか触ってないし、形もずらしちゃってる。しかも元に戻してない。オレ達はそれをBのお母さんに伝えた。
すると、みるみる表情が変わり震えだした。そしてすぐさま棚の引き出しから何かの紙を取出し、それを見ながらどこかに電話をかけた。オレとAは様子を見守るしかなかった。

しばらくどこかと電話で話した後、戻ってきたBのお母さんは震える声でオレ達に言った。

B母「あちらに伺う形ならすぐにお会いしてくださるそうだから、今すぐ帰って用意しておいてちょうだい。あなた達のご両親には私から話しておくわ。何も言わなくても準備してくれると思うから。明後日またうちに来てちょうだい。」

意味不明だった。誰に会いにどこへ行くって?説明を求めてもはぐらかされ、すぐに帰らされた。一応二人とも真っすぐ家に帰ってみると、何を聞かれるでもなく「必ず行ってきなさい」とだけ言われた。


意味がまったくわからんまま、二日後にオレとAはBのお母さんと三人で、ある場所へ向かった。Bは前日にすでに連れていかれたらしい。
ちょっと遠いのかな…ぐらいだと思ってたが、町どころか県さえ違う。
新幹線で数時間かけて、さらに駅から車で数時間。絵に書いたような深い山奥の村まで連れてかれた。

その村のまたさらに外れの方、ある屋敷にオレ達は案内された。
でかくて古いお屋敷で、離れや蔵なんかもあるすごい立派なもんだった。Bのお母さんが呼び鈴を鳴らすと、おっさんと女の子がオレ達を出迎えた。

おっさんの方はその筋みたいなガラ悪い感じで、スーツ姿。
女の子はオレ達より少し年上ぐらいで、白装束に赤い袴、いわゆる巫女さんの姿だった。


718 姦姦蛇螺(12/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:50:10.10 ID:0WuN67Vj0
挨拶では、どうやら巫女さんの伯父らしいおっさんは普通によくある名字を名乗ったんだが、巫女さんは「あおいかんじょ」?(オレはこう聞こえた)とかいうよくわからない名を名乗ってた。
名乗ると言っても、一般的な認識とは全く違うものらしい。よくわからんが、ようするに彼女の家の素性は一切知る事が出来ないって事みたい。

実際オレ達はその家や彼女達について何も知らないけど、とりあえずここでは見やすいように葵って書くわ。

だだっ広い座敷に案内され、わけもわからんまま、ものものしい雰囲気で話が始まった。

伯父「息子さんは今安静にさせてますわ。この子らが一緒にいた子ですか?」

B母「はい。この三人であの場所へ行ったようなんです。」

伯父「そうですか。君ら、わしらに話してもらえるか?どこに行った、何をした、何を見た、出来るだけ詳しくな。」

突然話を振られて戸惑ったが、オレとAは何とか詳しくその夜の出来事をおっさん達に話した。
ところが、楊枝のくだりで
「コラ、今何つった?」といきなりドスの効いた声で言われ、オレ達はますます状況が飲み込めず混乱してしまった。

A「は、はい?」

伯父「おめぇら、まさかあれを動かしたんじゃねえだろうな!?」
身を乗り出し今にも掴み掛かってきそうな勢いで怒鳴られた。
すると葵がそれを制止し、蚊の泣くようなか細い声で話しだした。
葵「箱の中央…小さな棒のようなものが、ある形を表すように置かれていたはずです。それに触れましたか?触れた事によって、少しでも形を変えてしまいましたか?」

オレ「はぁあの、動かしてしまいました。形もずれちゃってたと思います。」

葵「形を変えてしまったのはどなたか、覚えてらっしゃいますか?触ったかどうかではありません。形を変えたかどうかです。」

オレとAは顔を見合わせ、Bだと告げた。


719 姦姦蛇螺(13/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:50:55.37 ID:0WuN67Vj0
すると、おっさんは身を引いてため息をつき、Bのお母さんに言った。
伯父「お母さん、残念ですがね、息子さんはもうどうにもならんでしょう。わしは詳しく聞いてなかったが、あの症状なら他の原因も考えられる。まさかあれを動かしてたとは思わなかったんでね。」

「そんな…」
それ以上の言葉もあったんだろうが、Bのお母さんは言葉を飲み込んだような感じで、しばらく俯いてた。
口には出せなかったが、オレ達も同じ気持ちだった。Bはもうどうにもならんってどういう意味だ?一体何の話をしてんだ?
そう問いたくても、声に出来なかった。

オレ達三人の様子を見て、おっさんはため息混じりに話しだした。
ここでようやく、オレ達が見たものに関する話がされた。


俗称は「生離蛇螺」/「生離唾螺」
古くは「姦姦蛇螺」/「姦姦唾螺」
なりじゃら、なりだら、かんかんじゃら、かんかんだらなど、知っている人の年代や家柄によって呼び方はいろいろあるらしい。
現在では一番多い呼び方は単に「だら」、おっさん達みたいな特殊な家柄では「かんかんだら」の呼び方が使われるらしい。

もはや神話や伝説に近い話。

人を食らう大蛇に悩まされていたある村の村人達は、神の子として様々な力を代々受け継いでいたある巫女の家に退治を依頼した。
依頼を受けたその家は、特に力の強かった一人の巫女を大蛇討伐に向かわせる。

村人達が陰から見守る中、巫女は大蛇を退治すべく懸命に立ち向かった。
しかし、わずかな隙をつかれ、大蛇に下半身を食われてしまった。
それでも巫女は村人達を守ろうと様々な術を使い、必死で立ち向かった。

ところが、下半身を失っては勝ち目がないと決め込んだ村人達はあろう事か、巫女を生け贄にする代わりに村の安全を保障してほしいと大蛇に持ちかけた。
強い力を持つ巫女を疎ましく思っていた大蛇はそれを承諾、食べやすいようにと村人達に腕を切り落とさせ、達磨状態の巫女を食らった。
そうして、村人達は一時の平穏を得た。

後になって、巫女の家の者が思案した計画だった事が明かされる。
この時の巫女の家族は六人。


720 姦姦蛇螺(14/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:52:24.20 ID:0WuN67Vj0
異変はすぐに起きた。
大蛇がある日から姿を見せなくなり、襲うものがいなくなったはずの村で次々と人が死んでいった。
村の中で、山の中で、森の中で。
死んだ者達はみな、右腕・左腕のどちらかが無くなっていた。
十八人が死亡。(巫女の家族六人を含む)
生き残ったのは四人だった。


おっさんと葵が交互に説明した。

伯父「これがいつからどこで伝わってたのかはわからんが、あの箱は一定の周期で場所を移して供養されてきた。その時々によって、管理者は違う。箱に家紋みたいのがあったろ?ありゃ今まで供養の場所を提供してきた家々だ。
うちみたいな家柄のもんでそれを審査する集まりがあってな、そこで決められてる。まれに自ら志願してくるバカもいるがな。

管理者以外にゃかんかんだらに関する話は一切知らされない。付近の住民には、いわくがあるって事と万が一の時の相談先だけが管理者から伝えられる。
伝える際には相談役、つまりわしらみたいな家柄のもんが立ち合うから、それだけでいわくの意味を理解するわけだ。今の相談役はうちじゃねえが、至急って事で昨日うちに連絡がまわってきた。」

どうやら一昨日Bのお母さんが電話していたのは別のとこらしく、話を聞いた先方はBを連れてこの家を尋ね、話し合った結果こっちに任せたらしい。Bのお母さんはオレ達があそこに行っていた間に、すでにそこに電話しててある程度詳細を聞かされていたようだ。


葵「基本的に、山もしくは森に移されます。御覧になられたと思いますが、六本の木と六本の縄は村人達を、六本の棒は巫女の家族を、四隅に置かれた壺は生き残られた四人を表しています。
そして、六本の棒が成している形こそが、巫女を表しているのです。

なぜこのような形式がとられるようになったか。箱自体に関しましても、いつからあのようなものだったか。私の家を含め、今現在では伝わっている以上の詳細を知る者はいないでしょう。」


ただ、最も語られてる説としては、生き残った四人が巫女の家で怨念を鎮めるためのありとあらゆる事柄を調べ、その結果生まれた独自の形式ではないか…という事らしい。柵に関しては鈴だけが形式に従ったもので、綱とかはこの時の管理者によるものだったらしい。



722 姦姦蛇螺(15/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:54:11.56 ID:0WuN67Vj0
伯父「うちの者でかんかんだらを祓ったのは過去に何人かいるがな、その全員が二、三年以内に死んでんだ。ある日突然な。事を起こした当事者もほとんど助かってない。それだけ難しいんだよ。」

ここまで話を聞いても、オレ達三人は完全に置いてかれてた。きょとんとするしかなかったわ。

だが、事態はまた一変した。

伯父「お母さん、どれだけやばいものかは何となくわかったでしょう。さっきも言いましたが、棒を動かしてさえいなければ何とかなりました。しかし、今回はだめでしょうな。」

B母「お願いします。何とかしてやれないでしょうか。私の責任なんです。どうかお願いします。」

Bのお母さんは引かなかった。一片たりともお母さんのせいだとは思えないのに、自分の責任にしてまで頭を下げ、必死で頼み続けてた。でも泣きながらとかじゃなくて、何か覚悟したような表情だった。

伯父「何とかしてやりたいのはわしらも同じです。しかし、棒を動かしたうえであれを見ちまったんなら……
お前らも見たんだろう。お前らが見たのが大蛇に食われたっつう巫女だ。下半身も見たろ?それであの形の意味がわかっただろ?」

「…えっ?」
オレとAは言葉の意味がわからなかった。下半身?オレ達が見たのは上半身だけのはずだ。

A「あの、下半身っていうのは…?上半身なら見ましたけど…」

それを聞いておっさんと葵が驚いた。
伯父「おいおい何言ってんだ?お前らあの棒を動かしたんだろ?だったら下半身を見てるはずだ。」

葵「あなた方の前に現われた彼女は、下半身がなかったのですか?では、腕は何本でしたか?」

「腕は六本でした。左右三本ずつです。でも、下半身はありませんでした。」オレとAは互いに確認しながらそう答えた。
すると急におっさんがまた身を乗り出し、オレ達に詰め寄ってきた。

伯父「間違いねえのか?ほんとに下半身を見てねえんだな?」
オレ「は、はい…」

おっさんは再びBのお母さんに顔を向け、ニコッとして言った。




724 姦姦蛇螺(16/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:56:13.26 ID:0WuN67Vj0
伯父「お母さん、何とかなるかもしれん。」
おっさんの言葉にBのお母さんもオレ達も、息を呑んで注目した。
二人は言葉の意味を説明してくれた。

葵「巫女の怨念を浴びてしまう行動は、二つあります。
やってはならないのは、巫女を表すあの形を変えてしまう事。
見てはならないのは、その形が表している巫女の姿です。」

伯父「実際には棒を動かした時点で終わりだ。必然的に巫女の姿を見ちまう事になるからな。
だが、どういうわけかお前らはそれを見てない。動かした本人以外も同じ姿で見えるはずだから、お前らが見てないならあの子も見てないだろう。」
オレ「見てない、っていうのはどういう意味なんですか?オレ達が見たのは…」

葵「巫女本人である事には変わりありません。ですが、かんかんだらではないのです。あなた方の命を奪う意志がなかったのでしょうね。
かんかんだらではなく、巫女として現われた。その夜の事は、彼女にとってはお遊戯だったのでしょう。」

巫女とかんかんだらは同一の存在であり、別々の存在でもある…?という事らしい。

伯父「かんかんだらが出てきてないなら、今あの子を襲ってるのは葵が言うようにお遊び程度のもんだろうな。わしらに任せてもらえれば、長期間にはなるが何とかしてやれるだろう。」

緊迫していた空気が初めて和らいだ気がした。Bが助かるとわかっただけで充分だったし、この時のBのお母さんの表情は本当に凄かった。この何日かでどれだけBを心配していたか、その不安とかが一気にほぐれたような、そういう笑顔だった。

それを見ておっさんと葵も雰囲気が和らぎ、急に普通の人みたいになった。
伯父「あの子は正式にわしらで引き受けますわ。お母さんには後で説明させてもらいます。お前ら二人は、一応葵に祓ってもらってから帰れ。今後は怖いもの知らずもほどほどにしとけよ。」


725 姦姦蛇螺(17/20) sage New! 2011/06/26(日) 13:57:34.52 ID:0WuN67Vj0
この後Bに関して少し話したのち、お母さんは残り、オレ達はお祓いしてもらってから帰った。
この家の決まりだそうで、Bには会わせてもらえず、どんな事をしたのかもわからなかった。転校扱いだったのか在籍してたのかは知らんが、これ以来一度も見てない。
まぁ死んだとか言うことはなく、すっかり更正して今はちゃんとどこかで生活してるそうだ。

ちなみにBの親父は一連の騒動に一度たりとも顔を出してこなかった。どういうつもりか知らんが。

オレとAもわりとすぐ落ち着いた。理由はいろいろあったが、一番大きかったのはやっぱりBのお母さんの姿だった。ちょっとした後日談もあって、たぶん一番大変だったはずだ。
母親ってのがどんなもんか、考えさせられた気がした。それにこれ以来うちもAんとこも、親の方から少しづつ接してくれるようになった。そういうのもあって、自然とバカはやらなくなったな。


一応他にわかった事としては、
特定の日に集まってた巫女さんは相談役になった家の人。かんかんだらは、危険だと重々認識されていながらある種の神に似た存在にされてる。
大蛇が山だか森だかの神だったらしい。それで年に一回、神楽を舞ったり祝詞を奏上したりするんだと。

あと、オレ達が森に入ってから音が聞こえてたのは、かんかんだらは柵の中で放し飼いみたいになってるかららしい。でも六角形と箱のあれが封印みたいになってるらしく、棒の形や六角形を崩したりしなければ姿を見せる事はほとんどないそうだ。

供養場所は何らかの法則によって、山や森の中の限定された一部分が指定されるらしく、入念に細かい数字まで出して範囲を決めるらしい。基本的にその区域からは出られないらしいが、柵などで囲んでる場合はオレ達が見たみたいに外側に張りついてくる事もある。

わかったのはこれぐらい。

オレ達の住んでるとこからはもう移されたっぽい。二度と行きたくないから確かめてないけど、一年近く経ってから柵の撤去が始まったから、たぶん今は別の場所にいるんだろな。

レス余っちまったw
以上、http://horror-terror.com/からの転載でした




  

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2011年10月04日

コワイ話 山の恩人

山の恩人


764 本当にあった怖い名無し New! 2011/09/25(日) 20:00:05.81 ID:9evYXBnq0
20年以上前、うちの爺さんの話。
爺さんは近所の山で野鳥の写真を撮るのが趣味だった。
ある日、山から戻った爺さんをみて皆驚いた。背中に大きな切り傷があり血まみれ、全身擦り傷だらけで服はぼろぼろ。
右手の小指が折れており、変な方向に曲がっていた。どうしたのか、と尋ねると、
「それがよう、山でよう、バケモンと一戦交えてきたんだよ、危なくやられるとこだった」
という。家族全員呆れたが、話を聞いてみた。
爺さんはいつものように山奥に入り野鳥を探していた。切り株に腰掛け、弁当を食べ始めると、背後に気配を感じた。
振り向く前に何かで背中をバッサリ切られ、ものすごい力で押し倒されたという。
それはフーッと深く息をしている。茶色の毛むくじゃらで、頭が大きく角はない。
爪がとがっており、前足で威嚇しながら二本足で立つ、見たこともない獣だった。
爺さんは逃げ切れないと判断し、応戦した。
山用のナイフを持っており、それを武器に取っ組み合ったが、形勢不利だった。
なんでも、獣の体に何か所かナイフを突き立てるも、相手はなかなかひるまず、
鋭利な爪で次々と傷を受け、爺さんは半ば死を覚悟したそうだ。

すると、どこからあらわれたのか、男がいつの間にか獣の背後におり、
両手で振り上げた石で獣の鼻先を殴りつけた。獣はあわてて逃げて行ったという。
男は非常に汚らしい格好で、頭髪は薄いがひげの濃い、そして異様に手の長い男だった。
男は助けてやったんだから礼をしろ、と開口一番爺さんに言った。
特に酒とたばこ、味噌がほしいと言う。
爺さんは快諾し、ふもとに戻り有り金はたいて買い物をすると、男のもとに戻った。
男は切り株に座り爺さんのお弁当を食べ、カメラをいじって遊んでいた。
男はお礼の品に喜ぶと、
「また何か困ったことがあったら手土産を持ってここに来い」
と告げると早足で去って行ったという。

家族は誰も信じていなかった。





765 本当にあった怖い名無し New! 2011/09/25(日) 20:01:37.22 ID:9evYXBnq0
そのあと、爺さんはろくに傷の手当をしなかったため、傷口から化膿し炎症にかかり救急車で運ばれる羽目になった。
病院でも同じ話をしたが、やはり誰も信じてくれなかったとか。
俺は信じていた。
一人っ子だったおれはじいちゃんっ子で、よく遊んでもらっていた。
母に禁止されていたが、おれはこっそり爺さんに山にも連れて行ってもらっていた。
爺さんは山に行くたびにお土産と称してワンカップの酒を持っていき、例の切り株に置いていた。
「あのヤローも多分バケモンだろ、でも恩人だからな、義理を通さないとな
それにな、こうしてここに置いておくと、次来たときにはなくなってんだよ
あいつも俺やお前の親父とおんなじで酒飲みなんだよな」
と語っていた。
あの獣について聞くと、
「あん時はやられたが、もうだいじだよ あいつの急所は鼻だってことはわかってるからな、
次に見たらぶっちめて俺たちで新聞屋に売ってやろうぜ」
と言う。
しかし、あの獣や男にはそれ以来会うことはなかったようだ。

爺さんは遺言状を残していた。 爺さんの死後、それを開封すると
遺産や身辺整理などの本題以外に、俺に名指しであの山についての頼みごとが記されていた。
それは、
山にありったけの土産を持っていき、あの切り株に置いてこい
そして俺が死んだということ、俺の家族を守ってくれということを伝えろ
という内容だった。
皆呆れたが、まあ遺言を無下にするのも、ということで俺が代表していくことになった。
俺は友人数人に手伝ってもらい、たくさんの酒、たばこ、味噌を持って行った。
爺さんの遺言通り手紙を添えた土産を置いて俺は山を下りた。
山はそれから何年も経ったあと、開発され、ゴルフ場やリゾート施設が建った。
観光地向けの自然はきれいに残されているが、実態はゴミだらけの汚い山になってしまった。

熱心にリゾート誘致していた地元は喜んでいる。でも、爺さんが見たら嘆くと思う。
あの切り株があったあたりももう跡形もない。男はどうしているのだろうか、たまに思い出す。




  

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2011年10月04日

コワイ話 ハイ

ハイ


734 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/16(火) 09:16:18.67 ID:hJKZtXIlP
自分は親の影響で2つほどの武道を掛け持ちしていて(あまり印象は良くありませんが)
両方とも武器を使わず片方はかなり荒っぽい組み手主体もう片方は型が主体の武道の流派です
この体験は組み手主体の方で体験したことです

武道にかかわらずスポーツの世界ではプレイ中に気分がhighになることが良くありますが
一瞬気を抜いたら突きや蹴りが迫ってくるという武道独特の極度の緊張下ではよく良くわからないことが起きます

ハッっと気づいたら試合が終わっていてなぜか勝っていた 
鼻や腕が折れているのにそのまま痛みもなく普通に殴れる
痛みというものが別の感覚になってくる(自分は殴られる痛みがくすぐられたような笑いに変わっていくことがあります)
相手が人ではない何かに見えてくる

本題は一番下の「相手が人ではない何かに見えてくる」というものです



735 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/16(火) 09:40:08.35 ID:hJKZtXIlP
道場の中では組み手というのは数をこなすとうまくなるというのが考え方で
もう一歩も動けない・・・というコンディションからが本番というかなり厳しい教えられ方です
その練習の中で痛みや疲れなどがピークに達すると時々ゲシュタルト崩壊みたいに「目の前にいるこれは何なんだ?」
というような意味不明な思考に陥ることがあります
それ自体は周りの友人にも聞いても結構な頻度であるのですが自分が一番恐怖に陥った体験があります

そのときも追い込みに追い込みをかけられて「あ・・・これはまたアレか・・・」
とそのときは普通にいつものアレかと思いましたがなぜか目の前にいるものがいつものあやふやな感じではなく
すごく存在がハッキリしているのです・・・ただし目の前に見えたのは人間とは思えない異形のものでした
全身が真っ黒で目も鼻も口も何もないのっぺりとした姿形はかろうじて人間だが足はない
そして何人もの男が組み手をやっていてものすごい音のはずなのにそのとき気づいたら周りの音が一切聞こえず無音

ただ自分はなぜか目の前にいる異形から目を離したら死ぬ・・・と感じ一心不乱にソレと戦っていました
何分か何十分かわかりませんがいつの間にか目の前の異形は戦っていた友人へと変わりまわりの音も普通に聞こえてきました




736 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/16(火) 10:05:41.08 ID:hJKZtXIlP
練習が終わった後組み手をしていた友人に「=上記のことを説明= 自分そのときどんな感じだった?」と聞くと
「ん?普通に組み手やっていたよ特に変わり無く」とまったく何も無かったのかの用に返答してきました・・が
続けて「ただ一瞬だけ良くわからない方向を殴っていたな・・」と後出しで言って来ました

その後は特に大事も無く日常を過ごしていましたが
つい最近道場での集まりで師範にその話をする機会がありました
師範はその話を聞くとうれしそうな顔をしてこういいました
「それは俺も大学のときに体験したことがある、それはソレと思っておけ」
その後師範に言われたことを要約すると

ソレは師範の知り合い中でも体験したことがある人も多く有名とまではいかなくとも知ってる人は多い
姿形は結構変わるらしいが全身黒い脚が無い極度の恐怖心に苛まれるなど共通点も多いらしいです
自分が精神的体力的に極度に疲れたときに現れる
ソレが現れると将来強くなるというジンクスがある

師範はそれを喜んでいましたが自分はまったく笑えませんでした
その後「じゃぁ強くなれるように練習だな!」といわれソレとの邂逅なんぞ屁みたいな恐怖を与えられました

おわり

  

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2011年10月04日

模倣(巣くうものシリーズ⑧)

模倣


1272 名前:本スレ208の128 投稿日: 2011/06/16(木) 10:20:39 ID:8MunFEDQ0
本スレ208の128です。
“巣くうものシリーズ”で纏めてもらってるので、
前と同じく説明は省略。

また時間ができて、少し前にあった話をまとめたんで、気晴らしに投下。
去年の秋の話です。
H、コンパクトの件で懲りたのかと思ったら、懲りてない。
相変わらず『みえる』のを利用してちょいちょい稼いでるようで、
その奴の『小遣い稼ぎ』に関わる話。

いつもHはいらんことする、と奴の絡む話には常に不愉快
(でも他に“みえるひと”の知人がいないため縁切り困難)
のAが、文句より興味で根掘り葉掘り聞いてた、怖いよりは
珍しい(らしい)事例です。

コンパクトの件を投稿してから、何ヶ月かしたころ。
Hから連絡がきて、飲みに行くことになった。
んで呼び出された先が、変な場所だった。
少し距離のある市で、街外れに森っぽい林があって、その中。
おいおい、と思いつつ指示された通り砂利を敷いた道に入ったら、
何か寂れた石碑みたいなもんが奥にあった。
石碑の横で待ってたHに「おいこら」と言うと、奴は
「大丈夫、大丈夫。居るけど、しょぼい奴だから♪」
とかほざいて、カッカッカと笑った。
1273 :本スレ208の128:2011/06/16(木) 10:21:47 ID:8MunFEDQ0
「そーか。んじゃ、とっとと出て飲みに行こうぜ」
と俺が言ったとこで、Hの携帯が鳴って奴が出た。
「はーい♪J(俺。以後、俺の略称はJとします)来たよ。あ、ここ」
Hが携帯を切り、砂利道を歩いてきたBに手を上げた。
「やっほー♪Jくーん」
手を上げ返しながら歩いてくるBの姿。手にはコンビニ袋。
「お疲れー。Bさん、コンビニ行くとき迷わなかった?」
「少しだけ。横道間違えちゃったみたいでした、ここ戻るときも」
答えたBが、コンビニ袋の中身――雑誌とかお茶ペットとかガムとか、
何か細々したものを、下げてたバッグに詰め替え始める。

その隙に俺がHを見ると、小声でコソコソ説明してくれた。
「頼まれごとで、話の段階じゃよくみえなくてさあ。最悪のケース想定して
Bさん呼んどいた。勇み足だったけどねー」
そう言や、会う日時と場所を指定したのはHだった。
何も知らない既婚女性のBを一対一で呼び出せる仲じゃないから、
俺を口実に使いやがったらしい(Cは嫌がったんだろう。怨霊塊憑男Iの
件以来、Bの話はしたくないっぽい様子だから)。

呆れた俺に構わず、Hは続けました。
「JとBさん、仲悪くはないんだよね?今日は一緒に飲みでオッケー?
一軒目でBさん帰して次行ってもいーよ。一軒目、俺おごるよ」
「や、B一緒で全然構わないし。3人でいんじゃね?」
で、そのまま飲む店の相談してたら、またHの携帯が鳴った。
携帯を見たHは、俺とBに向かって言った。
「悪い。ちょい待ってて。少しかかるかもしんないけど」
Bは「J君いるし、大丈夫~。お喋りしてます~」と能天気に答え、
Hは俺だけにこそっと、
「この辺、Bさんいたら寄っても来れない連中ばっかだからさあ。
全く心配しなくていーよ♪」
と言い、夕日の射し始めた木立の間に消えてった。

1274 :本スレ208の128:2011/06/16(木) 10:22:35 ID:8MunFEDQ0
そいでBとダラダラ学生時代のこととか喋ってたら、ものの数分で、
「おい、J(俺)!!」ってHの声がした。
何か妙にあせった声だった。
「……?おう。何だ、早いじゃん」
「あー。ちょい、こっちきて!」
ややあって、道じゃなく横の林の中から現れたHは、頭に蜘蛛の巣を
引っ掛けて肩に葉っぱつけて、変に青ざめていた。
「………?H、何かあったのか」
俺が尋ね、Bも「Hさん~?」と不思議そうに聞いたが、
Hは答えもせずに凄まじい勢いで近づいてきた。
そして俺の腕をがっしり掴んで、結構な力で引っ張りつつ
「来いよ」と言った。
何か変だ、と思って、俺は何となく腕を引く力に抵抗して、
引っ張り合うようになったところへBが割って入るように
近寄って「Hさん、何したんですか?」と言った。

そしたら。ぶったまげたことに、凄い勢いで向き直ったHが
ぱっと俺を放したかと思うと、Bの胸倉を掴んで、ぶん殴った。
バキッと、グーで、女の顔面を。
悲鳴を上げて倒れるB。
俺は仰天して、動くことも出来ずにただHの形相を見ていた。

さらにBを引き起こして2発目を入れようとするHを、
やっと動いた俺が引き止めて手を放させた。
Bは、よろけながら立ち上がり、止める間もなく
「キャ―――――!助けて――――――――!」
みたいに叫びながら、林の中に走りこんで逃げだした。
慌てて追おうとした俺の肩を掴んだHを見て、表情に正直びびった。
これマジでHか?と思った俺の耳に、Aの声が刺さった。
『J君?Hさん?大丈夫――――――?』
「あ―――――――大丈夫!今、撃退したから!」
Hが張り詰めたような大声で返す。
「……ほい、J」
やっと少し表情の和らいだHは、携帯を俺の耳に突きつけた。
『J君?もう居ない?Bのニセモノ』
「……え?」
思わず聞き返した俺に、Aはざらっと説明してくれた。
……さっきまで俺と居て、Hを待ちながら俺と大学時代の話とかしてて、
Hに殴られて走って逃げたBは、Bじゃない、と。



1275 名前:本スレ208の128 投稿日: 2011/06/16(木) 10:23:31 ID:8MunFEDQ0
完全に思考の停止した俺をHが引っ張って、林から普通の道路に出て
しばらく歩いて、コンビニを見つけて近づいた。
もう薄暗くなった駐車場に、Bが居て。携帯をいじってました。
「あ、J君!Hさん!」
元気よく声を上げたBの顔には、殴られた痕など全くなく。
「待ち合せ場所に戻ろうとして道に迷って、コンビニ戻っちゃってー。
メール出しても返事ないから、電波悪いのかなって焦ってたんですよ」
「……うん、電波悪かったしJ来たし、動いちゃった。メールは来てないなあ」
辛うじて笑ってみせたHと、まだ思考停止してた俺の携帯が、一緒に鳴った。

『Bです。すみません!コンビニには着いたけど、そこ戻る道が解らなく
なっちゃいました。コンビニで待ってるので、J君着いたらコンビニ来て
くれませんか?』

着信したメールを読んでやっと頭が動き始め、混乱の渦に巻き込まれた
俺をよそに、HとBはまた飲みの店を相談してた。
決めるとさっさと電話して予約した2人に引きずられ、
とりあえず飲んで喋り、一段落したら早めに店を出て
『主婦だしお子さん居るから、そろそろお開きで』
とHがBを言いくるめて解散し、俺は半ば混乱したまま帰宅しました。


1276 名前:本スレ208の128 投稿日: 2011/06/16(木) 10:24:29 ID:8MunFEDQ0
数日後。Hと連絡を取りA交えて3人で会って、やっと俺は事情説明を
受けることが出来ました。
『分身というか、自分の姿を見る人が出る場所。祟り等がないか
調べてくれ』
との依頼を受け、見た人と直接会ったHが、敵の気配や強さが何故か
読めないことに心配になり保険にBを呼ぶことを考え、口実に俺との
飲みをセッティングしたのは、前述の通りです。

とりあえず気配を探りに1人で現地入りしたHは、相手の気配が
予想以上にしょぼくて貧相なことに拍子抜けしたそうです。
確かに霊的なものが居る、だけど年代物の割りに本当にしょぼい。
相談者に会っても読めなかったのは、しょぼすぎて気配が弱かった
からだ、と納得したほどで。
分身とかを“みせる”以上のことができそうには全く思えないから
気にする必要なし。それが当初のHの結論でした。
「いやね、本っ当に貧相だったのよ。来て損したと思うくらい」と。

で、Bが待ち合わせ場所の石碑に来て、二人でJ(俺)を待ったが、
最悪の事態を想定して(ヤバいモノが居たら、うまいことBのアレを
使ってB当人には気づかせずに片付けよう、と算段してたらしい。
Hのこういうとこが、Aの神経に障るようですが……)、待ち合せ時間を
ずらしてあったので、暇すぎて間が持たない。
Bがガムを欲しいと言ったので、コンビニへの道を教えて行かせた。
1人残って、漂えども姿はない貧相な気配をお遊び程度に探ってるうち、
俺到着。つづいてB帰還。
「その時はね、本当に変だとは思わなかったんだよ。アレもいたし」


1277 名前:本スレ208の128 投稿日: 2011/06/16(木) 10:25:15 ID:8MunFEDQ0
HもAも、みえるひとは皆、人をみるときには外見だけじゃなく
自然に気配や憑いてるモノもみるのだそうです。
Bは全く普通に間違いなくBの気配を持っていて、“アレ”も居た。
何も疑う要素はなかった。
ただ一つ違和感があったのは、ちゃんとみえる“アレ”の気配が
変に弱いというか薄いこと。
気配の質は同じだから、Bの中に引っ込むと気配が弱まるのか、と解釈して
スルーしたのだが、仕事電話で石碑を離れてからもやはり気になる。
何だろう、あの、みえるのに弱いってか、薄いってかペラいってか、
と考え続けててふっと頭に浮かんだ言葉。
『ハリボテみたいな気配なんだ』

いや、引っ込むと外側が抜け殻っぽく残るのかも、と考えても
違和感が打ち消せない。
形だけ残して中身が引っ込むとか、何か凄く不自然だ。
そういう偽装とかハッタリとかと一番無縁な、生の力がむき出しで
いるような存在が、Bのアレなのに。

どんどん不審が増してきたので電話を中断して引き返し、
こそっとBの写メを撮って、Aに送って聞いてみたそうです。
すぐにAから返信があり『Bのアレじゃない。絶対違う』と断言。
アレは引っ込むと形がみえなくなる。その時も気配は残り香みたいに
Bを包んでいる。弱くなんかならない、と。
その返事を受け取ったHは、瞬時に結論に到達したそうです。
アレが偽物で背負ってるBが本物ってのは、絶対に、ない。
有り得ない。どんなにそっくりでも、Bごと偽物なんだ、と。

……その辺の理屈は、正直俺の理解できない点もありましたが。
とにかく“偽物のアレを背負った普段通りのB”は、みえるひと
視点では有り得ないようです。


1278 名前:本スレ208の128 投稿日: 2011/06/16(木) 10:26:28 ID:8MunFEDQ0
なお、Hを焦らせAにも驚きだと言われた事実。
それは、石碑に居たモノが気配や憑き物を模写したことでした。
2人の言では、他人の声や姿を真似るモノはワリといる。
そして人間の姿を模した程度のものは、本人の気配とか憑依してる
霊とかを写さないので、幻覚でも化けてても、みえるひとには
疑問の余地なく解るのだそうです。
なのに今回のモノは、本人の気配やオーラ(的なもの)どころか、
背後の霊の気配まで含めてコピーしようとしたわけです。
これは本当に、みるのも聞くのも2人とも初のケースだそうな。

「Bさんのアレも特殊レアものだし、さすがにコピりきれなかったん
だろーけど。それでも、あの精度だよ?ふつーの人なら、守護霊まで
完全にコピーできる可能性が高いよ」
「Hさんが騙されたくらいだもんね…何だろ?ソレ、弱いってのも
フリじゃかったんですか?」
Aの質問にHが身振り手振り交えて説明した限りでは、Aの見解も
「それは確かに。取るに足らないレベルですよね」
とのことだった。

そのしょぼい貧相な気配がBを模して何をしたかったのかも、謎です。
あの時Hは俺が狙われたのかと慌てたそうですが、冷静に返ってみると、
生身の人間1人をどうこうできる程の力はなかったようだと。

そして今となっては、調査もできない状態だったりする……と言うのは、
あの日、Hに全力でぶん殴られたモノに何があったのか、あれ以降、
その貧相な気配の持ち主は居なくなってしまったからです。


1279 名前:本スレ208の128 投稿日: 2011/06/16(木) 10:27:43 ID:8MunFEDQ0
後日、石碑を訪れたH(with 俺とA)は「居なくなっちゃった」と
苦笑しながら言いました。
Aも同意したし、その頼まれ事は、どうやらこれで解決ってことに
なるらしい。
パニックでフルスロットル状態のHに殴られて、消えたか逃げたか
したんじゃないか、とはAの言です。

また、Hの突然の暴行に仰天した以外は特に体感がなかったと
思った俺だが、後で思い出すと、ひとつだけ確かに変なことがあった。
石碑の横でB(だと思ってた何か)とひとしきり喋った記憶があるのに、
何を話したか全く思い出せないんだ。
『大学の頃の話をした』と言うような曖昧な記憶だけ残ってて、
何年生の時のこと、とかどのイベントの話、とかが全く解らない。
飲み屋で本物のBが喋ってたことは、俺が上の空気味だったにも
関わらず、しっかり覚えてるのに。

HとAに話すと、さらに難しい顔で「ってことは、幻覚系じゃないよな」
「変身で、Hさん騙すほどそっくり?うーん……」と、
二人して首を傾げていました。
長いわりに結局オチなしですが、以上です。


  

Posted by アマミキョ  at 14:57Comments(1)TrackBack(0)巣くうものシリーズ(怖い話)

2011年05月28日

心霊イイ話 数世代ぶりの男の子

数世代ぶりの男の子


886 本当にあった怖い名無し sage 2011/04/13(水) 10:56:53.89 ID:E2o1ULIj0
笑える話ではなく、いい話だと思うので転載

950 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 2011/04/13(水) 04:11:59.38 ID:PFWzsr1+O
母方の家系が代々、女ばっかり生まれる家系。
曾祖母五人姉妹・祖母三人姉妹・母三人姉妹で、私も女だし他の従姉妹まで全て女。
曾祖母より上の人達もそうだったらしい。
だから「長女は婿養子を取れ」という決まりみたいなのがあったが、
母の世代からは別に従ってない。(名を残すべき旧家とかでもないし)

そんな中、去年従姉妹が結婚し、男の子を出産。
何世代か振りの男の子だ!と親戚中えらい騒ぎになったんだが、騒いだのは生きてる人達だけじゃなかったらしい。

従姉妹曰く
「知らない女の人や男の人が、夜に息子の周りで
『男の子だ!男の子だ!』みたいな事を言い合ってはしゃいでる。
夜泣きとか一切しなくて育児が楽なんだけど、あの人達に助けられてる気がする。
試しに『お乳の出が悪いんですが……』と願をかけてみたら、翌日から溢れんばかりに母乳出るし」
とか。
多数の先祖を守護霊みたいな感じにしたという事だろうか。


  

Posted by アマミキョ  at 23:12Comments(0)TrackBack(0)心霊ちょっとイイ話

2011年05月28日

心霊イイ話 兵隊さんの意地 

兵隊さんの意地


327 本当にあった怖い名無し sage 2010/09/26(日) 23:49:20 ID:NLeXZ5n1P
なんか笑える.に投下されてた。
こっち向きかなと思ったのでコピペ

533 :本当にあった怖い名無し :sage :2010/09/26(日) 21:30:25 ID:GNrympi6O
大学時代に旅行で沖縄行って、旅行終わって帰宅した夜、部屋に日本兵が出た。
目茶苦茶怖かったが、ただ立ち尽くしてるだけで暫くしたら消えた。

痩せてたし顔色悪かったし、戦争でお腹へって亡くなったのかな~と思い、
翌日はお茶とおにぎりを用意して待った。
その日も出たが、やっぱり立ってるだけで暫くしたら消えた。

数日お茶とおにぎりを用意して観察したが、同じ事が続いた。
私も「何が気に食わないんだろう」と思いながら
おにぎり増やしたり漬物付けたり味噌汁付けたりしてた。

そんな事が一週間くらい続き、連日夜中まで起きていた私はそろそろ眠気に勝てなくなった。
そこで、もはや和食フルコース(お茶、おにぎり、味噌汁、漬物、焼き鮭、煮物、お饅頭)と化した食事を用意し、
その日は早めに就寝。

夜中に気配で目が覚めて、コッソリ見たら、日本兵ガツガツ食ってた。ちょっと泣いてた。
全て飲み食いした後に立ち上がり、私に向かってビシッと敬礼して消えた。
以後は来なかった。

朝、日本兵が食べたと思った食べ物は一応形は残ってたけど、
どれも一晩じゃ考えられないくらい水分が抜けてカラカラになっていた。
お茶と味噌汁は無くなってた。

祖父(徴兵経験は無い)に話したら
「男ってのは生きてても死んでてもそういうもんだ。変な意地がある。
若い娘に飯がっついてる所見られたくなかったんだろ」
と言っていた。
最初毎晩観察してた私が生殺しにしてたのか……と思うと少し申し訳ない。



  

Posted by アマミキョ  at 23:09Comments(0)TrackBack(0)心霊ちょっとイイ話

2011年05月28日

心霊ちょっとイイ話 紫陽花

紫陽花
941 名前:1[sage] 投稿日:2007/06/26(火) 23:18:17 ID:6TDAqokh0
去年の今頃、ばあちゃんが死んだ。ずっと入院生活だったし、医者からも
「いつ逝ってもおかしくない」
と言われてて心の準備はできてたはずだったが、やっぱり悲しくて、棺の中
のばあちゃんの顔を見れないまま葬式進行、出棺になった。
みんなで棺に花を入れていたら、母が
「あっ! お母さん紫陽花大好きだった!」
といきなり叫んだ。入れるために用意されていた花の中に、紫陽花は無かった。
好きだった花だし入れてあげよう! となって、私と従姉妹二人と叔父で車に
乗り、あちこちの花屋に行ったが、何故だか紫陽花はどこにも売ってない。
葬式屋(?)に出棺を待ってもらっている状態だったので、遠くの花屋まで
行く時間は無い。仕方なく帰ろうとしたら、道沿いの家の庭に沢山の紫陽花が
咲いてるのが見えた。その紫陽花の横に、初老の男性が立って何かしていた。
あの人に言えば譲ってくれるかも! と叔父が言って車を止め、全員で男性の
元へ走った。
あの、と話しかけると、男性はすっ、と、今切ったばかりのようなきれいな
紫陽花を束で叔父に手渡した。
「ほら、早く行ってあげなさい」
そう言って笑う男性に私たちは何度も頭を下げ、急いで帰り、無事にばあちゃ
んの棺に紫陽花を入れる事ができた。私も入れたが、その時初めて見たばあち
ゃんの顔は、安らかでまるで寝てるみたいだった。

942 名前:2[sage] 投稿日:2007/06/26(火) 23:19:25 ID:6TDAqokh0
翌日、私たちは「お礼をしなきゃ」とお菓子を持ってその家を訪ねた。
けど、着いたら。そこ、どう見ても空き家。昨日見た時は、確かに普通の家
だったのに。
屋根瓦とかはがれてるし、壁も一目見て「腐ってる」とわかるような状態。人
の気配もしない。でも、昨日見た紫陽花は確かにそこの庭に生えてる。近所で
他に庭に紫陽花がある家は無かった。
叔父と一緒に「確かにここだったよね?」とうろうろしていたら、従姉妹が
「よそのおじいさんが、独断で譲ってくれたんかね?」
と言い出した。
そうかも……と私たちは納得しかけたが、その時改めて考えてみると、あの
男性は私たちが何も言わないうちに紫陽花を渡してくれた。
いくら私たちが喪服だったからって、そんなすぐ用件がわかるだろうか?
それに、私たちが男性に話しかけた時、男性は既に手に紫陽花の束を持ってい
たようだった。まるで、私たちが来るのがわかっていたように。

私も叔父も従姉妹も、何となく黙ってしまい、結局空き家の玄関にお菓子を
置いて帰った。誰もいない家に何度も頭を下げて。

あれから一年経ったが、いまだに不思議。
その家とばあちゃんとの縁も見えない。
けど、あの家に住んでいた人以外の「何か」が、私たちに優しくしてくれたの
かな、と思っている。

  

Posted by アマミキョ  at 23:06Comments(1)TrackBack(0)心霊ちょっとイイ話

2011年05月28日

コワイ話 リアル

リアル


166 本当にあった怖い名無し New! 2011/05/13(金) 11:30:26.52 ID:rKgs8JSd0
コピペだが俺的に暫定一位のヤツを。
http://horror-terror.com/c-real/entry_6999.html

POINT:62点/112人 Good:74.1%
この怖い話を携帯で見るそこまで面白いことでもないし、長くしないように気をつけるが多少は目をつぶって欲しい。
では書きます。
何かに取り憑かれたり狙われたり付きまとわれたりしたら、マジで洒落にならんことを最初に言っておく。
もう一つ俺の経験から言わせてもらうと、一度や二度のお祓いをすれば何とかなるって事はまず無い。
長い時間かけてゆっくり蝕まれるからね。
祓えないって事の方が多いみたいだな。

俺の場合は大体2年半位。
一応、断っておくと五体満足だし人並みに生活できてる。
ただ、残念ながら終わったかどうかって点は定かじゃない。

まずは始まりから書くことにする。
当時俺は23才。 社会人一年目って事で新しい生活を過ごすのに精一杯な頃だな。会社が小さかったから当然同期も少ない、必然的に仲が良くなる。
その同期に東北地方出身の○○って奴がいて、こいつがまた色んな事を知ってたりやけに知り合いが多かっりした訳。

で、よくこれをしたら××になるとか△△が来るとかって話あるじゃない?
あれ系の話はほとんどガセだと思うんだけど、幾つかは本当にそうなってもおかしくないのがあるらしいのよ。
そいつが言うには何か条件が幾つかあって、偶々揃っちゃうと起きるんじゃないかって。
俺の時は、まぁ悪ふざけが原因だろうな。 当時は車を買ってすぐだったし、一人暮らし始めて間もないし、何よりバイトとは比べ物にならない給料が入るんで週末は遊び呆けてた。
8月の頭に、ナンパして仲良くなった子達と○○、そして俺の計4人で所謂心霊スポットなる場所に肝試しに行ったわけさ。
その場は確かに怖かったし、寒気もしたし何かいるような気がしたりとかあったけども、特に何も起こらず、まぁスリルを満喫して帰った訳だ



167 本当にあった怖い名無し New! 2011/05/13(金) 11:32:58.86 ID:rKgs8JSd0
3日後だった。 当時の会社は上司が帰るまで新人は帰れないって暗黙のルールがあって、毎日遅くなってた。
疲れて家に帰って来て、ほんと今思い出しても理解出来ないのだが、部屋の入口にある姿見の前で、「してはいけないこと」をやったんだ。
試そうとか考えた訳ではなく、ふと思い付いただけだったと思う。

少し細かな説明をする。当時の俺の部屋は駅から徒歩15分、八畳1R、玄関から入ると細い廊下がありその先に八畳分の部屋がある。 姿見は部屋の入口、つまり廊下と部屋の境目に置いていた。
俺が○○から聞いていたのは、鏡の前で△をしたまま右を見ると◆が来るとか言う話だった。
体勢的にちょっとお辞儀をしているような格好になる。
「来るわけねぇよな」なんて呟きながら、お辞儀のまま右向いた時だった。

部屋の真ん中辺りに何かいた。 見た目は明らかに異常。
多分160センチ位だったと思う。髪はバッサバサで腰まであって、簾みたいに顔にかかってた。っつーか顔にはお札みたいなのが何枚も貼ってあって見えなかった。なんて呼ぶのか分からないけど、亡くなった人に着せる白い和服を来て、小さい振り幅で左右に揺れてた。
俺はと言うと…、固まった。声も出なかったし一切体は動かなかったけど、頭の中では物凄い回転数で起きていることを理解しようとしてたと思う。

想像して欲しい。

狭い1Rに、音もない部屋の真ん中辺りに何かいるって状態を。
頭の中では原因は解りきっているのに起きてる事象を理解出来ないって混乱が渦を巻いてる。

とにかく異常だぞ? 灯りをつけてたけど、逆にそれが怖いんだ。 いきなり出てきたそいつが見えるから。 そいつの周りだけ青みがかって見えた。
時間が止まったと錯覚するくらい静かだったな。





169 リアル New! 2011/05/13(金) 11:37:34.51 ID:rKgs8JSd0
すまん、以下コテにリアルって乗せとくね。この話の題名。

とりあえず俺が出した結論は「部屋から出る」だった。 足元にある鞄を、何故かゆっくりと、慎重に手に取った。 そいつからは目が離せなかった。 目を離したらヤバいと思った。
後退りしながら廊下の半分(普通に歩いたら三歩くらいなのに、かなり時間がかかった)を過ぎた辺りでそいつが体を左右に振る動きが少しずつ大きくなり始めた。
と同時に何か呻き声みたいなのを出し始めた。
そこから先は、実はあんまり覚えてない。気が付くと駅前のコンビニに入ってた。
兎にも角にも、人のいるコンビニに着いて安心した。ただ頭の中は相変わらず混乱してて「何だよアレ」って怒りにも似た気持ちと、「鍵閉め忘れた」って変なとこだけ冷静な自分がいた。 結局その日は部屋に戻る勇気は無くて一晩中ファミレスで朝を待った。

空が白み始めた頃、恐る恐る部屋のドアを開けた。良かった。消えてた。
部屋に入る前に、もっかい外に出て缶コーヒーを飲みながら一服した。
実は何もいなかったんじゃないかって思い始めてた。本当にあんなん有り得ないしね。

明るくなったってのと、もういないってので少し余裕出来たんだろうね。
さっきよりはやや大胆に部屋に入った。
「よし、いない」何て思いながら、カーテンが閉まってるせいで薄暗い部屋の電気を着けた。





170 リアル New! 2011/05/13(金) 11:39:23.41 ID:rKgs8JSd0
昨晩の出来事を裏付ける光景が目に入ってきた。
昨日、アイツがいた辺りの床に物凄く臭いを放つ泥(多分ヘドロだと思う)が、それも足跡ってレベルを超えた量で残ってた。 起きた事を事実と再認識するまで、時間はかからなかった。
ハッと気付いてますますパニックになったんだけど、…俺、電気消してねーよ…ははっ。
スイッチ押した左手見たらこっちにも泥がついてんの。
しばらくはどんよりした気持ちから抜けられなかったが、出ちまったもんは仕方ねーなと思えてきた。

まぁここら辺が俺がAB型である典型的なとこなんだけど、そんな状態にありながら泥を掃除してシャワー浴びて出社した。
臭いが消えなくてかなりむかついたし、こっちはこっちで大問題だが会社を休むことも一大事だったからね。

会社に着くと、いつもと変わらない日常が待っていた。 俺は何とか○○と話す時間を探った。
事の発端に関係する○○から、何とか情報を得ようとしたのだ。
昼休み、やっと捕まえる事に成功した。 以下俺と○○の会話の抜粋。

俺「前にさぁ、話してた△すると◆が来るとかって話あったじゃん。昨日アレやったら来たんだけど。」
○○「は?何それ?」
俺「だからぁ、マジ何か出たんだって!」
○○「あー、はいはい。カウパー出たのね」
俺「おま、ふざけんなよ。やっべーのが出たってんだよ」
○○「何言ってんのかわかんねーよ!」
俺「俺だってわかんねーよ!!」



171 リアル New! 2011/05/13(金) 11:41:20.93 ID:rKgs8JSd0
駄目だ、埒があかない。 ○○を信用させないと何も進まなかったため、俺は淡々と昨日の出来事を説明した。 最初はネタだと思っていた○○もやっと半信半疑の状態になった。
仕事終わり、俺の部屋に来て確かめる事になった。
夜10時、幸いにも早めに会社を出られた○○と俺は部屋に着いた。 扉を開けた瞬間に今朝嗅いだ悪臭が鼻を突いた。 締め切った部屋から熱気とともに、まさしく臭いが襲ってきた。
帰りの道でもしつこいくらいの説明を俺から受けていた○○は「・・・マジ?」と一言呟いた。信じたようだ。
問題は○○が何かしら解決案を出してくれるかどうかだったが、望むべきではなかった。

とりあえず、お祓いに行った方がいいことと知り合いに聞いてみるって言葉を残し奴は逃げるように帰って行った。
予想通りとしか言いようがなかったが、奴の顔の広さだけに期待した。

臭いとこに居たくない気持ちからその日はカプセルホテルに泊まった。
今夜も出たら終わりかもしれないと思ったのが本音。
翌日、とりあえず近所の寺に行く。さすがに、会社どころじゃなかった。

お坊さんに訳を説明すると「専門じゃないから分からないですね~。しばらくゆっくりしてはいかがでしょう。きっと気のせいですよ」なんて呑気な答えが返ってきた。 世の中こんなもんだ。
その日は都内では有名な寺や神社を何軒か回ったがどこも大して変わらなかった。

疲れはてた俺は、埼玉の実家を頼った。
正確には、母方の祖母がお世話になっているS先生なる尼僧に相談したかった。っつーかその人意外でまともに取り合ってくれそうな人が思い浮かばなかった。




172 リアル New! 2011/05/13(金) 11:42:33.54 ID:rKgs8JSd0
ここでS先生なる人を紹介する。

母は長崎県出身で当然祖母も長崎にいる。
祖母は、戦争経験からか熱心な仏教徒だ。 S先生はその祖母が週一度通っている自宅兼寺の住職さんだ。
俺も何度か会ったことがある。 俺は詳しくはないが、宗派の名前は教科書に乗ってるくらいだから似非者の霊能者などとは比較にならないほどしっかりと仏様に仕えてきた方なのだ。

人柄は温厚、落ち着いた優しい話し方をする。
俺が中学に上がる頃親父が土地を買い家を建てることになった。 地鎮祭とでも言うんだっけ? 兎に角その土地をお祓いした。
その一週間後に長崎の祖母から「土地が良くないからS先生がお祓いに行く」という内容の電話があった。当然、母親的にも「もう終わってるのに何で?」ってことでそれを言ったらしい。 そしたら祖母から「でもS先生がまだ残ってるって言うたったい」って。
つまり、俺が知る限り唯一頼れる人物である可能性が高いのがS先生だった。



173 リアル New! 2011/05/13(金) 11:44:16.53 ID:rKgs8JSd0
日も暮れてきて、埼玉の実家があるバス停に着いた頃には夜9時を回る少し前だった。
都内と違い、工場ばかりの町なので夜9時でも人気は少ない。バス停から実家までの約20分を足早に歩いた。人気の無い暗い道に街灯が規則的に並んでいる。
内心、一昨日の事がフラッシュバックしてきてかなり怯えてたが、幸いにも奴は現れなかった。

が、夜になり涼しくなったからか俺は自分の身体の異変に気が付いた。
どうも首の付け根辺りが熱い。 伝わりにくいかと思うが、例えるなら首に紐を巻き付けられて左右にずらされているような感じだ。
首に手をやって寒気がした。熱い。首だけ熱い。 しかもヒリヒリしはじめた。どうも発疹のようなモノがあるようだった。
歩いてられなくなり、実家まで全力で走った。息を切らせながら実家の玄関を開けると母が電話を切るところだった。
そして俺の顔を見るなりこう言ったんだ。

「あぁ、あんた。長崎のお婆ちゃんから電話来て心配だって。S先生があんたが良くない事になってるからこっちおいでって言われたて。あんたなんかしたの?」
「あらやだ。あんた首の回りどうしたの!!?」

答える前に玄関の鏡を見た。奴が来るかもとか考えなかったな…、何故か。
首の回り、付け根の部分は縄でも巻かれているかのように見事に赤い線が出来ていた。
近づいてみると、細かな発疹がびっしり浮き上がっていた。

さすがに小刻みに身体が震えてきた。
何も考えずに、母にも一言も返事をせずに階段を駈け上がり、母の部屋の小さな仏像の前で南無阿弥陀仏を繰り返した。
そうする他、何も出来なかった。心配して親父が「どうした!!」と怒鳴りながら走って来た。 母は異常を察知して祖母に電話している。母の声が聞こえた。 泣き声だ。
逃げ場はないと、恐ろしい事になってしまっているとこの時やっと理解した…。


174 リアル New! 2011/05/13(金) 11:46:37.51 ID:rKgs8JSd0
実家に帰り、自分が置かれている状況を理解して3日が過ぎた。
精神的に参ったからか、それが何かしらアイツが起こしたものなのかは分からなかったが、2日間高熱に悩まされた。
首から異常なほど汗をかき、2日目の昼には血が滲み始めた。3日目の朝には首からの血は止まっていた。
元々滲む程度だったしね。熱も微熱くらいまで下がり、少しは落ち着いた。

ただ、首の回りに異常な痒さが感じられた。
チクチクと痛くて痒い。枕や布団、タオルなどが触れると鋭い、小さな痛みが走る。
血が出ていたから瘡蓋が出来て痒いのかと思い、意識して触らないようにした。
布団にもぐり、夕方まで気にしないように心掛けたが、便所に行った時にどうしても気になって鏡を見た。鏡なんて見たくもないのに、どうしても自分に起きてる事をこの目で確認しないと気が済まなかった。

鏡は見たこともない状況を写していた。

首の赤みは完全に引いていた。 その代わり、発疹が大きくなっていた。
今でも思い出す度に鳥肌が立つほど気持ち悪いが敢えて細かな描写をさせて欲しい。 気を悪くしないでくれ。
元々首の回りの線は太さが1cmくらいだった。 そこが真っ赤になり、元々かなり色白な俺の肌との対比で正しく赤い紐が巻かれているように見えていた。
これが3日前の事。 目の前の鏡に映るその部分には膿が溜まっていた。

…いや、正確じゃないな。





175 リアル New! 2011/05/13(金) 11:50:04.21 ID:rKgs8JSd0
正確には、赤い線を作っていた発疹には膿が溜まっていて、まるで特大のニキビがひしめき合っているようだった。
そのほとんどが膿を滲ませていて、あまりにおぞましくて気持ちが悪くなりその場で吐いた。
真水で首を洗い、軟膏を母から借り、塗り、泣きながら布団に戻った。 何も考えられなかった。唯一つ「何で俺なんだ」って憤りだけだった。

泣きつかれた頃、携帯がなった。○○からだった。
こういう時、ほんの僅かでも、希望って物凄いエネルギーになるぞ? 正直、こんなに嬉しい着信はなかった。
俺「もしもし」
○○「おぉ~!大丈夫~!?」
俺「ぃや…大丈夫な訳ねーだろ…」
○○「ぁー、やっぱヤバい?」
俺「やべーなんてもんじゃねーよ。はぁ…。っつーか何かないんかよ?」
○○「ぅん」
○○「地元の友達に聞いてみたんだけどさ~、ちょっと分かる奴居なくて…、申し訳ない。」
俺「ぁー、で?」

正直、○○なりに色々してくれたとは思うがこの時の俺に相手を思いやる余裕なんてなかったから、かなり自己中な話し方に聞こえただろう。

○○「いや、その代わり、友達の知り合いにそーいうの強い人がいてさー。紹介してもいいんだけど金かかるって…」
俺「!? 金とんの?」
○○「うん、みたい…。どーする?」
俺「どんくらい?」
○○「知り合いの話だととりあえず五十万くらいらしい…」
俺「五十万~!?」

当時の俺からすると働いているとはいえ五十万なんて払えるわけ無い額だった。金が惜しかったが、恐怖と苦しみから解放されるなら…。 選択肢は無かった。

俺「…分かった。いつ紹介してくれる?」
○○「その人今群馬にいるらしいんだわ。知り合いに聞いてみるからちょっと待ってて。」



176 リアル New! 2011/05/13(金) 11:52:07.62 ID:rKgs8JSd0
話が前後するが、俺が仏像の前で南無阿弥陀仏を繰り返していた時、母は祖母に電話をかけていた。
祖母からすぐにS先生に相談が行き(相談と言うよりも助けて下さいってお願いだったらしいが)、最終的にはS先生がいらしてくれる事になっていた。

ただし、S先生もご多忙だし何より高齢だ。こっちに来れるのは三週間先に決まった。
つまり、三週間は不安と恐怖と、何か起きてもおかしか無い状況に居なければならなかった。
そんな状況だから、少しでも出来るだけの事をしてないと気持ちが落ち着かなかった。

○○が電話を折り返してきたのは夜11時を過ぎた頃だった。

○○「待たせて悪いね。知り合いに相談したら連絡入れてくれて、明日行けるって。」
俺「明日?」
○○「ほら、明日日曜じゃん?」

そうか、いつの間にか奴を見てから五日も経つのか。不思議と会社の事を忘れてたな。

俺「分かった。ありがと。ウチまで来てくれるの?」
○○「家まで行くって。車で行くらしいから住所メールしといて」
俺「お前はどーすんの?来て欲しいんだけど」
○○「行く行く」
俺「金、後でも大丈夫かな?」
○○「多分大丈夫じゃね?」
俺「分かった。近くまで来たら電話して」

何とも段取りの悪い話だが、若僧だった俺には仕方の無い事だった。


177 リアル New! 2011/05/13(金) 11:54:39.71 ID:rKgs8JSd0
その晩、夢を見た。 寝てる俺の脇に、白い和服をきた若い女性が正座していた。 俺が気付くと、三指をつき深々と頭を下げた後部屋から出ていった。
部屋から出る前にもう一度深々と頭を下げていた。
この夢がアイツと関係しているのかは分からなかったが。

翌日、昼過ぎに○○から連絡が来た。 電話で誘導し出迎えた。
来たのは○○とその友達、そして三十代後半くらいだろう男が来た。
普通の人だと思えなかったな。 チンピラみたいな感じだったし、何の仕事をしてるのか想像もつかなかった。
俺がちゃんと説明していなかったから両親が訝しんだ。 まず間違いなく偽名だと思うが男は林と名乗った。

林「T君の話は彼から聞いてましてね。まー厄介な事になってるんです。」
(今さらですまん。Tとは俺、会話中の彼は○○だと思って読んでくれ。)

父「それで林さんはどういった関係でいらしていただいたんですか?」
林「いやね、これもう素人さんじゃどーしようもなぃんですよ。
お父さん、いいですか?信じられないかも知れませんがこのままだとT君、危ないですよ?」

林「で、彼が友達のT君が危ないから助けて欲しいって言うんでね、ここまで来たって訳なんですよ」
母「Tは危ないんでしょうか?」
林「いやね、私も結構こういうのは経験してますけどこんなに酷いのは初めてですね。この部屋いっぱいに悪い気が充満してます」
父「…」
父「失礼ですが、林さんのご職業をお聞きしても良いですか?」
林「あー、気になりますか?ま、そりゃ急に来てこんな話したら怪しいですもんねぇ」
林「でもね、ちゃんと除霊して、辺りを清めないと、T君、ほんとに連れて行かれますよ?」





182 リアル New! 2011/05/13(金) 12:05:40.53 ID:rKgs8JSd0


母「あの、林さんにお願いできるでしょうか?」
林「それはもう、任せていただければ。こーいうのは私みたいな専門の者じゃないと駄目ですからね。
  ただね、お母さん。こっちとしとも危険があるんでね、少しばかりは包んでいただかないと。ね、分かるでしょ?」
父「いくらあればいいんです?」
林「そうですね~、まぁ二百はいただかないと…。」
父「えらい高いな!?」
林「これでも彼が友達助けて欲しいって言うからわざわざ時間かけて来てるんですよ?
  嫌だって言うならこっちは別に関係無いですからね~。でも、たった二百万でT君助かるなら安いもんだと思いますけどね」
林「それに、T君もお寺に行って相手にされなかったんでしょう?
  分かる人なんて一握りなんですわ。また、一から探すんですか?」

俺は黙って聞いてた。
さすがに二百万って聞いた時は○○を見たが、○○もばつの悪そうな顔をしていた。
結局、父も母も分からないことにそれ以上の意見を言える筈もなく、渋々任せることになった。



183 リアル New! 2011/05/13(金) 12:09:34.66 ID:rKgs8JSd0
林は早速今夜に除霊をすると言い出した。 準備をすると言い、一度出掛けた。(出がけに両親に準備にかかる金をもらって行った)
夕方に戻ってくると、蝋燭を立て、御札のような紙を部屋中に貼り、膝元に水晶玉を置き数珠を持ち、日本酒だと思うがそれを杯に注いだ。
何となくそれっぽくなって来た。

林「T君。これからお祓いするから。これでもう大丈夫だから」
林「お父さん、お母さん。すみませんが一旦家から出ていってもらえますかね?もしかしたら霊がそっちに行く事も無い訳じゃないですから」

両親は不本意ながら、外の車で待機する事になった。 日も暮れて、辺りが暗くなった頃、お祓いは始まった。
林はお経のようなものを唱えながら一定のタイミングで杯に指をつけ、俺にその滴を飛ばした。
俺は半信半疑のまま、布団に横たわり目を閉じていた。林からそうするように言われたからだ。

お祓いが始まってから大分たった。

お経を唱える声が途切れ途切れになりはじめた。
目を閉じていたから、嫌な雰囲気と少しずつおかしくなってゆくお経だけが俺に分かることだった。

最初こそ気付かなかったが首がやけに痛い。 痒さを通り越して、明らかに痛みを感じていた。
目を開けまいと、痛みに耐えようと歯を食いしばっているとお経が止まった。

しかしおかしい。

良く分からないが区切りが悪い終り方だったし、終わったにしては何も声をかけてこない。 何より、首の痛みは一向に引かず、寧ろ増しているのだ。
寒気も感じるし、何かが布団の上に跨がっているような気がする。






185 リアル New! 2011/05/13(金) 12:11:57.15 ID:rKgs8JSd0
目を開けたらいけない。それだけは絶対にしてはいけない。分かってはいたが…。開けてしまった。
目を開けると、恐ろしい光景が飛び込んできた。

林は、布団で寝ている俺の右手側に座りお祓いをしていた。
目を開けると、林と向き合うように俺を挟んでアイツが正座していた。 膝の上に手を置き、上半身だけを伸ばして林の顔を覗き込んでいる。
林の顔とアイツの顔の間には拳一つ分くらいの隙間しかなかった。
不思議そうに、顔を斜めにして、梟のように小刻みに顔を動かしながら、聞き取れないがぼそぼそと呟きながら林の顔を覗き込んでいた。
今思うと林に何かを囁いていたのかもしれない。

林は…少し俯き気味に、目線を下に落としたまま瞬きもせず、口はだらしなく開いたまま涎を垂らしていた。少し顔が笑っていたように見えた。 時々小さく頷いていた。
俺は、瞬きも忘れ凝視していた。 不意にアイツの首が動きを止めた。 次の瞬間、顔を俺に向けた。
俺は…慌てて目をギュッと閉じ、布団を被りひたすら南無阿弥陀仏と唱えていた。
俺の顔の間近で、アイツが梟のように顔を動かしている光景が瞼に浮かんできた。 恐ろしかった。

ガタガタと音が聞こえ、階段を駈け降りる音が聞こえた。 林が逃げ出したようだ。
俺は怖くて怖くて布団に潜り続けていた。
両親が来て、電気を着けて布団を剥いだとき、丸まって身体が固まった俺がいたそうだ。
林は、両親に見向きもせず車に乗り込み、まっていた○○、○○の友達と供に何処かへ消えていった。
後から○○に聞いた話では、「車を出せ」以外は言わなかったらしい。
解決するどころか、ますます悪いことになってしまった俺には、三週間先のS先生を待っている余裕など残っていなかった。


186 リアル New! 2011/05/13(金) 12:15:37.35 ID:rKgs8JSd0
アイツを再び目にしてからさらに4日が経った。
当たり前かも知れないが首は随分良くなり、まだ痕が残るとは言え明らかに体力は回復していた。 熱も下がり身体はもう問題が無かった。
ただ、それは身体的な話でしかなくて、朝だろうが夜だろうが関係無く怯えていた。 何時どこでアイツが姿を現すかと思うと怖くて仕方無かった。
眠れない夜が続き、食事もほとんど受け付けられず、常に辺りの気配を気にしていた。
たった10日足らずで、俺の顔は随分変わったと思う。精神的に追い詰められていた俺には時間が無かった。

当然、まともな社会生活なんて送れる訳も無く、親から連絡を入れてもらい会社を辞めた。(これも後から聞いた話でしかないのだが…、連絡を入れた時は随分嫌味を言われたらしい)
とにかく、何もかもが怖くて洗濯物や家の窓から見える柿の木が揺れただけでも、もしかしたらアイツじゃないかと一人怯えていた。
S先生が来るまでには、まだ二週間あまりが残っていた俺には長すぎた。

見かねた両親は、強引に怯える俺を車に押し込み何処かへ向かった。 父が何度も「心配するな」「大丈夫だ」と声をかけた。
車の後部座席で、母は俺の肩を抱き頭を撫でていた。母に頭を撫でられるなんて何年ぶりだったろう。
(当時の俺にはだが)時間の感覚も無く、車で移動しながら夜を迎えた。
二十歳も過ぎて恥ずかしい話だが、母に寄り添われ安心したのか、久方ぶりに深い眠りに落ちた。


187 リアル New! 2011/05/13(金) 12:18:29.14 ID:rKgs8JSd0
目が覚めるとすでに陽は登っていて、久しぶりに眠れてすっきりした。実際には丸1日半眠っていたらしい。
多分、あんなに長く眠るなんてもうないだろうな。外を見ると車は見慣れない景色の中を進んでいた。

少しずつ、見覚えのある景色が目に入り始めた。道路の中央に電車が走っている。車は…長崎に着いていた。これには俺も流石に驚いた。
怯え続ける俺を気遣い、飛行機や新幹線は避け車での移動にしてくれたらしい。
途中で休憩は何度も入れたらしいが、それでもろくに眠らず車を走らせ続けた父と、俺が怖がらないようにずっと寄り添ってくれた母への恩は、一生かけても返しきれそうもない。

祖父母の住む所は長崎の柳川という。柳川に着くと坂道の下に車を停め両親が祖父母を呼びに行った。
(祖父母の家は坂道から脇に入った石段を登った先にある)
その間、俺は車の中に一人きりの状態になった。
両親が二人で出ていったのは足腰の悪い祖母やS先生の家に持っていく荷物を運ぶのを手伝うためだったのだが、自分で「大丈夫、行って来て」なんて言ったのは本当に舐めてた証拠だと思う。
久しぶりに眠れた事や、今いる場所が東京・埼玉と随分離れた長崎だった事が気を弛めたのかもしれない。

車の後部座席に足をまるめて座り(体育座りね)、外をぼーっと眺めていると急に首に痛みが走った。
今までの痛みと比較にならないほど、言い過ぎかも知れないが激痛が走った。


188 リアル New! 2011/05/13(金) 12:20:28.62 ID:rKgs8JSd0
首に手をやると滑りがあった。…血が出てた。指先に付いた血が、否応なしに俺を現実に引き戻した。この時、怖いとか、アイツが近くにいるかもって考える前に「またかよ…」ってなげやりな気持ちが先に来たな。もう何か嫌になって泣けてきた。

分かってもらえれば嬉しいけど、嫌な事が少しの間をおいて続けて起きるのってもうどうしようも無いくらい落ち込むんだよね。
気持ちの整理が着き始めると嫌な事が起きるっては辛いよね。
この時は少し気が弛んでいたから尚更で、「どーしろっつーんだよ!!」とか「いい加減にしてくれよ」とか独り言をぶつぶつ言いながら泣いてた。
車に両親が祖父母を連れて戻って来たんだけど、すぐにパニックになった。
何しろ問題の俺が首から血を流しながら後部座席で項垂れて泣いてるからね。
何も無い訳がないよな。
「どうした?」とか「何とか言え!」とか「もぅやだー」とか「Tちゃん、しっかりせんか!!」とか「どげんしたと!?」とか「あなたどうしよう」とか。
この時は…思わず「てめぇらぅるっせーんだよ!!」って怒鳴ってしまった。
こんな時に説明なんか出来るわけねーだろって、てめぇらじゃ何も出来ねぇ癖に…黙ってろよ!とか思ってたな。
勝手に悪い事になって仕事は辞めるわ、騙されそうになるわ…こんな俺みたいな駄目な奴のために走り回ってくれてる人達なのに…。今考えると本当に恥ずかしい。

で、人生で一度きりなんだけどさ、親父がいきなり俺の左頬に平手打ちをしてきた。
物凄い痛かったね。親父、滅茶苦茶厳しくて何度も口喧嘩はしたけど多分生まれてから一回も打たれた事無かったからな。
(父のポリシーで子供は絶対殴らないってのは昔から耳タコだったしね)

で、一言だけ「お祖父さんとお祖母さんに謝れ」って静かだけど厳しい口調で言ったんだ。
それで、何故か落ち着いた。ってかびっくりし過ぎてそれまでの絶望感がどっかに行ってしまったよ。




190 リアル New! 2011/05/13(金) 12:23:05.92 ID:rKgs8JSd0
冷静さを取り戻して、皆に謝ったら急に腹が据わってきた気がした。
走り始めた車の中で励ましてくれる祖父母の言葉に感極まってまた泣いた。
自分で思ってるよか全然心が弱かったんだな、俺は。

S先生の家(寺でもあるが)に着くとふっと軽くなった気がした。 何か起きたっていうよりは俺が勝手に安心したって方が正しいだろうな。
門をくぐり、石畳が敷かれた細い道を抜けると初老の男性が迎え入れてくれた。そう言えばS先生の家にはいつもお客さんがいたような気がする。 きっと、祖母のように通っている人が多いんだろう。
奥に通され裏手の玄関から入り進んでいくと、十畳くらいの仏間がある。
S先生は俺の記憶の通り、仏像の前に敷かれた座布団の上に正座していて…ゆっくりと振り向いたんだ。

(下手な長崎弁を記憶に頼って書くが見逃してな)

祖母「Tちゃん、もうよかけんね。S先生が見てくれなさるけん」
S先生「久しぶりねぇ。随分立派になって。早いわねぇ」
祖母「S先生、Tちゃんば大丈夫でしょかね?」
祖父「大丈夫って。そげん言うたかてまだ来たばかりやけんS先生かてよう分からんてさ」
祖母「あんたさんは黙っときなさんてさ。もうあたし心配で心配で仕方なかってさ」

何でだろう…ただS先生の前に来ただけなのにそれまで慌ていた祖父母が落ち着いていた。 それは両親にも、俺にも伝わってきて、深く息を吐いたら身体から悪いものが出ていった気がした。
両親はもう体力的にも精神的にも限界に近かったらしく、「疲れちゃったやろ?後はS先生が良くしてくれるけん、隣ば行って休んでたらよか」と人懐こい祖父の言葉に甘えて隣の部屋へ。


191 リアル New! 2011/05/13(金) 12:26:19.79 ID:rKgs8JSd0
S先生「じゃあTちゃん、こっちにいらっしゃい」S先生に呼ばれ、向かい合わせで正座した。
S先生「それじゃIさん達も隣の部屋で寛いでらして下さい。Tちゃんと話をしますからね」
S先生「後は任せて、こっちの部屋には良いと言うまで戻って来ては駄目ですよ?」
祖父「S先生、Tちゃんばよろしくお願いします!」
祖母「Tちゃん、心配なかけんね。S先生がうまいことしてくれるけん。あんたさんはよく言うこと聞いといたらよかけんね。ね?」

しきりにS先生にお願いして、俺に声をかけてくれる祖父母の姿にまた涙が出てきた。 泣きっぱなしだな俺。
S先生はもっと近づくように言い、膝と膝を付け合わせるように座った。
俺の手を取り、暫くは何も言わず優しい顔で俺を見ていた。 俺は何故か悪さをして怒られるじゃないかと親の顔色を伺っていた子供の頃のような気持ちになっていた。
目の前の、敢えて書くが自分よりも小さくて明らかに力の弱いお婆ちゃんの威圧的でもなんでもない雰囲気に呑まれていた。
あんな人本当にいるんだな。

S先生「…どうしようかしらね」
俺「…」
S先生「Tちゃん、怖い?」
俺「…はい」
S先生「そうよねぇ。このままって訳には行かないわよねぇ」
俺「えっと…」
S先生「あぁ、いいの。こっちの話だから」

何がいいんだ!?ちっともよかねーだろなんて気持ちが溢れて来て、耐えきれずついにブチ撒けた。本当に人として未熟だなぁ、俺は。



193 リアル New! 2011/05/13(金) 12:28:37.08 ID:rKgs8JSd0
俺「あの、俺どーなるんすか? もう早いとこ何とかして欲しいんです。 大体何なんですか?
何でアイツ俺に付きまとうんですか? もう勘弁してくれって感じですよ。
S先生、何とかならないんですか?」

S先生「Tちゃ…」
俺「大体、俺別に悪いこと何もしてないっすよ!?確かに□□(心霊スポットね)には行ったけど俺だけじゃないし、何で俺だけこんな目に会わなきゃいけないんすか? 鏡の前で△しちゃだめだってのも関係あるんですか? ホント訳わかんねぇ!!あーっ!苛つくぅぁー!!」

「ドォ~ドォルルシッテ」
「ドォ~ドォルル」「チルシッテ」

…何が何だか解らなかった。(ホントに訳解んないので取り敢えずそのまま書く)

「ドォ~。 シッテドォ~シッテ」

左耳に鸚鵡か鸚哥みたいな甲高くて抑揚の無い声が聞こえてきた。
それが「ドーシテ」と繰り返していると理解するまで少し時間がかかった。
俺はS先生の目を見ていたし、S先生は俺の目を見ていた。 ただ優しくかったS先生の顔は無表情になっているように見えた…。

左側の視界には何かいるってのは分かってた。 チラチラと見えちゃうからね。
よせば良いのに、左を向いてしまった。首から生暖かい血が流れてるのを感じながら。




195 リアル New! 2011/05/13(金) 12:31:03.08 ID:rKgs8JSd0
アイツが立ってた。 体をくの字に曲げて、俺の顔を覗き込んでいた。
くどいけど…訳が解らなかった。起きてることを認められなかった。
此処は寺なのに、目の前にはS先生がいるのに…何でなんで何で…。
一週間前に、見たまんまだった。 アイツの顔が目の前にあった。 梟のように小刻みに顔を動かしながら俺を不思議そうに覗き込んでいた。

「ドォシッテ? ドォシッテ? ドォシッテ? ドォシッテ?」

鸚鵡のような声でずっと質問され続けた。
きっと…林も同じようにこの声を聞いていたんだろう。
俺と同じ言葉を囁かれていたのかは解らないが…。
俺は…息する事を忘れてしまって目と口を大きく開いたままだった。
いや、息が上手く出来なかったって方が 正しいな。たまに【コヒュッ】って感じで息を吸い込む事に失敗してた気がするし。
そうこうしているうちに、アイツが手を動かして顔に貼り付けてあるお札みたいなのをゆっくりめくり始めたんだ。

見ちゃ駄目だ!! 絶対駄目だって分かってるし逃げたかったんだけど動けないんだよ!!
もう顎の辺りが見えてしまいそうなくらいまで来ていた。
心の中では「ヤメロ!それ以上めくんな!!」って叫んでるのに口からは「ァ…ァカハッ…」みたいな情けない息しか出ないんだ。
もうやばい!! ヤバい!ヤバい!ってところで

「パンッ!!」

って。 例えとか誇張でもなく“跳び上がった。 心臓が破裂するかと思った。



204 リアル New! 2011/05/13(金) 13:00:19.41 ID:rKgs8JSd0
「パン!!」

その音で俺は跳び上がった。正座してたから体が倒れそうになりながら後に振り向いてすぐ走り出した。
何か考えてた訳じゃなく体が勝手に動いたんだよね。でも慣れない正座のせいで足が痺れてまともに走れないのよ。
痺れて足が縺れた事とあんまりにも前を見てないせいで頭から壁に突っ込んだがちっとも痛くなかった。
額から血がだらだら出てたのに…、それだけテンパって周りが見えてなかったって事だな。

血が目に入って何も見えない。手をブン回して出口を探した。けど的外れの方ばっかり探してたみたい。

「まだいけません!」

いきなりS先生が大きい声を出した。障子の向こうにいる両親や祖父母に言ったのか俺に言ったのか分からなかった。分からなかったがその声は俺の動きを止めるには十分だった。
ビクってなってその場で硬直。またもや頭の中では物凄い回転で事態を把握しようとしていた。
っつーか把握なんて出来る筈もなく、S先生の言うことに従っただけなんだけどね。
俺の動きが止まり、仏間に入ろうとする両親と祖父母の動きが止まった事を確認するかのように少しの間を置いてからS先生が話始めた。

S先生「Tちゃんごめんなさいね。怖かったわね。もう大丈夫だからこっちに戻ってらっしゃい」

「Iさん、大丈夫ですからもう少し待ってて下さいね」

障子(襖だったかも)の向こうからしきりに何か言ってのは聞こえてたけど覚えてない。血を拭いながらS先生の前に戻ると手拭いを貸してくれた。お香なのかしんないけどいい匂いがしたな。ここに来てやっとあの音はS先生が手を叩いた音だって気付いた。
(質問出来る余裕は無かったけど)






206 リアル New! 2011/05/13(金) 13:08:17.87 ID:rKgs8JSd0
S先生「Tちゃん、見えたわね?聞こえた?」
俺「見えました…どーして?って繰り返してました。」
この時にはもうS先生の顔はいつもの優しい顔になってたんだ。俺も今度はゆっくりと、出来るだけ落ち着いて答える事だけに集中した。まぁ…考えるのを諦めたんだけどね。

S先生「そうね。どうして?って聞いてたわね。何だと思った?」
さっぱり分からなかった。考えようなんて思わなかったしね。

俺「?? …いや…、ぅぅん?…分かりません」
S先生「Tちゃんはさっきの怖い?」
俺「怖い…です」
S先生「何が怖いの?」
俺「いや…、だって普通じゃないし。幽霊だし…」

ここらへんで俺の脳は思考能力の限界を越えてたな。S先生が何が言いたいのかさっぱりだった。
S先生「でも何もされてないわよねぇ?」
俺「いや…首から血が出たし、それに何かお札みたいなの捲ろうとしてたし。明らかに普通じゃないし…」
S先生「そうよねぇ。でも、それ以外は無いわよねぇ」
俺「…」
S先生「難しいわねぇ」
俺「あの、よく分からなくて…すいません」
S先生「いいのよ」

S先生は、俺にも分かるように話してくれた。諭すっていった方がいいかもしれない。
まず、アイツは幽霊とかお化けって呼ばれるもので間違いない。じゃあ所謂悪霊ってヤツかって言うとそう言いきっていいかS先生には難しいらしかった。
明らかにタチが悪い部類に入るらしいけど、S先生には悪意は感じられなかったって言っていた。
俺に起きた事は何なのかに対してはこう答えた。
「悪気は無くても強すぎるとこうなっちゃうのよ。あの人ずっと寂しかったのね。話したい、触れたい、見て欲しい、気付いて気付いてーって、ずっと思ってたのね」
「Tちゃんはね、分からないかもしれないけど暖かいのよ。色んな人によく思われてて、それがきっと“いいな~。優しそうだな~って思ったのね。だから自分に気付いてくれた事が嬉しくて仕方なかったんじゃないかしら」
「でもね、Tちゃんはあの人と比べると全然弱いのね。だから、近くに居るだけでも怖くなっちゃって体が反応しちゃうのね」
S先生は、まるで子供に話すようにゆっくりと、難しい言葉を使わないように話してくれた。


207 リアル New! 2011/05/13(金) 13:12:17.31 ID:rKgs8JSd0
俺はどうすればいいのか分からなくなったよ。
アイツは絶対に悪霊とかタチの悪いヤツだと決めつけてたから。
S先生にお祓いしてもらえばそれで終ると思ってたから…。それなのにS先生がアイツを庇うように話してたから…。

S先生「さて、それじゃあ今度は何とかしないといけないわね。Tちゃん、時間かかりますけど何とかしてあげますからね」
この一言には本当に救われたよ。 あぁ、もういいんだ。終るんだって思った。やっと安心したんだ。
S先生に教えられたことを書きます。俺にとって一生忘れたくない言葉です。

「見た目が怖くても、自分が知らないものでも自分と同じように苦しんでると思いなさい。救いの手を差し伸べてくれるのを待っていると思いなさい」

S先生はお経をあげ始めた。お祓いのためじゃ無くアイツが成仏出来るように。その晩、額は裂けてたしよくよく見れば首の痕が大きく破けて痛かったけど本当にぐっすり眠れた。(お経終わってもキョドってた俺のために笑いながらその日は泊めてくれた)


208 リアル New! 2011/05/13(金) 13:13:45.30 ID:rKgs8JSd0
翌日、朝早く起きたつもりがS先生はすでに朝のお祈りを終らしてた。
S先生「おはよう、Tちゃん。さ、顔洗って朝御飯食べてらっしゃい。食べ終わったら本山に向かいますからね」

関係者でも何でもないんであまり書くのはどうかと思うが少しだけ。
S先生が属している宗派は前にも書いた通り教科書に載るくらい歴史があって、信者の方も修行されてる方も日本全国にいらっしゃるのね。教えは一緒なんだけど地理的な問題から東と西それぞれに本山があるんだって。
俺が連れていってもらったのが西の本山。本山に暫くお世話になって、自分が元々持っている徳(未だにどんなものか説明できないけど)を高める事と、アイツが少しでも早く成仏出来るように本山で供養してあげられるためってS先生は言ってた。
その話を聞いて一番喜んだのが祖母、まだ信じられなそうだったのが親父。最後は俺が「もう大丈夫。行ってくる」って言ったから反対しなかったけど。

本山に着くと迎えの若い方が待っていて、S先生に丁寧に挨拶してた。本堂の横奥にある小屋(小屋って呼ぶのが憚れるほど広くて立派だったが)で本山の方々にご挨拶。 ここでもS先生にはかなりの低姿勢だったな。
S先生、実は凄い人らしく、望めばかなりの地位(「寂しいけど序列ができちゃうのね」ってS先生は言ってた)にいても不思議じゃないんだって後から聞いた。
俺は本山に暫く厄介になり、まぁ客人扱いではあったけど皆さんと同じような生活をした。多分、S先生の言葉添えがあったからだろうな。




210 リアル New! 2011/05/13(金) 13:21:22.89 ID:rKgs8JSd0
その中で、自分が本当に幸運なんだなって実感したよ。
もう四十年間ずっと蛇の怨霊に苦しめられている女性や、家族親族まで祟りで没落してしまって
身寄りが無くなってしまったけど、家系を辿れば立派な士族の末裔の人とか…
俺なんかよりよっぽど辛い思いしてる人がこんなにいるなんて知らなかったから…。
厳しい生活の中にいたからなのか、場所がそうだからなのか、
あるいはS先生の話があったからなのか恐怖は大分薄れた。
(とは言うものの、ふと瞬間にアイツがそばに来てる気がしてかなり怯えたけど)

本山に預けてもらって一ヶ月経った頃S先生がいらっしゃった。
S先生「あらあら、随分良くなったみたいね」
俺「えぇ、S先生のおかげですね」
S先生「あれから見えたりした?」
俺「いや…一回も。多分成仏したかどっかにいったんじゃないですか?ここ、本山だし」
S先生「そんな事ないわよ?」

顔がひきつった。

S先生「あら、ごめんなさい。また怖くなっちゃうわよね」
「でもねTちゃん、ここには沢山の苦しんでる人がいるの。
   その人達を少しでも多く助けてあげるのが私達の仕事なのよ」
多分だけどS先生の言葉にはアイツも含まれてたんだと思う。

S先生「Tちゃん、もう少しここにいて勉強しなさい。折角なんだから」

俺はS先生の言葉に従った。あの時の事がまだまだ尾を引いていて、まだここにいたいって思ってたからね。
それに一日はあっという間なんだけど…何て言うか時間がゆっくり流れてような感じが好きだったな。
(何か矛盾してるけどね)そんなこんなが続いて、結局三ヶ月も居座ってしまった。
その間S先生は(二ヶ月前に来たきり)こっちには顔を出さなかった。
やっぱりS先生の言葉がないと不安だからね。
でも、哀しいかな流石に三ヶ月もそれまで自分がいた騒々しい世界から隔離去れると物足りない気持ちが強くなってた。


211 リアル New! 2011/05/13(金) 13:25:33.18 ID:rKgs8JSd0
実に二ヶ月ぶりにS先生がやって来てやっと本山での生活は終りを迎えようとしていた。
身支度を整え、兎に角お世話になった皆さんに一人ずつ御礼を言いS先生と帰ろうとしたんだ。
でも気付くと横にいたはずのS先生がいない。「あれ?」と思って振り向いたら少し後にいたんだ。
「歩くの速すぎたかな?」って思って戻ったら優しい顔で
「Tちゃん、帰るのやめてここに居たら?」って言われた。

実はS先生に認められた気がして少し嬉しかった。

「いや、僕にはここの人達みたいには出来ないです。本当に皆さん凄いと思います。真似出来そうもないですよ」

照れながら答えたら

S先生「そうじゃなくて帰っちゃ駄目みたいなのよ」
俺「え?」
S先生「だってまだ残ってるから」

また顔がひきつった。
結局、本山を降りる事が出来たのはそれから二ヶ月後だった。実に五ヶ月も居座ってしまった。多分、こんなに長く家族でも無い誰かに生活の面倒を見てもらう事はこの先ないだろう。
S先生から「多分もう大丈夫だと思うけど、しばらくの間は月に一度おいでなさい。」と言われた。
アイツが消えたのか、それとも隠れてれのか本当のところは分からないからだそうだ。
長かった本山の生活も終ってやっと日常に戻って来た。 借りてたアパートは母が退去手続きを済ましてくれていて、
実家には俺の荷物が運び込まれてた。

アパートの部屋を開けた時、何かを燻したような臭いと部屋の真ん中辺りの床に小さな虫が集まってたらしい。
怖すぎたらしくその日はなにもしないで帰って来たんだってさ。
翌日、仕方無いんで意を決してまた部屋を開けたら臭いは残ってたけど虫は消えてたらしい。
母には申し訳ないが俺が見なくて良かった


212 リアル New! 2011/05/13(金) 13:27:22.34 ID:rKgs8JSd0
実家に戻り、実に約半年ぶりくらいに携帯を見ると(そーいやそれまでは気にならなかったな。)物凄い件数の着信とメールがあった。 中でも一番多かったのが○○。
メールから、奴は奴なりに自分のせいでこんな事になったって自責の念があったらしく、謝罪とかこうすればいいとかこんな人が見つかったとかまめに連絡が入ってた。
母から、○○が家まで来た事も聞いた。 戻って二日目の夜、○○に電話を入れた。電話口が騒がしい。○○は呂律が回らず何を言っているか分からなかった。

…コンパしてやがった。

とりあえず電話をきり「殺すぞ」とメールを送っておいた。 所詮世の中他人は他人だ。
翌日、○○から誤りたいから時間くれないか?とメールが来た。電話じゃなかったのは気まずかったからだろう。
夜になると、家まで○○が来た。わざわざ遠いところまで来るくらいだ。相当後悔と反省をしていたのだろう。(夜に出歩くのを俺が嫌ったからってのが一番の理由である事は言うまでもない)
玄関を開け○○を見るなり二発ぶん殴ってやった。
一発は奴の自責の念を和らげるため、一発はコンパなんぞに行ってて俺を苛つかせた事への贖罪のめに。

言葉で許されるよりも殴られた方がすっきりする事もあるしね。まぁ、二発目は俺の個人的な怒りだが。
○○に経緯を細かく話し、その晩は二人して興奮したり怖がったり…今思うと当たり前の日常だなぁ。


213 リアル New! 2011/05/13(金) 13:30:55.97 ID:rKgs8JSd0
○○からは、あの晩のそれからを聞いた。
あの晩、逃げたした時には林は明らかにおかしくなっていた。
林の車の中で友達と待っていた○○には、まず間違いなくヤバい事になっているって事がすぐに分かったそうだ。
でも、後部座席に飛び乗ってきた林の焦り方は尋常じゃ無かったらしく、車を出さざるを得なかったらしい。
「反抗したりもたついたりしたら何されっか分かんなかったんだよ」

○○の言葉が状況を物語っていた。
○○は、車が俺の家から離れ高速の入り口近くの信号に捕まった時に、逃げ出したらしい。

○○「だってあいつ、途中から笑い出したり、震えたり、“俺は違う“とか“そんな事しません“とか言い出して怖いんだもんよ」

アイツが何か囁いてる姿が甦ってきて頭の中の映像を消すのに苦労した。
俺の家に戻って来なかったのは単純に怖すぎたからだって。「根性無しですみませんでした」って謝ってたから許した。
俺が○○でも勘弁だしね。
その後、林がどうなったかは誰も知らない。さすがに今回の件では○○も頭に来たらしく、林を紹介した友達を問い詰めたらしい。
結局、林は詐欺師まがいにも成りきれないようなどうしようも無いヤツだったらしく、唆されて軽い気持ち(小遣い稼ぎだってさ…)で紹介したんだと。

○○曰く「ちゃんとボコボコにしといたから勘弁してくれ!」との事。
でもこんな状況を招いたのが自分の情報だってのには参ったから、今度は持てる人脈を総動員したが…
こんなことに首を突っ込んだり聞いた事がある奴が回りにいるはずもなく、多分とか~だろうとかってレベルの情報しか無かったんだ。

だから「何か条件が幾つかあって、偶々揃っちゃうと起きるんじゃないか」としか言えなかった。


214 リアル New! 2011/05/13(金) 13:34:11.55 ID:rKgs8JSd0
その後、俺はS先生の言い付けを守って毎月一度、S先生を訪ねた。
最初の一年は毎月、次の一年は三か月に一度。 ○○も、俺への謝罪からか何も無くても家まで来ることが増えたし、
S先生のところに行く前と帰ってきた時には必ず連絡が来た。

アイツを見てから二年が経った頃、S先生から「もう心配いらなそうね。Tちゃん、これからはたまに顔出せばいいわよ。でも、変な事しちゃだめよ」って言ってもらえた。

本当に終ったのか…俺には分からない。S先生はその三ヶ月後、他界されてしまった。
敬愛すべきS先生、もっと多くの事を教えて欲しかった。ただ、今は終ったと思いたい。

S先生のお葬式から二ヶ月が経った。
寂しさと、大切な人を亡くした喪失感も薄れ始め俺は日常に戻っていた。
慌ただしい毎日の隙間にふとあの頃を思い出す時がある。あまりにも日常からかけ離れ過ぎていて、
本当に起きた事だったのか分からなくこともある。
こんな話を誰かにするわけもなく、またする必要もなく、ただ毎日を懸命に生きてくだけだ。

祖母から一通の手紙が来たのはそんなごくごく当たり前の日常の中だった。
封を切ると、祖母からの手紙と、もう一つ手紙が出てきた。
祖母の手紙には俺への言葉と共にこう書いてあった。
“S先生から渡されていた手紙です。四十九日も終わりましたのでS先生との約束通りTちゃんにお渡しします“

S先生の手紙、今となってはそこに書かれている言葉の真偽が確かめられないし、そのままで書く事は俺には憚られるので崩して書く。




216 リアル New! 2011/05/13(金) 13:37:20.60 ID:rKgs8JSd0
Tちゃんへ
ご無沙汰しています。Sです。あれから大分経ったわねぇ。
もう大丈夫?怖い思いをしてなければいいのだけど…。
いけませんね、年をとると回りくどくなっちゃって。
今日はね、Tちゃんに謝りたくてお手紙を書いたの。
でも悪い事をした訳じゃ無いのよ。あの時はしょうがなかったの。 でも…、ごめんなさいね。

あの日、Tちゃんがウチに来た時、先生本当は凄く怖かったの。
だってTちゃんが連れていたのはとてもじゃ無いけど先生の手に負えなかったから。
だけどTちゃん怯えてたでしょう?だから先生が怖がっちゃいけないって、そう思ったの。

本当の事を言うとね、いくら手を差し伸べても見向きもされないって事もあるの。あの時は、運が良かったのね。
Tちゃん、本山での生活はどうだった? 少しでも気が紛れたかしら?
Tちゃんと会う度に先生まだ駄目よって言ったでしょう? 覚えてる?

このまま帰ったら酷い事になるって思ったの。
だから、Tちゃんみたいな若い子には退屈だとは分かってたんだけど帰らせられなかったのね。
先生、毎日お祈りしたんだけど中々何処かへ行ってくれなくて。

でも、もう大丈夫なはずよ。近くにいなくなったみたいだから。
でもねTちゃん、もし…もしもまた辛い思いをしたらすぐに本山に行きなさい。
あそこなら多分Tちゃんの方が強くなれるから中々手を出せないはずよ。



218 リアル New! 2011/05/13(金) 14:02:03.21 ID:rKgs8JSd0
S先生の手紙の続き

最後にね、ちゃんと教えておかないといけない事があるの。
あまりにも辛かったら、仏様に身を委ねなさい。
もう辛い事しか無くなってしまった時には、心を決めなさい。
決してTちゃんを死なせたい訳じゃないのよ。
でもね、もしもまだ終っていないとしたらTちゃんにとっては辛い時間が終らないって事なの。

Tちゃんも本山で何人もお会いしたでしょう?

本当に悪いモノはね、ゆっくりと時間をかけて苦しめるの。決して終らせないの。
苦しんでる姿を見てニンマリとほくそ笑みたいのね。
悔しいけど、先生達の力が及ばなくて目の前で苦しんでいても何もしてあげられない事もあるの。
あの人達も助けてあげたいけど…、どうにも出来ない事が多くて…。
先生何とかTちゃんだけは助けたくて手を尽くしたんだけど、正直自信が持てないの。
気配は感じないし、いなくなったとも思うけど、まだ安心しちゃ駄目。安心して気を弛めるのを待っているかも知れないから。

いい?Tちゃん。
決して安心しきっては駄目よ。いつも気を付けて、怪しい場所には近付かず、
余計な事はしないでおきなさい。先生を信じて。ね?

嘘ばかりついてごめんなさい。
信じてって言う方が虫が良すぎるのは分かっています。
それでも、最後まで仏様にお願いしていた事は信じてね。
Tちゃんが健やかに毎日を過ごせるよう、いつも祈ってます。

S


219 リアル New! 2011/05/13(金) 14:04:20.50 ID:rKgs8JSd0
読みながら、手紙を持つ手が震えているのが分かる。
気持ちの悪い汗もかいている。鼓動が早まる一方だ。一体、どうすればいい?
まだ…、終っていないのか?

急にアイツが何処かから見ているような気がしてきた。もう、逃れられないんじゃないか?
もしかしたら、隠れてただけでその気になればいつでも俺の目の前に現れる事が出来るんじゃないか?
一度疑い始めたら、もうどうしようもない。全てが疑わしく思えてくる。

S先生は、ひょっとしたらアイツに苦しめられたんじゃないか?
だから、こんな手紙を遺してくれたんじゃないか?
結局…、何も変わっていないんじゃないか?

林は、ひょっとしたらアイツに付きまとわれてしまったんじゃないか?
一体アイツに何を囁かれたんだ。俺とは違う、もっと直接的な事を言われて…、おかしくなったんじゃないか?

S先生は、俺を心配させないように嘘をついてくれたけど、「嘘をつかなければならないほど」の事だったのか…。
結局、それが分かってるからS先生は最後まで心配してたんじゃないのか?
疑えば疑うほど混乱してくる。どうしたらいいのかまるで分からない。


220 リアル New! 2011/05/13(金) 14:06:27.13 ID:rKgs8JSd0
ここまでしか…俺が知っている事はない。
二年半に渡り今でも終ったかどうか定かではない話の全てだ。

結局、理由も分からないし、都合よく解決できたり何かを知ってる人がすぐそばにいるなんて事は無かった。
何処から得たか定かではない知識が招いたものなのか、あるいはそれが何かしらの因果関係にあったのか…。
俺には全く理解できないし、偶々としか言えない。

でも、偶々にしてはあまりにも辛すぎる。
果たしてここまで苦しむような罪を犯したのだろうか?犯していないだろう?
だとしたら…何でなんだ?不公平過ぎるだろう。それが正直な気持ちだ。

俺に言える事があるとしたらこれだけだ。
「何かに取り憑かれたり狙われたり付きまとわれたりしたら、マジで洒落にならんことを改めて言っておく。
最後まで、誰かが終ったって言ったとしても気を抜いちゃ駄目だ」




222 リアル(最後) New! 2011/05/13(金) 14:10:29.09 ID:rKgs8JSd0
そして…、最後の最後で申し訳ないが俺には謝らなければいけない事があるんだ。
この話の中には小さな嘘が幾つもある。これは多少なりとも分かり易くするためだったり、俺には分からない事もあっての事なので目をつぶって欲しい。
おかげで意味がよく分からない箇所も多かったと思う。合わせてお詫びとさせて欲しい。

ただ…、謝りたいのはそこじゃあない。
もっと、この話の成り立ちに関わる根本的な部分で俺は嘘をついている。
気付かなかったと思うし、気付かれないように気を付けた。
そうしなければ伝わらないと思ったから。
矛盾を感じる事もあるだろう。がっかりされてしまうかもしれない…。
でもこの話を誰かに知って欲しかった。





俺は○○だよ。

‥今更悔やんでも悔やみきれない。


  

Posted by アマミキョ  at 22:59Comments(0)TrackBack(0)怖い話

2011年05月28日

コワイ話 遺影

遺影


477 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/15(日) 01:55:32.76 ID:ABu+Rf5MO
興ざめしたから、俺の体験談を

こないだ母親の実家に行った時の話

俺の叔母(母の弟の嫁)が妊娠してて、予定日が近づいたから入院することになったんだ
叔母には三歳の息子、つまり俺の従弟がいるんだけど、旦那は叔母に付きっきりだから入院中子守りを任されたわけよ
でも、俺一人じゃあれだってことで親戚のおばさん(五月蝿い元マラソン選手に外見も中身もそっくり)と三人でってことになった
子守初日、寝ようと思ったけど、客間が使えなかったから渋々仏間に寝ることにしたんだ
でもおばさんが、「遺影が怖い」って言い出しやがって…
確かに、古い家だから遺影もいっぱいあって怖いんだけど
五月蝿いから仕方なく遺影全部外して、仕舞ってから寝たんだ
で、翌日茶の間でテレビ観てたら、従弟が仏壇の辺りを見て「怒ってるじいちゃんがいる」「長い包丁もってこっち見てる」とか言い出して
俺らにはそんなもん見えないわけで、俺糞ビビって、おばさんはわめきだすし、従弟は「凄く怒ってる」って言い続けるし

でも、すぐ遺影だ!って気付いて、ビビりながら元に戻したんだ。
そしたら「優しい顔になった」って。
その後「もういなくなった」って言うから、遺影見せて、この中にさっきのじいちゃんいる?って訊いたら、たぶん100年以上前の超古い遺影っぽくないの指差して「これ」って(家の人も誰だかわかんなかった)

後になって考えてみると、長い包丁って刀のことなんだろな
三歳児には刀ってわかんないから長い包丁って言ったんだろう
って考えるとますますマジで見えてたんだなって思って、俺霊とかは信じてないオカルト好きなんだけど流石にgkbrでした
因みにおばさんはもう無理ってことで、その後すぐ帰りやがったのでそれからは俺が一人で子守りして、二日後無事可愛い女の子が生まれました。


駄文失礼しました。



789 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/16(月) 16:55:55.10 ID:BPPVjYLOO
>>477の後日談です

477は実際の話と変えてる部分があるので、辻褄が合わないとこだけ訂正します
こないだの話じゃなくて、477は七年くらい前の話でした
あと、五月蝿いおばさんが帰った後はまた違うおばさんと子守りしてました
当時高校生だったんで




789 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/16(月) 16:55:55.10 ID:BPPVjYLOO
>>477の後日談です

477は実際の話と変えてる部分があるので、辻褄が合わないとこだけ訂正します
こないだの話じゃなくて、477は七年くらい前の話でした
あと、五月蝿いおばさんが帰った後はまた違うおばさんと子守りしてました
当時高校生だったんで


と前置きが長くなり、すいません



791 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/16(月) 17:11:14.37 ID:BPPVjYLOO
>>477
誰も興味ないだろうから簡潔に書きます

477の後、母の実家に住んでた人全員(叔父、叔母、従弟、従妹、祖父母)と五月蝿いおばさん他親族四人くらい全員3年以内に亡くなりました
しかも事故、自殺、火事などで、病死は無し

これは流石におかしいってことで、両親と一緒に例の寺に行ったんだ
したら、呪われてると

刀持ったじいさんの話したら、俺らの解釈は間違ってる、相当な恨みがあるから対処しないとあんたらも危ないとか言われた

んでその婆さん透視?みたいなことしたのかな
それ全部当たってて、実家の跡地に供養碑みたいな建てて一件落着でした
遺影見ても誰もわかんなかったのもなるほどって感じでした

以上



791 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/16(月) 17:11:14.37 ID:BPPVjYLOO

477の後、母の実家に住んでた人全員(叔父、叔母、従弟、従妹、祖父母)と五月蝿いおばさん他親族四人くらい全員3年以内に亡くなりました
しかも事故、自殺、火事などで、病死は無し

これは流石におかしいってことで、両親と一緒に例の寺に行ったんだ
したら、呪われてると

刀持ったじいさんの話したら、俺らの解釈は間違ってる、相当な恨みがあるから対処しないとあんたらも危ないとか言われた

んでその婆さん透視?みたいなことしたのかな
それ全部当たってて、実家の跡地に供養碑みたいな建てて一件落着でした
遺影見ても誰もわかんなかったのもなるほどって感じでした

以上



808 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/16(月) 17:55:09.45 ID:BPPVjYLOO
>>791

お寺に着くと、一人の妙齢の尼さんが出迎えてくれた。
容姿は瀬戸内寂聴と渡辺えりを足して2で割ったような、熟女好きな俺でもチェンジしかねない程の微妙な感じだ。
「遠いとっから大変だっけな」
寂聴は歳からは想像がつかない程艶やかな声で、俺を動揺させた。

境内は、木々が枯れ葉を落とし、晩秋の儚さを感じさせる。
本堂に案内されると寂聴は「此所へ来なさい」、と畳を指さし言った。
寂聴の隣じゃないか!
それに父さんと母さんは何処へ言ったんだ!

混乱する俺を尻目に、寂聴はなおも続ける。
「あんたしかその場さ居ねっけんだべ、先ずはあんたから何があったが訊かねど」
電話で全部言ったはずだが…それに父さんと母さんは何処へ行ったんだよ!
まあいい、二人っきりも悪くない、と気持ちを落ち着かせ俺はあの日起きた事を全て話した。
「なるほどなあ、あんたらはそれで終わったど思ったんだな」
何?違うのか?
「優しい顔したがら許したど思てしまったんだなあ」どういうことだ!
詰め寄る俺に顔を赤らめることなく寂聴は続けた。





813 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/16(月) 18:24:35.93 ID:BPPVjYLOO
よし、続きいきます

「全てを知るには、大昔からの話になってしまうんだげどな」

待て、二人っきりの必要なくない?

そんな俺を無視し、寂聴の話は刀爺さんの更に昔に遡るところから始まった。

面倒くさくなってきたから話を要約すればこうだ。

刀爺さんの先祖と俺の先祖は血の繋がりはないが仲がよく、家も隣合わせに住んでたそうだ。
刀爺さんの代になっても同じく交流は続いてたらしいんだが、刀爺さんには子供ができず、養子を貰ったらしい。
しかし刀爺さん(爺さんといっても五十代らしいが)は養子が10歳くらいの時亡くなったんだとさ。
刀爺さんは家を存続させるために、養子の事を頼むと俺の先祖に懇願しながら亡くなったんだそうだ。
しかしあろうことか俺の先祖は、養子をこき使ったあげく飯もろくにやらずに流行り病で亡くしてしまった。
さらに刀爺さんの家も土地も奪い自分のものにしてしまったと。
それでも100年近くも何の祟りもなかったのは、養子をこき使った先祖の次の代の人達が、庭に墓を建てて、丁重に祀ったからだとかなんとか。



電池切れそう



819 本当にあった怖い名無し sage 2011/05/16(月) 18:43:40.36 ID:BPPVjYLOO
ただ月日も経ってその墓の事みんな忘れて爺さんは怒りがよみがえってきたと
そこに追い討ちをかけるように、遺影を全部はずしたってのは間違いで
五月蝿い婆さんの親の写真を残して外したのに爺さん激怒
俺の先祖のだけ残して爺さんの家をまた除け者にした、みたいな理由らしい
遺影全部外したっての違うだろってのは寂聴から指摘されてびびった
んで遺影戻したんだけど、そのとき、遺影の順番間違えたっていうか、爺さんのを端っこにしたので爺さんキレたらしい
理不尽だけど
んで優しい顔ってのは、許したんじゃなくて、覚悟きめて家を滅ぼすみたいな顔だったらしい

その後みんな死んだって流れ
対処としては、坊さん何人も呼んで経あげて、ぼろぼろになった爺さんちの墓の代わりに異例碑建てて、毎年拝みにこいって感じ
誰も知らなかったのにホントに墓があったのにもびびった
地面に埋まってたからね遺影見てもだれもわかんなかったのは、家系図とか見ても先祖じゃないから載ってなかったから

因みに家は何で無事かっていうと、父方の先祖の徳が高いから守られてんだって
じゃなんで俺はニートなんだろってオチ


駄文、ルール違反すみませんでした







  

Posted by アマミキョ  at 22:56Comments(0)TrackBack(0)怖い話

2011年02月28日

鏡(祟られ屋シリーズ⑬)


1167 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:13:45 ID:3PDqro4M0
季節が冬に変わろうとしていた頃だった。
俺は、オカマのきょうこママに呼び出された。
「ちょっと、相談したい事がある」と言うことだった。
久々に会ったきょうこママは巨大化していた・・・ま、マツコ・デラックス?
「久しぶり。相談って、何よ?ダイエットの話なら無理だぜ・・・・・・もう、手遅れだよwww」
「そんなんじゃないわよ、失礼な!真面目な話だから、ちゃんと聞きなさい」
ママの目は真剣だった。
「アンタ、ほのかちゃんの事、覚えてる?」
「ああ、覚えてるよ。大分前に店を辞めたはずだけど、元気にしてるの?」
 
ほのかとは、アリサと出会う前、店の子のガードを請負った折に知り合った。
初めて会った頃の彼女は、ホルモン注射を開始したばかりの段階だった。
元々華奢な体格で、顔の造りも女性的だったためか、女装すると普通の女にしか見えなかった。
ママやガードしていた子の話では「あの子は続かないかもね」という事だったが、勤めは長く続いた。
アリサと共に何度か遊びに行った事もあった。
あまり、自分の事は話したがらない子だったが、『神様のミステイク』に苦しんだ者同志だったからだろうか、アリサに良く懐いていた。
アリサが亡くなってから会った事は無かったが、恋人が出来て店を辞めたと聞き及んでいた。


1168 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:14:49 ID:3PDqro4M0
「あの子がどうかしたのかい?」
「この間ね、偶然会った店の子がほのかちゃんを連れてきたんだけどね・・・・・・あの子、危ないのよ・・・・・・放って置くと多分自殺しちゃう。
アタシはね、何人もそんな子を見てきたから判るのよ」
「そいつは穏やかじゃねえな。それで、俺にどうしろと?」
「あの子の所に顔を出してやって欲しいのよ。アタシや店の子達じゃ会ってくれないから」
「ママ達に会わないのに、俺が行ったからって駄目だろ?」
「そうかもね。・・・・・・でも、あの子にとって、アンタ達は特別だから」
「え?俺達?」
「アンタとアリサちゃんよ。あの子だけじゃなく、店の子達にとって、アンタ達はある意味理想だったのよ・・・・・・
それが、あんな事になって、みんな悲しんでいるわ・・・・・・アンタが思っている以上にね」
「そうかい・・・・・・役には立てないかもしれないけど、行くだけは行ってみるよ」

俺は、ほのかの部屋を何度か訪れたが、彼女がドアを開けることは無かった。
郵便受けにメッセージだけを残して帰る事が何度か続いた。


1169 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:16:06 ID:3PDqro4M0
その日も、メモだけ残して帰ろうとしていた。
だが、郵便受けに封筒を投函すると、部屋の中から物音がした。
彼女は部屋に居るようだ。
俺は、インターホンを連打しながらデカイ声で言った。
「おい、ほのか居るんだろ?
早くドアを開けろ!開けないとウンコするぞ!」
鉄製のドアに何かが当たる音がしたが、扉は開かない。
スコープからこちらを見ている事を確信した俺は、壁際まで下がってベルトを外し、後ろを向いてしゃがみ込んだ。
「ちょ、ちょっと、止めてよ!」と言う声と共にドアが開いた。
「よお、久しぶり!」
「・・・・・・アンタ、馬鹿?恥ずかしいから中に入ってよ!」


1170 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:17:54 ID:3PDqro4M0
俺が部屋に入ると、ほのかはドアを強く閉めた。
ふぅ~っとため息をつくと、呆れた様子で言った。
「兄さん馬鹿でしょう?もう、恥ずかしくって外を歩けないわ!何考えてるのよ?」
「いや、居留守を使うお前が悪いでしょ?俺はちゃんと、次に来る時間も残して帰っていたんだしwww」
「それで、何よ?」
「いや、手紙にも書いたけどさ、ママや店のみんなも心配してるし、俺だって心配だったからさ」
「そう?」
「とりあえず、お前の顔も見たし、今日は帰るよ」
そう言って、ドアを開けようとした俺の腕を彼女が引っ張った。
「久しぶりに会ったんだから、夕食ぐらい食べて行きなさいよ」
俺の訪問に合わせて作っていたのだろうか、テーブルの上には結構な品数の料理が並べられた。


1171 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:18:56 ID:3PDqro4M0
俺達は、無言で食事を続けた。
「美味かったよ。やっぱ、独り者に女の子の手料理はグッと来るものがあるね。やべぇ、惚れちまいそうだよ」
「アリサ姉さんの直伝だからね」
「・・・・・・今日は遅いから、また来るわ。
今度はこんなに凝らなくても良いぞ。・・・・・・そうだな、カレーでいいや!」
「ばか」
とりあえず、ほのかが笑みを見せたのを由として、俺は彼女の部屋を後にした。
沈んだ様子だったが、ほのかからママの言っていた『死相』は見て取れなかった。
だが、形容し難い、妙な空気は確かにあった。
俺は、暫くほのかの部屋に通って、彼女の様子を見る事にした。


1172 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:20:39 ID:3PDqro4M0
何度も足を運んでいるうちに、ほのかの表情は明るくなって行った。
外に連れ出す事にも成功し、ママの店にも連れて行った。
そんな彼女の様子に、油断していたのだろう。
俺は、口を滑らして、店の子たちが話していた『彼氏』の話題に触れてしまった。
とんでもない地雷を踏んでしまったようだ。
ほのかは喚き散らしながら暴れた。
「出て行け!もう顔も見たくない。二度と来るな!」
そう言われて、俺は何も言わずに玄関に向った。
靴を履き、立ち上がると、背中を何発も拳で叩かれた。
「帰れと言われて本当に帰るような奴は二度と来るな!」
振り返ると、涙でベソベソになったほのかが抱き付いてきた。


1173 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:22:10 ID:3PDqro4M0
暫くそうしていると、やがてほのかは泣き止んだ。
「せっかくの美人が台無しじゃないか」
そう言ってハンカチを渡すと、ようやくほのかは落ち着きを取り戻した。
俺は靴を脱いで部屋に上がると、爆撃後のような惨状の室内を片付け始めた。
とりあえず片付けが終わり、腰を降ろして休んでいると、俯いて黙り込んでいたほのかが立ち上がった。
「?」
「ねえ、見て」
見上げる俺にそう言うと、彼女は服を脱ぎ出した。
俺は、黙って彼女を見ていた。
震えながら服を脱ぎ、全裸になった彼女は胸や股間を隠していた手を外して、もう一度言った。
「見て」
「・・・・・・」
「私、女になったのよ。・・・・・・今はね、結婚だって出来るの。・・・・・・私、キレイ?」
「ああ、キレイだよ」
「でもね、彼は私を抱いてはくれなかった・・・・・・彼の為に、彼に喜んで欲しかったのに・・・・・・
あの人は・・・・・・女になった私を捨てて逃げたのよ!」


1174 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:23:09 ID:3PDqro4M0
出会った時、ほのかの彼氏は大学生だったそうだ。
飲み屋でコンパの二次会をしていた彼らと、仕事帰りに飲みに繰り出したほのか達は意気投合して、そのまま三次会に繰り出したそうだ。
ほのかがメアドの交換をした事も忘れかけた頃に、大学生の男から誘いのメールが入った。
暇潰しのつもりで誘いに応じたほのかを男はその後も誘い続けた。
何度も逢瀬を重ねて、ほのかの中で男の存在が大きくなってきて、あぶない、そろそろ『潮時』だと思っていた頃に告白されたそうだ。
告白されたその場で、ほのかはカミングアウトした。
だが、男は驚いたものの、引かなかった。
『一度関係を持てば彼の目も覚めるだろう。最後に一度だけなら』そう思ってホテルに行ったそうだ。
『・・・・・・これで終わった』と思ったが、彼はほのかから去らなかった。
やがて、彼は卒業し、社会人となった。
仕事に慣れ、社員寮から出た彼はほのかに言った。
「一生傍にいて欲しい。一緒に暮らそう」と。


1175 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:24:16 ID:3PDqro4M0
彼の家族は、一人息子がニューハーフと同居する事に激しく反対した。一緒になるなど論外だった。
家族の激しい反対に遭ったが、彼は家族よりもほのかを選んだ。
そんな彼の行動に、ほのかは長年悩んできた性転換手術を受ける覚悟を決めた。
女性の身体になることは彼女にとって長年の夢だったが、手術への恐怖心が大きく、それまで踏み切る事が出来なかったのだ。
何度もカウンセリングを受け、面倒な手続きを経て彼女は決死の覚悟で手術を受けた。
術後、患部が安定するには半年程度の時間が掛かるそうだ。
だが、医師の許可が出て1年以上経っても、彼はほのかの身体に触れようとしなかった。
そして、何か悩んだ様子で、外泊も多くなっていた。
ある日、『一生分の勇気』を振り絞って、彼女は彼に言った。
「抱いて」
服を脱いだ彼女の身体を見て彼は言った。
「・・・・・・すまない」
そのまま彼は部屋を出て行き、二度と戻る事は無かった。


1176 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:25:32 ID:3PDqro4M0
「酷い話だな・・・」
「でしょ?だから、アイツの荷物は全部捨ててやったし、写真も全部燃やしたわ。
彼の事は吹っ切れてるのよ・・・・・・ただ、女としての自信というか、プライドがね・・・・・・」
見え見えの嘘だったが、俺は頷くしかなかった。
「ねえ、良かったら、兄さんが私を『オンナ』にしてくれる?・・・兄さんなら、いいかな・・・」
「悪いな、それは出来ない」
「何で?やっぱり、私って魅力ないのかな?」
「いや、そんな事は無いよ」
「それなら何で?・・・・・・まだ、姉さんのことが?」
「・・・・・・」
「ごめん、変な事を言って・・・・・・忘れて!」


1177 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:26:59 ID:3PDqro4M0
俺は、ほのかの相手の男の事を調べた。
男の居所は、あっさりと割れた。
男は勤務先を退職し、実家に戻っていた。
俺は、男の実家に向かった。
 
ほのかの男・・・・・・宗一郎の父親は、彼とほのかの同棲中に癌で亡くなっていた。
息子に取り次いで欲しいと彼の母親に頼んだが、俺がほのかの縁者だと聞くと、彼女は頑なにそれを拒んだ。
連絡先だけ残してその場を立ち去ると、後日、宗一郎本人から俺の携帯に連絡が入った。
待ち合わせの場所に行くと、従妹だという若い女が待っていた。
事と次第によっては、1・2発ぶん殴ってやりたいと思っていたが、それは出来なかった。
ベッドに横たわる、余り先の長そうではない病人・・・・・・それが、宗一郎だった。
事情がありそうだ・・・・・・
俺は、宗一郎にほのかの許を去った理由を尋ねた。


1178 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:28:20 ID:3PDqro4M0
ほのかの治療中、宗一郎は微妙な体調の変化を感じていた。
妙に体がだるく、首や肩に常に鈍痛を感じていた。
世話女房タイプのほのかは店に出ていた頃から、家事の一切を行っていて、宗一郎には何もさせようとはしなかったらしい。
慣れない家事や、ほのかの見舞い、忙しくなってきた仕事・・・・・・それらの無理が溜まって疲れている、その程度に考えていたらしい。
ほのかの術後の痛みは相当酷かったらしく、宗一郎はほのかの身の回りの世話に精一杯で、自らの体調を気にする余裕は無かった。
だが、宗一郎の体調は確実に悪化した。
はじめは、指先の痺れや頻発する『こむら返り』といった症状だった。
やがて、不意に膝から力が抜けて転倒したり、軽い『寝小便』をするようになった。
『医者に見てもらわなければ』と思ったらしいが、日常生活が忙しく、ズルズルと時間が過ぎた。
そして、会社の定期健診で異常が見つかった。
再検査の結果、肺と胃、頚椎に腫瘍が見つかったらしい。


1179 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:29:44 ID:3PDqro4M0
若い宗一郎の病気の進行は早く、検査で発見された時点で既に手遅れだった。
持って1年と言う宣告に、宗一郎は打ちのめされた。
ほのかに何て話せば良いのだろう?
そう悩んでいた時に、あの夜が訪れた。
「何故逃げた?」と言う俺の問いに、宗一郎はこう答えた。
「もうすぐ居なくなる自分のせいで、ほのかに取り返しの付かない事をさせてしまった。
そう考えたら、怖くなって逃げ出してしまった」
 
「アンタに去られたほのかは、今は何とか落ち着いてるけど、一時は自殺の心配をされる位に落ち込んでいたんだぜ?
そうなる事くらい、アンタにだって判っただろう?」
「俺は、どうすれば良かったんですか?」
「俺にも経験があるから言うけど、あの手の女は特別に情が深いんだ。並のダメ男じゃ見捨ててはくれないよ。
望み通りに抱いてやれば良かったんだよ。
抱きながら、死にたくねえってアンタが涙の一つも見せれば、こんな面倒な事にはならなかったんだ。
大事な時間を無駄にしやがって・・・。アンタ、ほのかに会いたいんだろ?」


1180 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:34:18 ID:3PDqro4M0
宗一郎は頷いた。
「アンタが会いたいと言っても、ほのかがウンと言うかは判らないぞ?
それに、そこの彼女の許しも貰わないとな」
「姐さん、ほのかが彼に逢うことを許してやってくれないかな?アンタには酷な話かもしれないけど。頼むよ」
女の顔は強張っていた。だが、彼女はこう答えた。
「宗ちゃんが会いたいと言うなら・・・・・・」
「そうか、ありがとう」
今週中に連絡すると言って俺は病室を後にした。
 
駐車場で俺は肩を叩かれた。
宗一郎の母親だった。
「お話があります」
深刻な表情の母親を乗せて、俺は車を出した。


1181 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:35:29 ID:3PDqro4M0
スタンドに車を入れ、併設されていたドトールに俺達は入った。
「それで、話って?」
硬い表情のままだった彼女は、しばしの沈黙の後、重い口を開いた。
「お願いです・・・ほのかさんを息子に会わせるのは止めて貰えませんか?」
「何故?」
「私達親子はあの人に恨まれています。
私、あの人にとても酷い事を言ったの・・・・・・私なら絶対に、一生許せないような酷い事を・・・・・・
許して欲しいなんて言えないし、私の事だったらどんなに恨んでもらっても構わない。
でも多分、ほのかさんは、あの人を捨てた息子を恨んでる・・・・・・」
「何故、そんな風に思うのですか?」
「こんな事、言った所で信じては貰えないでしょうけど・・・・・・私は見たの!何度も、何度も!」
「何を?」
「あの人の・・・・・・何て言うの?怨霊?亡霊? それが、息子に取り憑いているのよ!」


1182 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:36:56 ID:3PDqro4M0
母親の言葉を聞いて、俺はようやく納得した。
ほのかの部屋に漂う異様な気配はそう言うことかと。
「お母さん、人を呪わば穴二つって言葉は知ってますよね?
貴女は多分、ほのかに初めて会ったときから、そして、宗一郎君が病気になってからも、ずっと思っていたんじゃないですか?
『あの女さえ居なければ』と・・・・・・
それに、こうも思っていた。宗一郎君の病気の発見が遅れて手遅れになったのは、ほのかの所為だと・・・」
彼女は俯いたまま涙を流した。
「貴女が病室で見たほのかの『生霊』を怨霊だと思ってしまったのは、貴女が彼女に抱いている感情がそう見せているだけですよ。
あの娘と知り合って長いし、俺にもあの娘と同じような境遇の彼女がいたから判るんです。
ほのかは貴女に言われた事で傷付きもしたし、悔しさや悲しさに涙も流しただろうけど、多分、貴女に対する恨みなんて忘れてしまってますよ。
それより、総一郎君に会いたいって気持ちで一杯のはずです。それこそ、生霊を飛ばしてしまうほどにね」
「・・・・・・」
「ほのかは今、精神的に危ない状態なんです。何とかバランスを取っているけれど、ちょっとしたショックでどう転ぶか判らない。
嫌われて捨てられたと誤解したまま、宗一郎君が亡くなったら、後を追いかねない・・・・・・あの娘には宗一郎君しか居ないんです。
・・・・・・彼との思い出があれば、多分、あの娘は生きて行けます。だから、彼女が彼に会う事を許してやって下さい」


1183 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:38:23 ID:3PDqro4M0
俺は、ほのかに宗一郎の病気の事を話した。
始めは駄々を捏ねたが、病院まで無理やり連れて行くと後は流れに任せるだけだった。
宗一郎は余命1年の宣告を受けてから、3年間近く生き続けた。
 
宗一郎の通夜の日。
焼香を済ませて立ち去ろうとする俺に声を掛けてきた女が居た。
「私の事、覚えてます?」
「ああ、病院で会った・・・。その節はどうも」母親と交代で宗一郎の看病をしていた従妹だった。
「ほのかに会っていかないんですか?呼んできましょうか?」
「いいよ」
「それじゃ、ちょっと私に付き合って下さい」


1184 :鏡 ◆cmuuOjbHnQ:2011/02/20(日) 11:40:27 ID:3PDqro4M0
俺達は、葬儀場の直ぐ近くの喫茶店に入った。
ショートケーキを頬張り、飲み物を啜りながら彼女は言った。
「私、貴方を恨んでます」
「・・・・・・そうか」
「そうです!貴方が来なければ、最期まで宗ちゃんを独占できたのに!」
「悪かったな」
「それに、ほのかなんて大嫌いでした」
「・・・・・・」
「私、ずっと宗ちゃんが大好きで、やっと気持ちを伝えたのに、好きな人が居るからって・・・・・・
会った事無かったけど、ほのかも宗ちゃんも居なくなっちゃえって思ってました」
「伯母様に、ほのかの事は聞いていたから、どんなキモイのを連れてくるかと思ってたけど・・・・・・
ほのか・・・・・・悔しいくらいキレイで・・・・・・いい子だったんですよ。
嫌な奴だったら良かったのに・・・・・・私にまで優しくて・・・・・・私が男だったら放って置きません」
「それで、俺にどうしろと?」
「ほのかとの友情に免じて、ここの支払いで許してあげます」
涙を拭きながら、彼女は店員を呼んだ。
「すみません、シフォンケーキを一つ。コーヒーのお代わりもお願いします!」

俺は、ぬるくなった珈琲を飲み干した。


おわり

  

2010年10月01日

心霊イイ話 父の匂い

父の匂い


637 本当にあった怖い名無し 2006/11/06(月) 23:00:33 ID:awEXq398O
怖い話と言うか…

俺は小学生の時父親を亡くし母一人子一人で育ったんだけど…
中学生の時、授業中に突然先生から「おい〇〇!!お母さんが職場で倒れたそうだ。すぐに××病院に行け!!」と告げられ、自転車で慌てて向かった。
病院まではかなりの距離があり途中には長い上り坂があった。
こいでもこいでも坂は続いていてなかなか上り切らない…
気ばかりが焦っているとフッとペダルが軽くなった。
まるで誰かに押されたかの様に…
俺は振り返って確かめようとしたけど出来なかった…
なぜならその時、亡くなった父親の匂いがしたから…
なんとも懐かしい匂いになぜだか涙があふれてきた…
息を切らして何とか坂を上り切った時、俺は泣きながら「ありがとう」と呟いた…

病院では母親が意識を失っていたけど何とか一命は取り止めた。

後日、意識を取り戻した母親から聞かされた。
意識を失ってる間ずっと父親の夢をみていたと…
俺は心の中で改めて父親に礼を言った。

  

Posted by アマミキョ  at 19:17Comments(0)TrackBack(0)心霊ちょっとイイ話

2010年10月01日

コワイ話 建前と本音

仕事でも、人を傷付けちゃいけません。

仕事でも、自分に嘘ついちゃいけません。

仕事よりも道理をとりましょうよ。ねぇ。

思いやりと正直が第一です。
___________


建て前と本音


106 1/4 sage 2009/09/23(水) 01:32:25 ID:4wlNAHeP0
俺は小売業で、いわゆる「バイヤー」をやっていた。

簡単に言えば、メーカーから品物を「安く仕入れる」仕事だ。
仕入れ値が安ければ、その分儲けは多くなる。簡単な理屈だがメーカーも儲けの為にはなかなか仕入れ値は下げない。
そこを何とかあの手この手で下げさせるのがバイヤーの手腕であり、俺も随分メーカーの営業を泣かせてきた。
これだけ仕入れてるんだから、お宅以外にも取引先はたくさんある、この値段で出せないならもう取引停止だ、等などかなり強気にやってきた。

そんなやり方だったから、俺と商談する営業の中には体を壊したり、精神を壊したりする奴も結構いた。担当が替わるたび、新しい担当がオドオドした目で俺を見てくるのが不愉快でもあり、苦痛でもあった。

そんな中、唯一俺の強気な商談にも、いつも調子良く答えてくれるTという営業がいた。他社が逃げ出すような値段でも、ちょっと考えただけで「わかりました!」と快諾してくれるTは、俺にとっても非常に有難い存在だった。

Tとの付き合いは長く、仕事を離れて飲みに行ったり、互いにお中元、お歳暮など送りあったり、今では数少なくなった「古き良き付き合い」をしていた。



107 2/4 sage 2009/09/23(水) 01:33:44 ID:4wlNAHeP0
そんなTが、あるときこんな事を言った。取引先メーカー内で、俺の存在が日に日に煙たくなっていると。Tは長い付き合いもあってか俺に同情的だったが、担当がコロコロ替わっている他のメーカーは、俺のやり方にもううんざりしていると。
俺は、日ごろから言われている事だ、と笑い飛ばしたが、商談の最後にTが神妙な顔で気をつけた方がいいですよ、と俺に言ったのが印象的だった。

それから程なくして、実害が出始めた。俺の家に嫌がらせの張り紙や、無言電話がかかってくるようになった。妻は社内結婚ということもあって、俺のやり方はわかっており、それに対する嫌がらせだということもわかっていたので、張り紙をはがし、無言電話は無視するかすぐ切るという冷静な対応をしてくれた。

だがある夜帰ると、妻の顔色がすぐれない。ポストを見てきて、と微かに震えた声で言う。
何事かと思いポストを見ると、血塗れの塊が入っている。何かの内臓のような、肉片だった。

俺は、嫌がらせにしては度が過ぎると思い、次の日出社すると、片っ端から取引先に電話をした。営業たちは慌てて否定していたが、犯人がこの中にいることは明白だった。
信頼のおけるTにも内容を話し、取引先同士の横のつながりから、犯人の目星をつけてもらうよう依頼した。Tも乗り気で、探偵ごっこみたいで楽しそうですね、などとのんきなことを言っていた。

電話口で、全員に対して犯人扱いをし、金輪際こんな嫌がらせはするな、ときつく言い放った俺だったが、その後も嫌がらせは終わる気配が全くなかった。
毎日のように商談で俺に会いにくるTの方も、手がかりは掴めていないようだった。


108 3/4 sage 2009/09/23(水) 01:34:37 ID:4wlNAHeP0
業を煮やした俺は、玄関に小型のビデオカメラを設置した。植え込みに隠すように設置し、テープの時間目いっぱいまで録画した。映っていればしめたもの、動かぬ証拠として犯人を呼びつけてテープを見せつけてやるつもりだった。

そして、カメラを設置した翌日、録画されたテープを再生していた俺は、信じられないものを見た。顔はよく見えないが、見覚えのあるネクタイが映っていた。

そのネクタイは、その日の商談でTがしていたものだった。歳の割りに若いデザインで、もう若くないんだぞ、とからかった記憶がまざまざと甦ってくる。

信じたくない気持ちと、裏切られた気持ちで俺はTとの商談を迎えた。Tは変わらずいつもの調子で笑いながら「手がかりはまだつかめない」などと言っている。俺はこらえきれず切り出した。
ビデオカメラを設置していたこと、人影が映っていたこと。ネクタイに見覚えがあったこと。

Tはそれらを聞いたあとも、いつもの調子を崩すことなく笑っていた。「そうですか」と。
俺はその様子にたまらなく不気味なものを感じ、Tをそれ以上問い詰めることができなかった。
Tの上司から俺に今回の件についての説明をするように、と言うのがやっとだった。
Tは笑いながら「わかりました」と答え、去っていった。



109 4/4-1 sage 2009/09/23(水) 01:36:04 ID:4wlNAHeP0
それから2週間、Tとは音信不通になった。Tの上司が、後任と思われる若い営業を連れ、菓子折りを持ってやってきたのは3週間後だった。
上司は、俺との挨拶もそこそこに土下座した。大変申し訳ありません、と。
俺はまだTに裏切られたショックが癒えず、激昂する気力もなかったので、ただ説明を求めた。
何故Tは俺に嫌がらせをしたのか、毎日のように顔を合わせていて、それなりに信頼関係もあったはずなのに。そして上司の口から説明をするよう求めたのに、3週間も待たされたのは何故なのか。

これらの事を話していると、みるみる上司の顔色が変わってきた。後任の営業も言葉を失っている。
訝しげにその様子を見ていると、上司は「これから話すことは、的外れかもしれませんが」と前置きした上で話し始めた。その内容を聞いているうち、俺は気が狂いそうになった。




110 4/4-2 sage 2009/09/23(水) 01:36:49 ID:4wlNAHeP0
そもそも、Tは3ヶ月前に俺の担当を外されていた。そして後任の営業が決まり、社内での引継ぎも終わり、あとは俺への挨拶だけ、というところまで行っていたが、Tは頑なに後任を俺に会わせようとはしなかった。
「お前じゃあいつの相手はできない。あいつは人の皮を被った悪魔だ」と、Tは後任に言っていたらしい。
そしてTは毎日のように無断で外出を繰り返し、2ヶ月前には停職処分となっていた。
停職となった後も、Tは後任に電話をかけ、俺の元に行かないように念を押していた。後任もTのあまりの気迫と異様な執着を不気味に感じ、俺に会いに来れなかった。
そして1ヶ月前、自宅で首を吊っているTが発見された。Tの社内では大騒ぎになったが、俺への連絡は後任に任され、後任は後任でまだ俺への挨拶も済ませていない手前、いきなり「Tが自殺しました」と言い出すことができず今日に至ったと。

Tは担当を外されても何故、俺の元へ毎日のように来ていたのか。
1ヶ月前に死んだTが、何故3週間前に俺の家に嫌がらせをし、翌日の商談に現れたのか。

今ではもう知るすべはない。霊なんて信じちゃいないし、例え3週間前に現れたTが霊であったとしても、それは些細な問題だ。俺が一番怖かったのは、人間の情念と、建前と本音の落差だ。
表面上の付き合いをうまくやれる奴ほど、その反動として裏の顔が凄まじいものになる。

俺は程なくして会社を辞めた。今でも最後に会ったときのTの無機質な笑顔をふと思い出す。
  

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2010年10月01日

コワイ話 誇り

誇り


724 本当にあった怖い名無し sage 2009/09/04(金) 14:31:38 ID:0U0ZTix/0
うちの婆ちゃんから聞いた戦争のときの話。

婆ちゃんのお兄さんはかなり優秀な人だったそうで、
戦闘機に乗って戦ったらしい。
そして、神風特攻にて戦死してしまったそうです。

当時婆ちゃんは、製糸工場を営んでいる親戚の家に疎開していました。
ある日の夜、コツンコツンと雨戸をたたく音がしたそうです。
だれぞと声をかけども返事はなし、
しょうがなく重い雨戸を開けたのですが、それでも誰もいない。
婆ちゃんは、それになにか虫の報せを感じたそうで、
「兄ちゃんか?」と叫んだそうです。返事はありませんでした。

その後戦争が終わり、婆ちゃんは実家に戻りました。
そしてお兄さんの戦死の報せと遺品、遺書が届いたそうです。
婆ちゃんは母親、他の兄弟たちと泣いて泣いて悲しみました。
遺書には、お母さんや他の兄弟について一人一人へのメッセージが書いてありました。
婆ちゃん宛には、次のように書かれていたそうです。

「キミイよ。兄ちゃんが天国いけるように祈ってくれ。弁当を食べてから逝くから、空腹の心配は無い。
 この国を、日本を頼んだぞ。負けても立ち上がれ、誇りを捨てるな。
 まずしくともよし、泥をかぶってもよし。かねを持っても、うまいものを食ってもよいのだ。
 ただひとつ心を汚すな。それが日本人だ。心を汚されたときこそ、おこれ。
 黄色のりぼんがよく似合っていた。兄はいつも共にある。うつくしくあれ、キミイよ。」
 
婆ちゃんは疎開先の製糸工場にいるとき、当時出来たばかりの新商品である黄色のヒモを
毎日お下げに巻いていたそうです。
お兄さんにその黄色のヒモを見せたことは一度も無かったので、
あの雨の日にワタシに会いに来たんだと、婆ちゃんは生涯信じていました。
  

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2010年09月29日

怖い話 障り

障り


962 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 21:52:10 ID:r1Z1RUJQ0
試験勉強に行き詰ったから
気分転換に後日書こうと思ってた話をするよ

俺 都内大学4年 (暇人)
A 同じクラスの男 (野球部)
B 同じクラスの男 (サークル)

先日、大学の友人であるAの自宅に俺とBは遊びに行ったわけだ。
Aの自宅は大学からほど近く、その地元ではかな~り有名な一族の家。
どれだけ有名かと言うと、普通にAと同じ表札がいっぱい&その町の議長さんも一族。
十五宗家(曖昧)とかあるらしく、Aはその宗家の一つの長男だそうだ。
他の数多いAの名前の人達は、Aいわく「分家だよ~」ということだった。
とりあえず、ずっと都内に在住しているけど、こんな町があるんか!と正直驚いてた。
期待した通りに、Aの実家は結構大きかった。でも、公共事業の道路拡張か何かがあった影響で
A「元いた屋敷から立ち退いたんだよね~」と言っていた。
爺ちゃん達との二世帯住宅とは言え、立ち退いて都内200坪オーバーはおかしいだろ

まぁ、家のことはどうでもいいや。
少しだけ気になったのは、その庭に少し古めかしいミニ神社みたいなのがあったんだ。
語彙がなくて的確な表現じゃないかもしれないけど、小さな鳥居+神社みたいな。
俺「なにあれ?」
A「……まぁ、あれだよ。神様っぽいの」
あんまり聞いてはいけないものだったのかな、という反応だった。
いつもニコニコして「何とかだよ~」って気さくに語尾のばした喋り方なんだ、Aってやつは。
B「うひゃ、すっげ!」
A「……まぁ、早く飯食おう」
とりあえず空気を読んで、俺もBもさっさとA宅に入って行った。
洒落怖好きなので「あとでデジカメで撮ってやるかなぁ」と思っていた俺は馬鹿だと思う。



963 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 21:53:25 ID:r1Z1RUJQ0
「2」
夕飯は豪華だった。Aの母親(以下A母)は料理がうまい! 酒もうまかった!
妹(以下A妹)もかわいかった(笑)。それもあってかBは酒に弱いのに随分と飲んでいた。
Aがいなければ、間違いなく口説き始めていたんじゃなかろうかw

って、まぁ、試験対策の話とか、法学部だから今年の研究をどうするか、とか話して夜は過ぎたわけだ。
Bは大学から2時間かかる実家在住なので深夜にならずに俺もBも帰宅することに。
俺はほろ酔い。Bは泥酔とまではいかないけど、一人で帰宅させるには心配な状態だった。
とりあえず、玄関を出て正面門まで行った時。
俺「そいじゃ、また来週の月曜にね」
A「テスト中に解答見せてねw」
とか普通に喋っていたら、Bが「ほっほ~」とか言いながら走り出した。
でだ、例の変なミニ神社っぽいところに行ったわけだ。俺とAは何となく眺めていただけだった。
B「……ドアなんか、ついてるんだ」
酔いどれBが手を伸ばした瞬間だった。
A「ごるぁっ!!!!!!!」
さすがは野球部と言わんばかりの大声を出して走り出した。
さすがにBもビクッとした様子だったけど、その後にそのまま尻餅をついて動かなくなった。
俺は正直、Aの声にびびって尻餅ついたんだと思ってた。
でも、すぐさまBのとこに駆け寄ったAの様子がちょっとおかしかった。Bの方を叩いてBの名前を連呼していた。
尻餅をついたままの格好でBには反応がない。
俺「……何をふざけてるんだよ」
B「ぎぎぎぎぎぎっ!」
歯軋りをたて始めた。Aは相変らずBの名前を連呼している。



964 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 21:58:50 ID:r1Z1RUJQ0
「3」
俺「おいおい、何をやってんだよ?」
A「お母さんよ! やっばいぞ、ちょっと来てくれ!」
と大声で叫び始めた。
時刻は23時くらいだからまで近所も起きているとは思うが、ちょっと迷惑だろう。
俺「…おい?」
A「ふざけてんな馬鹿、早く呼んでこい!!」
すっげぇでかい声だった。Aの声にビビッてると、俺が呼ぶまでもなくAの一家が駆け出してくる。
A母「どうした!?」
A「わけわかんねぇ、こいつ」
A母「……しっかり見てなかったのか、アホ!!」
A「こいつが急にやりやがったんだ!」
A母「すぐにお父さんに電話! あとはD寺にも!」
A妹「わかった。何て言えばいいの?」
A母「○様って言えばわかる!」
すぐさまミニ神社の扉みたいなものを閉めるA母。
A爺「……宗家の連中にも一応、声かけておくか」
とだけ言い残してA婆と一緒に自宅へ。
B「あう~あう~あう~」
とよくわかんない声を出しているB、それを抱きかかえながら名前を連呼して背中を叩くA。
さすがに酔いが冷めてきて気味悪いし、ものすごく怖くなってきてしまった。すぐさま携帯を取り出して、
俺「……け、警察ですか!?」
A「警察なんていらねぇんだよ、黙ってろ馬鹿!!」
今までの俺の知っていたAではなかった。



965 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 21:59:52 ID:r1Z1RUJQ0
「4」
しばらくすると、A父が帰宅。
同じようなタイミングでD寺から住職さんが到着(以下D住職 これも遠い血縁者らしい)。
一階の仏間に引きずられれていたBは、白目を剥いて魚のように口をパクパクさせながら、
相変らずに「あう~」とかわけわからない声しか出さない。
A爺、A婆、A母、A父、A、D住職がBを取り囲んでいる。俺はと言うとA妹と少し離れた場所に正座で座っていた。
Bがどうなっているのか、それも怖かったけど、線香が漂う中でAの一家が妙に不気味に感じて仕方がなかった。
洒落怖とか見てて、調子に乗っていた自分がものすごく嫌になった。
目の前で友達一人奇声を上げただけで本気でビビッてるくらいだからね。
A父「どうですかね?」
D住職「……まぁ、大丈夫だと思いますよ。当番はどこでしたっけ?」
A父「うちの当番は、○年前です。今は『○屋』さんですね」
何やら聞きなれない屋号の名前が出てきた。
Aにあとで聞いた限りでは、宗家はそれぞれの「屋号」があり、それでお互いを呼び合っているらしい。
しばらくはBの様子を伺っていたけど、
D住職「なるほど」
A爺「何年ぶりくらいですかね、こういうの」
D住職「この子も運が悪かったね」
何か、淡々と事が進んでいく。

プルルルルルルル!

突然に電話が鳴った。
これにビックリした。思わず悲鳴を上げて飛び上がったのでA妹に失笑された。
A婆が電話を出るためにその場から去った。



966 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 22:00:53 ID:r1Z1RUJQ0
「5」
相変らずBは「あう~」状態だ。
そんなBの背後にD住職は移動した。そして背中に耳を当てて目を閉じる。
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「あう~」
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「あう~」
何度かそんなことを繰り返していたら、
A婆「神社から、大丈夫かって電話がきましたよ」
D住職「あぁ、今回は大丈夫そうだと、伝えてください」
A婆「わかりました」
そしてD住職はまた同じ作業に戻った。
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「あう~」
何というか、子供をあやしているようでじれったい。
お坊さんならお経でも読んで一発で除霊でもすればいいものを!とか俺は考えていた。
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「……ヤダ」
その声は明らかにBの声じゃなかった。全身に鳥肌がたつ。
これにはさすがにAの一家も驚いたようだ。



967 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 22:01:46 ID:r1Z1RUJQ0
「ラスト!」
動揺が走ったがD住職は落ち着いていた。
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「……ヤダ」
D住職「お酒を用意します。これを飲んでお帰りなさい」
B「あう~」
そうしてからD住職はA爺に用意してもらっていた日本酒をBの口元に運ぶ。
半開きのBの口にそれを流し込むと、バン!と大きく背中を叩いて、
D住職「さぁ、お帰りなさい」
B「……」
そのまま静かになるB、それを見てD住職も「まぁ、大丈夫でしょう」と。
ようやくA一家にも安堵の表情が浮かんだ。

その後、俺もBもA家に泊まることになり、A一族の○屋さんがふろしき包みを持ってA家に来たり、
夜中だというのに何度も電話が鳴ったり、色々と慌しかったけど、無事に次の日を迎えた。
土曜日の朝、Bは何食わぬ顔で目を覚ました。
俺「大丈夫?」
B「ちょ~気持ちよく寝ちまった」
俺「……あ、そう」
って感じで、少しばかりBがむかついた。でも、何事もなさそうで良かった。
なにせ「……ヤダ」って声には驚いた。あれがいわゆる壊れたレコーダーの音みたいなやつだね。
話としては以上。
Aに聞いた話は、国際法の勉強がひと段落して気持ちがのったら書いてみようかと思います。
長文、すみませんした




980 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 23:58:22 ID:r1Z1RUJQ0
967国際法の勉強から戻りましたw
とりあえずAと連絡とりながら、再確認

とりあえずAに報告したら
「お前ビビリすぎだよ~。 場所ばれたら殺す。逃げても無駄だから」
とのメールを絵文字なしで頂戴いたしました
とりあえず、伏字にしておいたところはこれで概ねOKということ
結構特定されやすいらしいのでNG多めです(涙)



981 本当にあった怖い名無し 2009/07/15(水) 00:01:56 ID:r1Z1RUJQ0
歴史背景から
Aの一族は源氏に属しており、鎌倉時代に関東より北の方から
恩賞として土地を与えられて都内某所へAの名前は昔の土地でも有名で今でも色々残っている。
たしかに地図みたらあった
今の場所に移ってからもさらに約800年くらい続いている一族
これだけでも俺からするとやばい
例のD寺が建立から600年らしく、土地問題などA一族が色々と貢献してきたらしい
そのためD寺からも色々とよくしてくれる。たぶん、こういう対応も含めて
名前だけ出た神社にもA一族が色々と絡んでいるらしい
A一族どんだけだよ!



982 本当にあった怖い名無し 2009/07/15(水) 00:03:10 ID:r1Z1RUJQ0
で、今回の「あれ」は何か
祭られているものの名前は公表するとわかる人には一発でわかるらしいのでダメ
粗末にすると本気で祟られるらしい
Aもこれを本気で信じ込んでいるので、一族を裏切る真似はできないと語る
とりあえず、Aの言葉通りに「神様」だということ

俺「神様なら神社じゃないの?」
A「正体言ったらばれるから。とりあえず神様っぽいものよ~」

Aの一族の中でも21宗家だけで毎年「主」を決めてその「神様」を迎えるらしい
コトリバコみたいに呪いを薄めるとかではないらしい、残念!
Aの家が担当だったのは4年前で、ちょうどAの大学受験の時だったらしく
「主」の準備で手一杯で家族にはとても受験に構ってもらえなかったと語っている
A以外の宗家の人の庭にも同じミニ神社があるらしい
この回す行事にも特定の名前があるらしいけど秘密
とりあえず秘密が多いのは、
①数年前に某研究会がこれの調査に来たため、ばれる恐れあり
②それに一部団体への対応が面倒ということ



983 本当にあった怖い名無し 2009/07/15(水) 00:06:17 ID:p8GPEb3U0
その代わりにサービスでAはその儀式について教えてくれたよ!

月は冬らしいけど秘密だと(涙)
初日は「主」がたくさん食事を用意しておく
そして祭っている神様の本殿がある土地があるらしく
そこに一族の人を迎えて宴会を行う(ただし、参加は大人だけ)
古くから本殿近くに住んでいる人には迷惑をかけるからと招待したりするらしい
A一族の人間は、ある程度の年齢になるとこの宴会に参加して一族デビューするらしい
そういうAも成人した後にこの宴会の詳細を知ったそうだ
とりあえず、丸一日本殿の場所で宴会みたいなことをしたら
この儀式の本番は二日目
早朝に20宗家の代表だけが集まる。Aの家は昨年からA父に代替わりしたらしい。
そこから先は宗家代表しか知らないらしい。ここで何か特別なことをするらしいのだが、
これは絶対に宗家の代表だけでやらなくてはいけないそうで、調べようもないとのこと

他にも嫁の行事やら、何やら決め事が多いそうだ。A母が面倒くさいと言っているらしい。

俺の聞いたところは以上

Aの方から「勝手に調べられて面倒になるくらいなら、多少は答える」とのこと
  

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2010年09月29日

心霊イイ話 真心のサービス

真心のサービス


910 真心のサービス 2009/08/25(火) 18:15:12 ID:lK4vxk860
5年ほど前、伊豆に旅行をした時の話です。

当時、子供達が10歳と7歳、妻は3年前に亡くなってました。
その1年前から、親父の跡を継いだ鉄工所がちょっとまずくて、しかも子供を二人抱えた
片親ですから、もうばたばたで、フラフラの毎日でした。
でも、鉄工所が順調に持ち直して来たので、休憩の意味で旅行をする事にした訳です。

俺は子供と『お母さんも連れてきてあげたかったねえ。もう亡くなって3年かあ』等と
話してました。それを仲居さんがちょっと聞いてたんでしょうね。
その日の夕飯時、3皿程、料理が乗ったお膳を一つ余分にもってきました。
俺「これは何ですか?」
仲居さん「これは、陰膳です。奥様との思い出を御楽しみ下さい。」
俺はこの粋で優しいサービスに、涙腺がぶわっと崩壊。人前なのに涙を流してしまいました。

その日の夜、にこにこした妻が夢の中に出てきました。ああ、妻の霊も旅行を楽しんでたんだ
なあと嬉しく思った所で目が覚めた。
俺はまた泣いてました。普段泣かない男なのにね。泣きっぱなし旅行のです。



  

Posted by アマミキョ  at 17:41Comments(0)TrackBack(0)心霊ちょっとイイ話

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小さい頃の夢は「マザーテレサ」と「ジャンヌダルク」でした。 あれから20数年、今では立派なメタボとなりました。