2010年09月29日
怖い話 障り
障り
962 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 21:52:10 ID:r1Z1RUJQ0
試験勉強に行き詰ったから
気分転換に後日書こうと思ってた話をするよ
俺 都内大学4年 (暇人)
A 同じクラスの男 (野球部)
B 同じクラスの男 (サークル)
先日、大学の友人であるAの自宅に俺とBは遊びに行ったわけだ。
Aの自宅は大学からほど近く、その地元ではかな~り有名な一族の家。
どれだけ有名かと言うと、普通にAと同じ表札がいっぱい&その町の議長さんも一族。
十五宗家(曖昧)とかあるらしく、Aはその宗家の一つの長男だそうだ。
他の数多いAの名前の人達は、Aいわく「分家だよ~」ということだった。
とりあえず、ずっと都内に在住しているけど、こんな町があるんか!と正直驚いてた。
期待した通りに、Aの実家は結構大きかった。でも、公共事業の道路拡張か何かがあった影響で
A「元いた屋敷から立ち退いたんだよね~」と言っていた。
爺ちゃん達との二世帯住宅とは言え、立ち退いて都内200坪オーバーはおかしいだろ
まぁ、家のことはどうでもいいや。
少しだけ気になったのは、その庭に少し古めかしいミニ神社みたいなのがあったんだ。
語彙がなくて的確な表現じゃないかもしれないけど、小さな鳥居+神社みたいな。
俺「なにあれ?」
A「……まぁ、あれだよ。神様っぽいの」
あんまり聞いてはいけないものだったのかな、という反応だった。
いつもニコニコして「何とかだよ~」って気さくに語尾のばした喋り方なんだ、Aってやつは。
B「うひゃ、すっげ!」
A「……まぁ、早く飯食おう」
とりあえず空気を読んで、俺もBもさっさとA宅に入って行った。
洒落怖好きなので「あとでデジカメで撮ってやるかなぁ」と思っていた俺は馬鹿だと思う。
963 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 21:53:25 ID:r1Z1RUJQ0
「2」
夕飯は豪華だった。Aの母親(以下A母)は料理がうまい! 酒もうまかった!
妹(以下A妹)もかわいかった(笑)。それもあってかBは酒に弱いのに随分と飲んでいた。
Aがいなければ、間違いなく口説き始めていたんじゃなかろうかw
って、まぁ、試験対策の話とか、法学部だから今年の研究をどうするか、とか話して夜は過ぎたわけだ。
Bは大学から2時間かかる実家在住なので深夜にならずに俺もBも帰宅することに。
俺はほろ酔い。Bは泥酔とまではいかないけど、一人で帰宅させるには心配な状態だった。
とりあえず、玄関を出て正面門まで行った時。
俺「そいじゃ、また来週の月曜にね」
A「テスト中に解答見せてねw」
とか普通に喋っていたら、Bが「ほっほ~」とか言いながら走り出した。
でだ、例の変なミニ神社っぽいところに行ったわけだ。俺とAは何となく眺めていただけだった。
B「……ドアなんか、ついてるんだ」
酔いどれBが手を伸ばした瞬間だった。
A「ごるぁっ!!!!!!!」
さすがは野球部と言わんばかりの大声を出して走り出した。
さすがにBもビクッとした様子だったけど、その後にそのまま尻餅をついて動かなくなった。
俺は正直、Aの声にびびって尻餅ついたんだと思ってた。
でも、すぐさまBのとこに駆け寄ったAの様子がちょっとおかしかった。Bの方を叩いてBの名前を連呼していた。
尻餅をついたままの格好でBには反応がない。
俺「……何をふざけてるんだよ」
B「ぎぎぎぎぎぎっ!」
歯軋りをたて始めた。Aは相変らずBの名前を連呼している。
964 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 21:58:50 ID:r1Z1RUJQ0
「3」
俺「おいおい、何をやってんだよ?」
A「お母さんよ! やっばいぞ、ちょっと来てくれ!」
と大声で叫び始めた。
時刻は23時くらいだからまで近所も起きているとは思うが、ちょっと迷惑だろう。
俺「…おい?」
A「ふざけてんな馬鹿、早く呼んでこい!!」
すっげぇでかい声だった。Aの声にビビッてると、俺が呼ぶまでもなくAの一家が駆け出してくる。
A母「どうした!?」
A「わけわかんねぇ、こいつ」
A母「……しっかり見てなかったのか、アホ!!」
A「こいつが急にやりやがったんだ!」
A母「すぐにお父さんに電話! あとはD寺にも!」
A妹「わかった。何て言えばいいの?」
A母「○様って言えばわかる!」
すぐさまミニ神社の扉みたいなものを閉めるA母。
A爺「……宗家の連中にも一応、声かけておくか」
とだけ言い残してA婆と一緒に自宅へ。
B「あう~あう~あう~」
とよくわかんない声を出しているB、それを抱きかかえながら名前を連呼して背中を叩くA。
さすがに酔いが冷めてきて気味悪いし、ものすごく怖くなってきてしまった。すぐさま携帯を取り出して、
俺「……け、警察ですか!?」
A「警察なんていらねぇんだよ、黙ってろ馬鹿!!」
今までの俺の知っていたAではなかった。
965 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 21:59:52 ID:r1Z1RUJQ0
「4」
しばらくすると、A父が帰宅。
同じようなタイミングでD寺から住職さんが到着(以下D住職 これも遠い血縁者らしい)。
一階の仏間に引きずられれていたBは、白目を剥いて魚のように口をパクパクさせながら、
相変らずに「あう~」とかわけわからない声しか出さない。
A爺、A婆、A母、A父、A、D住職がBを取り囲んでいる。俺はと言うとA妹と少し離れた場所に正座で座っていた。
Bがどうなっているのか、それも怖かったけど、線香が漂う中でAの一家が妙に不気味に感じて仕方がなかった。
洒落怖とか見てて、調子に乗っていた自分がものすごく嫌になった。
目の前で友達一人奇声を上げただけで本気でビビッてるくらいだからね。
A父「どうですかね?」
D住職「……まぁ、大丈夫だと思いますよ。当番はどこでしたっけ?」
A父「うちの当番は、○年前です。今は『○屋』さんですね」
何やら聞きなれない屋号の名前が出てきた。
Aにあとで聞いた限りでは、宗家はそれぞれの「屋号」があり、それでお互いを呼び合っているらしい。
しばらくはBの様子を伺っていたけど、
D住職「なるほど」
A爺「何年ぶりくらいですかね、こういうの」
D住職「この子も運が悪かったね」
何か、淡々と事が進んでいく。
プルルルルルルル!
突然に電話が鳴った。
これにビックリした。思わず悲鳴を上げて飛び上がったのでA妹に失笑された。
A婆が電話を出るためにその場から去った。
966 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 22:00:53 ID:r1Z1RUJQ0
「5」
相変らずBは「あう~」状態だ。
そんなBの背後にD住職は移動した。そして背中に耳を当てて目を閉じる。
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「あう~」
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「あう~」
何度かそんなことを繰り返していたら、
A婆「神社から、大丈夫かって電話がきましたよ」
D住職「あぁ、今回は大丈夫そうだと、伝えてください」
A婆「わかりました」
そしてD住職はまた同じ作業に戻った。
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「あう~」
何というか、子供をあやしているようでじれったい。
お坊さんならお経でも読んで一発で除霊でもすればいいものを!とか俺は考えていた。
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「……ヤダ」
その声は明らかにBの声じゃなかった。全身に鳥肌がたつ。
これにはさすがにAの一家も驚いたようだ。
967 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 22:01:46 ID:r1Z1RUJQ0
「ラスト!」
動揺が走ったがD住職は落ち着いていた。
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「……ヤダ」
D住職「お酒を用意します。これを飲んでお帰りなさい」
B「あう~」
そうしてからD住職はA爺に用意してもらっていた日本酒をBの口元に運ぶ。
半開きのBの口にそれを流し込むと、バン!と大きく背中を叩いて、
D住職「さぁ、お帰りなさい」
B「……」
そのまま静かになるB、それを見てD住職も「まぁ、大丈夫でしょう」と。
ようやくA一家にも安堵の表情が浮かんだ。
その後、俺もBもA家に泊まることになり、A一族の○屋さんがふろしき包みを持ってA家に来たり、
夜中だというのに何度も電話が鳴ったり、色々と慌しかったけど、無事に次の日を迎えた。
土曜日の朝、Bは何食わぬ顔で目を覚ました。
俺「大丈夫?」
B「ちょ~気持ちよく寝ちまった」
俺「……あ、そう」
って感じで、少しばかりBがむかついた。でも、何事もなさそうで良かった。
なにせ「……ヤダ」って声には驚いた。あれがいわゆる壊れたレコーダーの音みたいなやつだね。
話としては以上。
Aに聞いた話は、国際法の勉強がひと段落して気持ちがのったら書いてみようかと思います。
長文、すみませんした
980 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 23:58:22 ID:r1Z1RUJQ0
967国際法の勉強から戻りましたw
とりあえずAと連絡とりながら、再確認
とりあえずAに報告したら
「お前ビビリすぎだよ~。 場所ばれたら殺す。逃げても無駄だから」
とのメールを絵文字なしで頂戴いたしました
とりあえず、伏字にしておいたところはこれで概ねOKということ
結構特定されやすいらしいのでNG多めです(涙)
981 本当にあった怖い名無し 2009/07/15(水) 00:01:56 ID:r1Z1RUJQ0
歴史背景から
Aの一族は源氏に属しており、鎌倉時代に関東より北の方から
恩賞として土地を与えられて都内某所へAの名前は昔の土地でも有名で今でも色々残っている。
たしかに地図みたらあった
今の場所に移ってからもさらに約800年くらい続いている一族
これだけでも俺からするとやばい
例のD寺が建立から600年らしく、土地問題などA一族が色々と貢献してきたらしい
そのためD寺からも色々とよくしてくれる。たぶん、こういう対応も含めて
名前だけ出た神社にもA一族が色々と絡んでいるらしい
A一族どんだけだよ!
982 本当にあった怖い名無し 2009/07/15(水) 00:03:10 ID:r1Z1RUJQ0
で、今回の「あれ」は何か
祭られているものの名前は公表するとわかる人には一発でわかるらしいのでダメ
粗末にすると本気で祟られるらしい
Aもこれを本気で信じ込んでいるので、一族を裏切る真似はできないと語る
とりあえず、Aの言葉通りに「神様」だということ
俺「神様なら神社じゃないの?」
A「正体言ったらばれるから。とりあえず神様っぽいものよ~」
Aの一族の中でも21宗家だけで毎年「主」を決めてその「神様」を迎えるらしい
コトリバコみたいに呪いを薄めるとかではないらしい、残念!
Aの家が担当だったのは4年前で、ちょうどAの大学受験の時だったらしく
「主」の準備で手一杯で家族にはとても受験に構ってもらえなかったと語っている
A以外の宗家の人の庭にも同じミニ神社があるらしい
この回す行事にも特定の名前があるらしいけど秘密
とりあえず秘密が多いのは、
①数年前に某研究会がこれの調査に来たため、ばれる恐れあり
②それに一部団体への対応が面倒ということ
983 本当にあった怖い名無し 2009/07/15(水) 00:06:17 ID:p8GPEb3U0
その代わりにサービスでAはその儀式について教えてくれたよ!
月は冬らしいけど秘密だと(涙)
初日は「主」がたくさん食事を用意しておく
そして祭っている神様の本殿がある土地があるらしく
そこに一族の人を迎えて宴会を行う(ただし、参加は大人だけ)
古くから本殿近くに住んでいる人には迷惑をかけるからと招待したりするらしい
A一族の人間は、ある程度の年齢になるとこの宴会に参加して一族デビューするらしい
そういうAも成人した後にこの宴会の詳細を知ったそうだ
とりあえず、丸一日本殿の場所で宴会みたいなことをしたら
この儀式の本番は二日目
早朝に20宗家の代表だけが集まる。Aの家は昨年からA父に代替わりしたらしい。
そこから先は宗家代表しか知らないらしい。ここで何か特別なことをするらしいのだが、
これは絶対に宗家の代表だけでやらなくてはいけないそうで、調べようもないとのこと
他にも嫁の行事やら、何やら決め事が多いそうだ。A母が面倒くさいと言っているらしい。
俺の聞いたところは以上
Aの方から「勝手に調べられて面倒になるくらいなら、多少は答える」とのこと
962 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 21:52:10 ID:r1Z1RUJQ0
試験勉強に行き詰ったから
気分転換に後日書こうと思ってた話をするよ
俺 都内大学4年 (暇人)
A 同じクラスの男 (野球部)
B 同じクラスの男 (サークル)
先日、大学の友人であるAの自宅に俺とBは遊びに行ったわけだ。
Aの自宅は大学からほど近く、その地元ではかな~り有名な一族の家。
どれだけ有名かと言うと、普通にAと同じ表札がいっぱい&その町の議長さんも一族。
十五宗家(曖昧)とかあるらしく、Aはその宗家の一つの長男だそうだ。
他の数多いAの名前の人達は、Aいわく「分家だよ~」ということだった。
とりあえず、ずっと都内に在住しているけど、こんな町があるんか!と正直驚いてた。
期待した通りに、Aの実家は結構大きかった。でも、公共事業の道路拡張か何かがあった影響で
A「元いた屋敷から立ち退いたんだよね~」と言っていた。
爺ちゃん達との二世帯住宅とは言え、立ち退いて都内200坪オーバーはおかしいだろ
まぁ、家のことはどうでもいいや。
少しだけ気になったのは、その庭に少し古めかしいミニ神社みたいなのがあったんだ。
語彙がなくて的確な表現じゃないかもしれないけど、小さな鳥居+神社みたいな。
俺「なにあれ?」
A「……まぁ、あれだよ。神様っぽいの」
あんまり聞いてはいけないものだったのかな、という反応だった。
いつもニコニコして「何とかだよ~」って気さくに語尾のばした喋り方なんだ、Aってやつは。
B「うひゃ、すっげ!」
A「……まぁ、早く飯食おう」
とりあえず空気を読んで、俺もBもさっさとA宅に入って行った。
洒落怖好きなので「あとでデジカメで撮ってやるかなぁ」と思っていた俺は馬鹿だと思う。
963 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 21:53:25 ID:r1Z1RUJQ0
「2」
夕飯は豪華だった。Aの母親(以下A母)は料理がうまい! 酒もうまかった!
妹(以下A妹)もかわいかった(笑)。それもあってかBは酒に弱いのに随分と飲んでいた。
Aがいなければ、間違いなく口説き始めていたんじゃなかろうかw
って、まぁ、試験対策の話とか、法学部だから今年の研究をどうするか、とか話して夜は過ぎたわけだ。
Bは大学から2時間かかる実家在住なので深夜にならずに俺もBも帰宅することに。
俺はほろ酔い。Bは泥酔とまではいかないけど、一人で帰宅させるには心配な状態だった。
とりあえず、玄関を出て正面門まで行った時。
俺「そいじゃ、また来週の月曜にね」
A「テスト中に解答見せてねw」
とか普通に喋っていたら、Bが「ほっほ~」とか言いながら走り出した。
でだ、例の変なミニ神社っぽいところに行ったわけだ。俺とAは何となく眺めていただけだった。
B「……ドアなんか、ついてるんだ」
酔いどれBが手を伸ばした瞬間だった。
A「ごるぁっ!!!!!!!」
さすがは野球部と言わんばかりの大声を出して走り出した。
さすがにBもビクッとした様子だったけど、その後にそのまま尻餅をついて動かなくなった。
俺は正直、Aの声にびびって尻餅ついたんだと思ってた。
でも、すぐさまBのとこに駆け寄ったAの様子がちょっとおかしかった。Bの方を叩いてBの名前を連呼していた。
尻餅をついたままの格好でBには反応がない。
俺「……何をふざけてるんだよ」
B「ぎぎぎぎぎぎっ!」
歯軋りをたて始めた。Aは相変らずBの名前を連呼している。
964 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 21:58:50 ID:r1Z1RUJQ0
「3」
俺「おいおい、何をやってんだよ?」
A「お母さんよ! やっばいぞ、ちょっと来てくれ!」
と大声で叫び始めた。
時刻は23時くらいだからまで近所も起きているとは思うが、ちょっと迷惑だろう。
俺「…おい?」
A「ふざけてんな馬鹿、早く呼んでこい!!」
すっげぇでかい声だった。Aの声にビビッてると、俺が呼ぶまでもなくAの一家が駆け出してくる。
A母「どうした!?」
A「わけわかんねぇ、こいつ」
A母「……しっかり見てなかったのか、アホ!!」
A「こいつが急にやりやがったんだ!」
A母「すぐにお父さんに電話! あとはD寺にも!」
A妹「わかった。何て言えばいいの?」
A母「○様って言えばわかる!」
すぐさまミニ神社の扉みたいなものを閉めるA母。
A爺「……宗家の連中にも一応、声かけておくか」
とだけ言い残してA婆と一緒に自宅へ。
B「あう~あう~あう~」
とよくわかんない声を出しているB、それを抱きかかえながら名前を連呼して背中を叩くA。
さすがに酔いが冷めてきて気味悪いし、ものすごく怖くなってきてしまった。すぐさま携帯を取り出して、
俺「……け、警察ですか!?」
A「警察なんていらねぇんだよ、黙ってろ馬鹿!!」
今までの俺の知っていたAではなかった。
965 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 21:59:52 ID:r1Z1RUJQ0
「4」
しばらくすると、A父が帰宅。
同じようなタイミングでD寺から住職さんが到着(以下D住職 これも遠い血縁者らしい)。
一階の仏間に引きずられれていたBは、白目を剥いて魚のように口をパクパクさせながら、
相変らずに「あう~」とかわけわからない声しか出さない。
A爺、A婆、A母、A父、A、D住職がBを取り囲んでいる。俺はと言うとA妹と少し離れた場所に正座で座っていた。
Bがどうなっているのか、それも怖かったけど、線香が漂う中でAの一家が妙に不気味に感じて仕方がなかった。
洒落怖とか見てて、調子に乗っていた自分がものすごく嫌になった。
目の前で友達一人奇声を上げただけで本気でビビッてるくらいだからね。
A父「どうですかね?」
D住職「……まぁ、大丈夫だと思いますよ。当番はどこでしたっけ?」
A父「うちの当番は、○年前です。今は『○屋』さんですね」
何やら聞きなれない屋号の名前が出てきた。
Aにあとで聞いた限りでは、宗家はそれぞれの「屋号」があり、それでお互いを呼び合っているらしい。
しばらくはBの様子を伺っていたけど、
D住職「なるほど」
A爺「何年ぶりくらいですかね、こういうの」
D住職「この子も運が悪かったね」
何か、淡々と事が進んでいく。
プルルルルルルル!
突然に電話が鳴った。
これにビックリした。思わず悲鳴を上げて飛び上がったのでA妹に失笑された。
A婆が電話を出るためにその場から去った。
966 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 22:00:53 ID:r1Z1RUJQ0
「5」
相変らずBは「あう~」状態だ。
そんなBの背後にD住職は移動した。そして背中に耳を当てて目を閉じる。
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「あう~」
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「あう~」
何度かそんなことを繰り返していたら、
A婆「神社から、大丈夫かって電話がきましたよ」
D住職「あぁ、今回は大丈夫そうだと、伝えてください」
A婆「わかりました」
そしてD住職はまた同じ作業に戻った。
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「あう~」
何というか、子供をあやしているようでじれったい。
お坊さんならお経でも読んで一発で除霊でもすればいいものを!とか俺は考えていた。
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「……ヤダ」
その声は明らかにBの声じゃなかった。全身に鳥肌がたつ。
これにはさすがにAの一家も驚いたようだ。
967 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 22:01:46 ID:r1Z1RUJQ0
「ラスト!」
動揺が走ったがD住職は落ち着いていた。
D住職「そろそろ、お帰りなさい」
B「……ヤダ」
D住職「お酒を用意します。これを飲んでお帰りなさい」
B「あう~」
そうしてからD住職はA爺に用意してもらっていた日本酒をBの口元に運ぶ。
半開きのBの口にそれを流し込むと、バン!と大きく背中を叩いて、
D住職「さぁ、お帰りなさい」
B「……」
そのまま静かになるB、それを見てD住職も「まぁ、大丈夫でしょう」と。
ようやくA一家にも安堵の表情が浮かんだ。
その後、俺もBもA家に泊まることになり、A一族の○屋さんがふろしき包みを持ってA家に来たり、
夜中だというのに何度も電話が鳴ったり、色々と慌しかったけど、無事に次の日を迎えた。
土曜日の朝、Bは何食わぬ顔で目を覚ました。
俺「大丈夫?」
B「ちょ~気持ちよく寝ちまった」
俺「……あ、そう」
って感じで、少しばかりBがむかついた。でも、何事もなさそうで良かった。
なにせ「……ヤダ」って声には驚いた。あれがいわゆる壊れたレコーダーの音みたいなやつだね。
話としては以上。
Aに聞いた話は、国際法の勉強がひと段落して気持ちがのったら書いてみようかと思います。
長文、すみませんした
980 本当にあった怖い名無し 2009/07/14(火) 23:58:22 ID:r1Z1RUJQ0
967国際法の勉強から戻りましたw
とりあえずAと連絡とりながら、再確認
とりあえずAに報告したら
「お前ビビリすぎだよ~。 場所ばれたら殺す。逃げても無駄だから」
とのメールを絵文字なしで頂戴いたしました
とりあえず、伏字にしておいたところはこれで概ねOKということ
結構特定されやすいらしいのでNG多めです(涙)
981 本当にあった怖い名無し 2009/07/15(水) 00:01:56 ID:r1Z1RUJQ0
歴史背景から
Aの一族は源氏に属しており、鎌倉時代に関東より北の方から
恩賞として土地を与えられて都内某所へAの名前は昔の土地でも有名で今でも色々残っている。
たしかに地図みたらあった
今の場所に移ってからもさらに約800年くらい続いている一族
これだけでも俺からするとやばい
例のD寺が建立から600年らしく、土地問題などA一族が色々と貢献してきたらしい
そのためD寺からも色々とよくしてくれる。たぶん、こういう対応も含めて
名前だけ出た神社にもA一族が色々と絡んでいるらしい
A一族どんだけだよ!
982 本当にあった怖い名無し 2009/07/15(水) 00:03:10 ID:r1Z1RUJQ0
で、今回の「あれ」は何か
祭られているものの名前は公表するとわかる人には一発でわかるらしいのでダメ
粗末にすると本気で祟られるらしい
Aもこれを本気で信じ込んでいるので、一族を裏切る真似はできないと語る
とりあえず、Aの言葉通りに「神様」だということ
俺「神様なら神社じゃないの?」
A「正体言ったらばれるから。とりあえず神様っぽいものよ~」
Aの一族の中でも21宗家だけで毎年「主」を決めてその「神様」を迎えるらしい
コトリバコみたいに呪いを薄めるとかではないらしい、残念!
Aの家が担当だったのは4年前で、ちょうどAの大学受験の時だったらしく
「主」の準備で手一杯で家族にはとても受験に構ってもらえなかったと語っている
A以外の宗家の人の庭にも同じミニ神社があるらしい
この回す行事にも特定の名前があるらしいけど秘密
とりあえず秘密が多いのは、
①数年前に某研究会がこれの調査に来たため、ばれる恐れあり
②それに一部団体への対応が面倒ということ
983 本当にあった怖い名無し 2009/07/15(水) 00:06:17 ID:p8GPEb3U0
その代わりにサービスでAはその儀式について教えてくれたよ!
月は冬らしいけど秘密だと(涙)
初日は「主」がたくさん食事を用意しておく
そして祭っている神様の本殿がある土地があるらしく
そこに一族の人を迎えて宴会を行う(ただし、参加は大人だけ)
古くから本殿近くに住んでいる人には迷惑をかけるからと招待したりするらしい
A一族の人間は、ある程度の年齢になるとこの宴会に参加して一族デビューするらしい
そういうAも成人した後にこの宴会の詳細を知ったそうだ
とりあえず、丸一日本殿の場所で宴会みたいなことをしたら
この儀式の本番は二日目
早朝に20宗家の代表だけが集まる。Aの家は昨年からA父に代替わりしたらしい。
そこから先は宗家代表しか知らないらしい。ここで何か特別なことをするらしいのだが、
これは絶対に宗家の代表だけでやらなくてはいけないそうで、調べようもないとのこと
他にも嫁の行事やら、何やら決め事が多いそうだ。A母が面倒くさいと言っているらしい。
俺の聞いたところは以上
Aの方から「勝手に調べられて面倒になるくらいなら、多少は答える」とのこと
2010年09月29日
心霊イイ話 真心のサービス
真心のサービス
910 真心のサービス 2009/08/25(火) 18:15:12 ID:lK4vxk860
5年ほど前、伊豆に旅行をした時の話です。
当時、子供達が10歳と7歳、妻は3年前に亡くなってました。
その1年前から、親父の跡を継いだ鉄工所がちょっとまずくて、しかも子供を二人抱えた
片親ですから、もうばたばたで、フラフラの毎日でした。
でも、鉄工所が順調に持ち直して来たので、休憩の意味で旅行をする事にした訳です。
俺は子供と『お母さんも連れてきてあげたかったねえ。もう亡くなって3年かあ』等と
話してました。それを仲居さんがちょっと聞いてたんでしょうね。
その日の夕飯時、3皿程、料理が乗ったお膳を一つ余分にもってきました。
俺「これは何ですか?」
仲居さん「これは、陰膳です。奥様との思い出を御楽しみ下さい。」
俺はこの粋で優しいサービスに、涙腺がぶわっと崩壊。人前なのに涙を流してしまいました。
その日の夜、にこにこした妻が夢の中に出てきました。ああ、妻の霊も旅行を楽しんでたんだ
なあと嬉しく思った所で目が覚めた。
俺はまた泣いてました。普段泣かない男なのにね。泣きっぱなし旅行のです。
910 真心のサービス 2009/08/25(火) 18:15:12 ID:lK4vxk860
5年ほど前、伊豆に旅行をした時の話です。
当時、子供達が10歳と7歳、妻は3年前に亡くなってました。
その1年前から、親父の跡を継いだ鉄工所がちょっとまずくて、しかも子供を二人抱えた
片親ですから、もうばたばたで、フラフラの毎日でした。
でも、鉄工所が順調に持ち直して来たので、休憩の意味で旅行をする事にした訳です。
俺は子供と『お母さんも連れてきてあげたかったねえ。もう亡くなって3年かあ』等と
話してました。それを仲居さんがちょっと聞いてたんでしょうね。
その日の夕飯時、3皿程、料理が乗ったお膳を一つ余分にもってきました。
俺「これは何ですか?」
仲居さん「これは、陰膳です。奥様との思い出を御楽しみ下さい。」
俺はこの粋で優しいサービスに、涙腺がぶわっと崩壊。人前なのに涙を流してしまいました。
その日の夜、にこにこした妻が夢の中に出てきました。ああ、妻の霊も旅行を楽しんでたんだ
なあと嬉しく思った所で目が覚めた。
俺はまた泣いてました。普段泣かない男なのにね。泣きっぱなし旅行のです。
2010年09月29日
心霊イイ話 最後の「三宅」
最後の「三宅」
70 本当にあった怖い名無し sage 2009/09/07(月) 21:32:40 ID:5h1EXzjK0
ほんのりと怖い話スレから
420 :1/5:2009/09/07(月) 12:59:48 ID:Q1v71Dj+0
8月初旬、夜中に我が家の次男15歳がリビングでいきなり歌い出し、
私も主人も長男17歳もびっくりして飛び起きました。
主人が「コラ!夜中だぞ!!」と言い、電気を点けました。
マンション住まいなもので、深夜の騒音は大迷惑になってしまいます。
長男も次男も小学生の頃から和太鼓をやってるのですが、
そのとき次男は舞台で着る藍染の腹掛けと股引き、頭にはちゃんと
鉢巻を巻き、ご丁寧に地下足袋まで履いていました。
歌っていたのは三宅島に伝わる『木遣り歌』です。
『三宅木遣り太鼓』は三宅島のオリジナルにアレンジが加わった形で
和太鼓の曲として広く伝わるスタンダートです。
次男の所属するチームでは『三宅』を叩く前に『木遣り』を歌うことが
あるのです。
次男は、主人と長男で取り押さえようとしても構わず歌い続け、
主人が口をふさいでもまだもがもがやっています。
寝ぼけてるのかと思い、名前を呼んだり揺すったりしてもダメ。
「ダメだ、とりあえず外に出そう」と、次男にタオルで猿轡をし、
主人と長男が引きずってエレベーターに乗り、駐車場に走りました。
急いで車を出し、次男はまだ歌い続けていましたが
騒音を気にしなくてよくなったことに、とりあえずはホッとして
猿轡を解きました。
成り行き上ハンドルを握っていたのは私でした。
どファミリーなミニバンのセカンドシートに170、175、178cmの男が3人
ぎゅうぎゅうに収まって・・・。
あたふたと夜逃げのように飛び出てきてしまったので
私はパジャマ、主人と長男はTシャツにトランクス1丁。
71 70の2 sage 2009/09/07(月) 21:46:57 ID:uJRXxEOL0
421 :2/5:2009/09/07(月) 13:01:00 ID:Q1v71Dj+0
どこへ行けばいいのか、どうすればいいのか、何が原因なのか、
思いつく限りの意見を出し合った末、主人が言いました。
「病院だな・・・M(長男)、夜中もいける精神科、検索してくれ」
『精神科』という言葉にちょっとドキッとしました。
「携帯持ってこなかった・・・」「俺も・・・」「私も・・・」
「とりあえず携帯と着替えを取りに帰るぞ。俺らは下で待ってるから
Mは家へ走って取ってこい」
主人の言葉に長男もそれしかないと観念し、
「家まで誰にも会いませんように・・・」とつぶやきました。
その時、主人がぼそっと言いました。
「こいつ、いつからこんないい声出るようになった?」
私は次男の異常な様子が心配で、ただオロオロしていましたが、
主人に言われてよく聞いてみると本当に心に染み入ってくるような声でした。
確かに次男の声なのですが、何と言うか・・・伸びだとか節回し?が
急にうまくなっている感じでした。
それからもしばらく歌い続けていましたが、ふいに次男の歌がやみました。
「R(次男)!?」名前を呼んでみましたが無反応。
きりっとした顔のまま正面を見据えています。
かと思ったら、すっと自分の手を見て握ったり開いたりし始めました。
「バチ!これから打つんだ!」
長男が叫びました。
「バチも持ってこよう!」
みんな口には出しませんでしたが、何か科学で説明できない事態が起こってると
このあたりから感じていました。
主人「M、塩も持ってこい」、長男「塩・・・どうするか知ってんの?」
主人「かけたらいいんじゃないか?」、長男「まじかよ・・・」
主人「コンビニで線香も買おう」、長男「コンビニで売ってんの?」
沈黙・・・。
ものすごい不安ではりさけそうでした。
72 70の3 sage 2009/09/07(月) 21:48:13 ID:uJRXxEOL0
422 :3/5:2009/09/07(月) 13:02:05 ID:Q1v71Dj+0
マンション前に着き、長男が意を決したようにTシャツトランクスで
走っていきました。
その後ろ姿に緊急事態の真っ只中だというのに主人がゲラゲラ笑い出し、
私もつられて笑いました。
「よく考えたらめちゃくちゃ笑えるな、これw」
Tシャツトランクスの父と長男が、ばっちり衣装の次男に猿轡をかませて引きずり、
付き添うパジャマの母。
「ものすごい怪しい家族だぜw」
笑いがとまらなくなってしまいました。
すると、それまで険しかった次男の表情が少し柔らかくなった気がしました。
主人は「大丈夫。とにかく今は深夜だし、朝になったら考えたらいい」と
何か達観したような様子でした。
もちろん不安でいっぱいでした。
このまま本来の次男が戻ってこなかったら・・・と思うと、
こちらの方がおかしくなりそうでした。
それでも一瞬和ませてくれた主人にとても感謝しました。
しばらくして長男が荷物を持って戻ってきました。
「まだバチ出すなよ。ここでやられたら殴られる」
主人がジーンズを穿きながら言いました。
私は助手席に移動し、主人の運転で再び走りだしました。
「Rの部屋に入ったら、Tシャツキレイにたたんで置いてあったよ。有り得ねぇ」
長男はそう言いながら携帯で塩の使い方を調べていた。
73 70の4 sage 2009/09/07(月) 21:49:29 ID:uJRXxEOL0
423 :4/5:2009/09/07(月) 13:02:59 ID:Q1v71Dj+0
思いがけず久しぶりに家族(+1?)でドライブとなりましたが、
ある国立公園にたどり着きました。
我が家からは30分ほど山に登ったところにあり、ちょっと名の知れた滝や
秋は紅葉目当てで観光客がやってくる自然の中です。
もちろん、そんな深夜ですから駐車場に他の車はありません。
まずは主人と私が車を降り、次男も長男が促すと降りてきました。
長男が次男に持ってきたバチを渡し、自分もバチを持ち、
滝の音がゴウゴウと遠くから聞こえる方を向いて立ちました。
まず長男が歌い出しました。
それに次男がかぶせるように追いかけます。
歌い終わると長男はすっと座り、次男は腰を低くして構えます。
『三宅』は太鼓を真横に置いて、両側から低い姿勢で打つのです。
長男の地打ち(ベース)が始まり、次男がゆっくりと振りかぶり打ち下ろす。
もちろん太鼓はありませんが、ドーンという響きを感じたような気がしました。
だんだんとペースが上がり、お互いに掛け声をかけながら、エア太鼓は続きます。
長男と次男の『三宅』を初めて見たわけではないし、
ところ構わず始める次男の素振りはそれこそしょっちゅう見ているのに、
なぜか涙がとまりませんでした。
たぶん、次男の中の人にとっては最後の『三宅』だと感じていたからだと思います。
ようやく打ち終わり、2人が立ち上がりました。
次男はまず長男に、そしてこちらを向いて深々と頭を下げました。
顔には涙がぽろぽろと落ちていました。
しばらく泣いて、やがて「兄ちゃん」と言いました。
「Rか?」と聞くと、泣きながらも頷きます。
心底ほっとしました。
塩も線香(売ってた)も出番はありませんでした。
74 70の5 sage 2009/09/07(月) 21:50:48 ID:uJRXxEOL0
424 :5/5:2009/09/07(月) 13:03:50 ID:Q1v71Dj+0
次男は部屋で着替え始めたことも、リビングで歌い出したことも
その後のことも全部覚えていました。
「でも、俺がやったんじゃない」
それはそうでしょう・・・次男もそこそこ打てるようになったとは言え、
あの美しいフォームは次男のそれとはあまりに違いましたから。
どこの誰だったのかは分からないらしいです。
ただ「最初は悲しかった。でも、打ち出したら嬉しかった・・・と思う。
怖かったけど、嫌な感じはしなかった」だそうです。
念のため、翌日私の実家に連れて行き、近所のオガミさん(たぶん拝みさん?)に
見てもらいました。
「何もない。キレイなもんよ」と言ってもらい、やっと本当に安心しました。
「満足して行ってるはずや。無念が晴れたんじゃろ」とも。
「ただし、まだR坊に大きな疲れが残っとる。命が疲れとる。
ゆっくり精神を休ませなあかんよ」と、お守りをいただきました。
それはオガミさん特製のちりめんで出来た小さな袋に勾玉のような綺麗な色の石が
入れられた物でした。
長男は「なんでRより打てる俺じゃなかったんだろ?」と言ってましたが、
オガミさんは「相性もあるし、M坊よりR坊の方が単純やしのぉ」と笑ってました。
次男は達人に貸してから体の使い方がちょっと分かったと言い、
日々、素振りに余念がありません。
何かコツをつかんだのかもしれません。
終始慌てふためいていたため、後から思うと何やらおかしいことになってますが
その時は次男を失うのではと、この上ない恐怖でした。
当の本人は今日もノンキに登校しましたが。
もし良かったら、動画サイトで『三宅木遣り太鼓』『木遣り歌』で検索してみて下さい。
いくつかアップされてると思います。
上手な人の歌や演奏は胸に響くものがありますよ。
70 本当にあった怖い名無し sage 2009/09/07(月) 21:32:40 ID:5h1EXzjK0
ほんのりと怖い話スレから
420 :1/5:2009/09/07(月) 12:59:48 ID:Q1v71Dj+0
8月初旬、夜中に我が家の次男15歳がリビングでいきなり歌い出し、
私も主人も長男17歳もびっくりして飛び起きました。
主人が「コラ!夜中だぞ!!」と言い、電気を点けました。
マンション住まいなもので、深夜の騒音は大迷惑になってしまいます。
長男も次男も小学生の頃から和太鼓をやってるのですが、
そのとき次男は舞台で着る藍染の腹掛けと股引き、頭にはちゃんと
鉢巻を巻き、ご丁寧に地下足袋まで履いていました。
歌っていたのは三宅島に伝わる『木遣り歌』です。
『三宅木遣り太鼓』は三宅島のオリジナルにアレンジが加わった形で
和太鼓の曲として広く伝わるスタンダートです。
次男の所属するチームでは『三宅』を叩く前に『木遣り』を歌うことが
あるのです。
次男は、主人と長男で取り押さえようとしても構わず歌い続け、
主人が口をふさいでもまだもがもがやっています。
寝ぼけてるのかと思い、名前を呼んだり揺すったりしてもダメ。
「ダメだ、とりあえず外に出そう」と、次男にタオルで猿轡をし、
主人と長男が引きずってエレベーターに乗り、駐車場に走りました。
急いで車を出し、次男はまだ歌い続けていましたが
騒音を気にしなくてよくなったことに、とりあえずはホッとして
猿轡を解きました。
成り行き上ハンドルを握っていたのは私でした。
どファミリーなミニバンのセカンドシートに170、175、178cmの男が3人
ぎゅうぎゅうに収まって・・・。
あたふたと夜逃げのように飛び出てきてしまったので
私はパジャマ、主人と長男はTシャツにトランクス1丁。
71 70の2 sage 2009/09/07(月) 21:46:57 ID:uJRXxEOL0
421 :2/5:2009/09/07(月) 13:01:00 ID:Q1v71Dj+0
どこへ行けばいいのか、どうすればいいのか、何が原因なのか、
思いつく限りの意見を出し合った末、主人が言いました。
「病院だな・・・M(長男)、夜中もいける精神科、検索してくれ」
『精神科』という言葉にちょっとドキッとしました。
「携帯持ってこなかった・・・」「俺も・・・」「私も・・・」
「とりあえず携帯と着替えを取りに帰るぞ。俺らは下で待ってるから
Mは家へ走って取ってこい」
主人の言葉に長男もそれしかないと観念し、
「家まで誰にも会いませんように・・・」とつぶやきました。
その時、主人がぼそっと言いました。
「こいつ、いつからこんないい声出るようになった?」
私は次男の異常な様子が心配で、ただオロオロしていましたが、
主人に言われてよく聞いてみると本当に心に染み入ってくるような声でした。
確かに次男の声なのですが、何と言うか・・・伸びだとか節回し?が
急にうまくなっている感じでした。
それからもしばらく歌い続けていましたが、ふいに次男の歌がやみました。
「R(次男)!?」名前を呼んでみましたが無反応。
きりっとした顔のまま正面を見据えています。
かと思ったら、すっと自分の手を見て握ったり開いたりし始めました。
「バチ!これから打つんだ!」
長男が叫びました。
「バチも持ってこよう!」
みんな口には出しませんでしたが、何か科学で説明できない事態が起こってると
このあたりから感じていました。
主人「M、塩も持ってこい」、長男「塩・・・どうするか知ってんの?」
主人「かけたらいいんじゃないか?」、長男「まじかよ・・・」
主人「コンビニで線香も買おう」、長男「コンビニで売ってんの?」
沈黙・・・。
ものすごい不安ではりさけそうでした。
72 70の3 sage 2009/09/07(月) 21:48:13 ID:uJRXxEOL0
422 :3/5:2009/09/07(月) 13:02:05 ID:Q1v71Dj+0
マンション前に着き、長男が意を決したようにTシャツトランクスで
走っていきました。
その後ろ姿に緊急事態の真っ只中だというのに主人がゲラゲラ笑い出し、
私もつられて笑いました。
「よく考えたらめちゃくちゃ笑えるな、これw」
Tシャツトランクスの父と長男が、ばっちり衣装の次男に猿轡をかませて引きずり、
付き添うパジャマの母。
「ものすごい怪しい家族だぜw」
笑いがとまらなくなってしまいました。
すると、それまで険しかった次男の表情が少し柔らかくなった気がしました。
主人は「大丈夫。とにかく今は深夜だし、朝になったら考えたらいい」と
何か達観したような様子でした。
もちろん不安でいっぱいでした。
このまま本来の次男が戻ってこなかったら・・・と思うと、
こちらの方がおかしくなりそうでした。
それでも一瞬和ませてくれた主人にとても感謝しました。
しばらくして長男が荷物を持って戻ってきました。
「まだバチ出すなよ。ここでやられたら殴られる」
主人がジーンズを穿きながら言いました。
私は助手席に移動し、主人の運転で再び走りだしました。
「Rの部屋に入ったら、Tシャツキレイにたたんで置いてあったよ。有り得ねぇ」
長男はそう言いながら携帯で塩の使い方を調べていた。
73 70の4 sage 2009/09/07(月) 21:49:29 ID:uJRXxEOL0
423 :4/5:2009/09/07(月) 13:02:59 ID:Q1v71Dj+0
思いがけず久しぶりに家族(+1?)でドライブとなりましたが、
ある国立公園にたどり着きました。
我が家からは30分ほど山に登ったところにあり、ちょっと名の知れた滝や
秋は紅葉目当てで観光客がやってくる自然の中です。
もちろん、そんな深夜ですから駐車場に他の車はありません。
まずは主人と私が車を降り、次男も長男が促すと降りてきました。
長男が次男に持ってきたバチを渡し、自分もバチを持ち、
滝の音がゴウゴウと遠くから聞こえる方を向いて立ちました。
まず長男が歌い出しました。
それに次男がかぶせるように追いかけます。
歌い終わると長男はすっと座り、次男は腰を低くして構えます。
『三宅』は太鼓を真横に置いて、両側から低い姿勢で打つのです。
長男の地打ち(ベース)が始まり、次男がゆっくりと振りかぶり打ち下ろす。
もちろん太鼓はありませんが、ドーンという響きを感じたような気がしました。
だんだんとペースが上がり、お互いに掛け声をかけながら、エア太鼓は続きます。
長男と次男の『三宅』を初めて見たわけではないし、
ところ構わず始める次男の素振りはそれこそしょっちゅう見ているのに、
なぜか涙がとまりませんでした。
たぶん、次男の中の人にとっては最後の『三宅』だと感じていたからだと思います。
ようやく打ち終わり、2人が立ち上がりました。
次男はまず長男に、そしてこちらを向いて深々と頭を下げました。
顔には涙がぽろぽろと落ちていました。
しばらく泣いて、やがて「兄ちゃん」と言いました。
「Rか?」と聞くと、泣きながらも頷きます。
心底ほっとしました。
塩も線香(売ってた)も出番はありませんでした。
74 70の5 sage 2009/09/07(月) 21:50:48 ID:uJRXxEOL0
424 :5/5:2009/09/07(月) 13:03:50 ID:Q1v71Dj+0
次男は部屋で着替え始めたことも、リビングで歌い出したことも
その後のことも全部覚えていました。
「でも、俺がやったんじゃない」
それはそうでしょう・・・次男もそこそこ打てるようになったとは言え、
あの美しいフォームは次男のそれとはあまりに違いましたから。
どこの誰だったのかは分からないらしいです。
ただ「最初は悲しかった。でも、打ち出したら嬉しかった・・・と思う。
怖かったけど、嫌な感じはしなかった」だそうです。
念のため、翌日私の実家に連れて行き、近所のオガミさん(たぶん拝みさん?)に
見てもらいました。
「何もない。キレイなもんよ」と言ってもらい、やっと本当に安心しました。
「満足して行ってるはずや。無念が晴れたんじゃろ」とも。
「ただし、まだR坊に大きな疲れが残っとる。命が疲れとる。
ゆっくり精神を休ませなあかんよ」と、お守りをいただきました。
それはオガミさん特製のちりめんで出来た小さな袋に勾玉のような綺麗な色の石が
入れられた物でした。
長男は「なんでRより打てる俺じゃなかったんだろ?」と言ってましたが、
オガミさんは「相性もあるし、M坊よりR坊の方が単純やしのぉ」と笑ってました。
次男は達人に貸してから体の使い方がちょっと分かったと言い、
日々、素振りに余念がありません。
何かコツをつかんだのかもしれません。
終始慌てふためいていたため、後から思うと何やらおかしいことになってますが
その時は次男を失うのではと、この上ない恐怖でした。
当の本人は今日もノンキに登校しましたが。
もし良かったら、動画サイトで『三宅木遣り太鼓』『木遣り歌』で検索してみて下さい。
いくつかアップされてると思います。
上手な人の歌や演奏は胸に響くものがありますよ。
2010年09月29日
心霊イイ話 懺悔
親を大事にしろよゴルァ!(`・ω・´)
_______
懺悔
31 1 sage 04/12/09 14:24:04 ID:KQOgpMNT
子供の頃、家は流行らない商店で貧乏だった。
母がパートに出て何とか生活できているよう程度の生活だ。
学校の集金のたびに母親がため息をついていたのをよく憶えている。
別段、小学校、中学校は何とも思わなかったけれど、
高校の入り、進学を考えた頃から両親と喧嘩することが多くなった。
私は大学に進みたかった。美大に行って本格的に絵を描きたかったからだ。
しかし進学するのに必要なお金など、どう考えても捻出できなかった。
毎日、昼のパート、夕方からのパートと掛け持ちで働き、くたくたになっている母親に、
「何で進学できないんだよ!子供の進学資金も出せないようじゃ親失格だぜ!」
と言ったことがある。
母親は涙ぐみ何も言わなかった。
その姿にハッと我に返ったが、ぶつけようのない悔しさが邪魔をしてそのまま謝りもしなかった。
しばらく後になって、あの時なぜ謝らなかったのだろうと猛烈に悔やむことになった。
32 2 sage 04/12/09 14:24:39 ID:KQOgpMNT
母親は事故で亡くなり、直接謝ることは出来なくなってしまったのだ。
パートの帰りの運転中の事故だった。
交差点に突っ込んでの事故で、ブレーキ痕もない、、
過労だと思う、、
葬式の後、母の部屋を整理していて日記とも家計簿とも取れるようなノートを見つけた。
食費や光熱費、、、私は家計をやりくりした事など当然ないが、
そんな私が見てもギリギリの生活だった。
母親が自分のために使ったものなど何一つなかった。
なのに、、私のための進学のための貯金があった。
ぎりぎりの生活の中で、本当に数百円の単位で毎月貯金してあった。
私が怒鳴ったあたりから、パートの時間が増えていた。
後でわかった事だが、パートの勤務時間を頼み込んで増やしていたようだ。
増えた分は全て貯金、、
私はバカだった。
自分のことだけだった。
母の笑った顔を最後に見たのはいつだったろう?
私は何一つ親孝行などしてない、
母がいなくなってから、後悔の連続だった。
苦労ばかりかけて、自分のことばかり考えていた。
何の親孝行もしていない。
なぜあんな事を言ったのか、謝らなかったのか、
謝りたい、心から母に謝りたかった。
33 3 sage 04/12/09 14:26:25 ID:KQOgpMNT
そんな時、ものすごくリアルな夢を見た。
夢の中で母親は居間で座っていた。
母を見つけた私は、泣きながら母親に詫びた。
何もしてやれないで、ひどい事を言って、ごめんと。
本当に子供のように泣いた。
母親は私の手を握って、
「謝らなくちゃいけないのはお母さんだから、、ごめんね」と言った。
それを聞いて、私はますます声をあげて泣いた。
起きた時は枕まで涙で濡れていた。
そして手にははっきりと、母の手の感覚が残っていた。
それだけならリアルな夢で終わっていたのだが、
その夢を見た朝、父が
「今朝、母さんの夢を見た。」と言うのだ。
私のことをよろしくと言ったらしい。
父が直接会いに行って話したらいいと母に言うと、
もう会ってきたからと言ったそうだ。
後悔の念が見せた夢で、偶然の事かもしれない。
でも、夢であれ母に謝ることができて良かった。
34 4 sage 04/12/09 14:27:52 ID:KQOgpMNT
結局、私は大学には行けなかった。
今は普通の会社員だ。
が、暇を見つけては絵を描いて、
描きあがった絵は仏壇の前に飾っている。
絵を好きになったのは、美大に行きたかったのは、
子供の頃「上手に描けたね」と言ってくれた母の一言がきっかけだった。
それに気づいたから。
今も、母の事を思うと自責の念で心が痛むけれど、
その母のためにもがんばって生きていきたいと思う。
長文の上、乱文で申し訳ありませんでした。
いい話とはいえない話だったと思いますが、
読んでくださった方、ありがとうございました。
_______
懺悔
31 1 sage 04/12/09 14:24:04 ID:KQOgpMNT
子供の頃、家は流行らない商店で貧乏だった。
母がパートに出て何とか生活できているよう程度の生活だ。
学校の集金のたびに母親がため息をついていたのをよく憶えている。
別段、小学校、中学校は何とも思わなかったけれど、
高校の入り、進学を考えた頃から両親と喧嘩することが多くなった。
私は大学に進みたかった。美大に行って本格的に絵を描きたかったからだ。
しかし進学するのに必要なお金など、どう考えても捻出できなかった。
毎日、昼のパート、夕方からのパートと掛け持ちで働き、くたくたになっている母親に、
「何で進学できないんだよ!子供の進学資金も出せないようじゃ親失格だぜ!」
と言ったことがある。
母親は涙ぐみ何も言わなかった。
その姿にハッと我に返ったが、ぶつけようのない悔しさが邪魔をしてそのまま謝りもしなかった。
しばらく後になって、あの時なぜ謝らなかったのだろうと猛烈に悔やむことになった。
32 2 sage 04/12/09 14:24:39 ID:KQOgpMNT
母親は事故で亡くなり、直接謝ることは出来なくなってしまったのだ。
パートの帰りの運転中の事故だった。
交差点に突っ込んでの事故で、ブレーキ痕もない、、
過労だと思う、、
葬式の後、母の部屋を整理していて日記とも家計簿とも取れるようなノートを見つけた。
食費や光熱費、、、私は家計をやりくりした事など当然ないが、
そんな私が見てもギリギリの生活だった。
母親が自分のために使ったものなど何一つなかった。
なのに、、私のための進学のための貯金があった。
ぎりぎりの生活の中で、本当に数百円の単位で毎月貯金してあった。
私が怒鳴ったあたりから、パートの時間が増えていた。
後でわかった事だが、パートの勤務時間を頼み込んで増やしていたようだ。
増えた分は全て貯金、、
私はバカだった。
自分のことだけだった。
母の笑った顔を最後に見たのはいつだったろう?
私は何一つ親孝行などしてない、
母がいなくなってから、後悔の連続だった。
苦労ばかりかけて、自分のことばかり考えていた。
何の親孝行もしていない。
なぜあんな事を言ったのか、謝らなかったのか、
謝りたい、心から母に謝りたかった。
33 3 sage 04/12/09 14:26:25 ID:KQOgpMNT
そんな時、ものすごくリアルな夢を見た。
夢の中で母親は居間で座っていた。
母を見つけた私は、泣きながら母親に詫びた。
何もしてやれないで、ひどい事を言って、ごめんと。
本当に子供のように泣いた。
母親は私の手を握って、
「謝らなくちゃいけないのはお母さんだから、、ごめんね」と言った。
それを聞いて、私はますます声をあげて泣いた。
起きた時は枕まで涙で濡れていた。
そして手にははっきりと、母の手の感覚が残っていた。
それだけならリアルな夢で終わっていたのだが、
その夢を見た朝、父が
「今朝、母さんの夢を見た。」と言うのだ。
私のことをよろしくと言ったらしい。
父が直接会いに行って話したらいいと母に言うと、
もう会ってきたからと言ったそうだ。
後悔の念が見せた夢で、偶然の事かもしれない。
でも、夢であれ母に謝ることができて良かった。
34 4 sage 04/12/09 14:27:52 ID:KQOgpMNT
結局、私は大学には行けなかった。
今は普通の会社員だ。
が、暇を見つけては絵を描いて、
描きあがった絵は仏壇の前に飾っている。
絵を好きになったのは、美大に行きたかったのは、
子供の頃「上手に描けたね」と言ってくれた母の一言がきっかけだった。
それに気づいたから。
今も、母の事を思うと自責の念で心が痛むけれど、
その母のためにもがんばって生きていきたいと思う。
長文の上、乱文で申し訳ありませんでした。
いい話とはいえない話だったと思いますが、
読んでくださった方、ありがとうございました。
2010年09月29日
コワイ話 さびた槍
さびた槍
137 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 00:38:23 ID:v636FY7y0
じゃ、書かせてもらいます。書くのがちょっと怖かったって気持ちは
理解してくれると嬉しいです。
俺の実家、岩手県のとある地方なんだけどさ、毎年帰省するんだけどね。
よく田舎って「本家」みたいなのがあるのは分かるかな?
その一族の本家っていうかさ、要は親戚縁者を統括する家みたいなの。
血筋の出所って言えば適切かな。まぁそういうのがあるんだわ。
その本家はね、三百年くらい歴史があるその土地の権力血筋だったんだ。
あまり詳しくは書けないけど、立派な造りなんだよ。ボロっちいけどね。
その本家で俺がまだ当時小学生だった時、夏だったかな、大人達が
囲炉裏のあったっていう(今はない)部屋で、何かゴソゴソ話してるの。
もちろん俺といとこは気になっちゃって、こっそり盗み聞きしようとしたんだ。
大人達っていうのは親戚のオサーンとか、俺のじいちゃんとか、そこら辺の親戚の
人間ね。田舎はコミューンが小さいから、結構血が繋がってるんだ。人口少ないし。
「…どうすん…部屋…」
「空いて…近づくしかね…閉め…」
みたいなこと話してたんだ。あまりよく聞こえなかったんだけどさ。
まぁ盗み聞きはソッコーでバレたんだが、親戚のオサーンが
「おめら、何もきぃてねぇべな!!きぃてねぇべな!!」
って凄い剣幕で俺らに言ってきたんだ。いつもは超優しいオサーンだったもんだから
その形相に俺らはビックリしちゃって、何も聞いてないって言ったの。そしたら
オサーンはいつもの優しいオサーンに戻って
「そうか…」
って肩をなでおろしていたのを今でもハッキリ覚えてる。
151 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 00:58:23 ID:v636FY7y0
時期はお盆でした。風習も面白いところなんだが、俺らガキは大人達から
「お盆の海では絶対にお酔いじゃダメだぞ」
みたいな事をいつも言われてた。まぁシカトして泳いでたし、そういった
霊体験みたいのは何もなかったから全然平気だったんだけどさ、
まぁよく言う海で泳ぐのは危険だから、お盆特有の霊現象みたいなので
子供を海へ近づかせない常套句だったんだろね。これは全国各地である話だよね。
話がちょっと脱線したけど、いつもの夏通りに海へ出かけて釣りしてたの。
釣りへ出かけて楽しんでるとさ、釣りへいつも連れて行ってくれてる親戚のオサーンが
元気ないんだわ。さすがにガキながら心配になり「どうしたの?」みたいな
感じの事を言ったんだ。そしたら、オサーンは「どうもしねから、どうもしねから」
って上の空みたいな返事しかしない。この時点で今ならかなり怪しいと思えたんだが、
なにぶん、当時は小学生のガキだったもんでそこまで気にせず釣りを楽しんでたんだよね。
俺らは釣りにすごくハマってて、夜釣りもしてたんだけど、いつも通り、オサーンに
夜釣りに連れて行ってくれって俺らは夕方くらいに頼んだの。
オサーンは何故かかなり拒否して、今日はやめとくべって言ってきたんだ。
いつもはね、「あべ、あべ」(←行こう。の方言だよ)って自分から言ってくる人なんだけど
何故かかたくなに拒否されたんだ。もうこの時は確か盆の入り直後だった思う。
不思議だなと思ったんだけど、俺らはコッソリ夜釣りに黙って出かけちゃったんだよね。
207 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 01:50:10 ID:v636FY7y0
ああ、早くも煽られてる。。。ま、いいや。
続きです。
夜釣りを楽しんでるとさ、いとこの一人が俺に言ってきたんだ。
「A(←俺)、何かあっちさ人たってねは?」
あっちって方向を指差したのは海のど真ん中。コの字型の岸壁のど真ん中で
確かに人らしきのが海の上に立ってるの。最初は舟の上で漁師のオサーンが
何かしてるんだろうなって思ったけど、そんな気配はない。つーか、舟がない。
きっと幽霊だと思ってなんか俺らは怖がらずに、逆にテンションあがって
ワイワイやってたんですよ…。アホだ…。
そしたらオサーンとじいちゃんとかが、俺らが釣りしていた岸壁に
かなり飛ばして、俺らの背後にある漁港までの山道を飛ばしてきたのに気づいてさ
俺ら見つかってオサーンとじいちゃんにかなりその後しぼられたんだ。
車の中で「何か見たか?何か見てねぇべ!?」って言われてさ、
俺らはその幽霊らしきのを見たとは言わず、また事実を隠しちゃったの。
そしたら、また大人達が肩をなでおろしたのがマジで印象的だった。
車の中で本家に帰る途中、ずっと大人達は無言だったんだ。俺らはそれに
不思議がったんだけど、俺は勝手に釣りに出かけたら怒ってるんだろうなって
思ってた。家に着くと大慌てで婆ちゃんが俺らんとこに来て
「何も見なかったべな!!何も見なかったべな!!」
ってオサーンと同じ事を言ったのよ。で、まぁ見てないみたいな事を言ったら
婆ちゃんフラフラ~って崩れ落ちて泣き出した。悪いことしたなぁって反省したんだが
何がそこまで大人達をさせるのかなって気になったんだよね。すぐ後に婆ちゃんが
「くわっせ、うまかっつぉ」
って言ってくれて夕顔の煮たのを出してくれた。郷土料理だよ、美味しいよ。
いつもの婆ちゃんに戻ってたね。さっきのテンパってた婆ちゃんじゃなくて。
だからなおさら気になったんだよね。
209 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 01:50:42 ID:v636FY7y0
夕顔食いながらさ、ふと気になってたから聞いちゃったんだよね。
何か部屋が開くだの閉めるだのみたいなのをこの間話してたでしょ~みたいな感じで。
そしたらまた空気が変わっちゃってさ、婆ちゃん泣き出す、オサーンはテンパる、
爺ちゃんは電話しだす、オヤジ&おかんはうなだれるみたいな感じにね。
俺らはさすがに怖くなって二人とも泣いちゃった。阿鼻叫喚とはまさにこの事。。。
で、オサーンに別の部屋に連れて行かれてね、盆棚がある部屋なんだけどさ
そこで10分くらい拝まされて、「今日は寝ろは…」って言われたんだけど、
気になって寝れない。まだ婆ちゃん泣いてるし、近所から人来るしさ
寝れるわけねーだろみたいな場だったんですよ。まぁ寝たんだがw
朝起きたら、いつも通りの朝で取り合えず一安心。けど、爺ちゃんは難しそうな顔を
したままだった。起きてソッコーで寺に連れて行かれて、剣舞(←字は合ってるか分からん)
を見せられた。ケンバイっていうのは何か背中に旗さして踊ってるよくわからんもの。
この地域では子ども会みたいなのに入ってるヤツらが踊ってるの。学校の帰りとかに
公民館みたいなところに寄って、夏に踊る為に練習してるんです。俺はやらんかった。
見せられた後に寺の本堂の中に連れて行かれて、坊さんに長々とお経をあげられた。
以降は爺ちゃんとオサーン、坊さんの会話ね。うる覚えだからあれだけどさ…。
あと方言が意味不明だと思うので訳して書きます。爺ちゃんをJ、オサーンをO、坊さんをBとします。
O:「何も見てなかったって言ってました」
B:「だとしたら安心だけど油断は出来ないな」
O:「こっちはこっちで何とか出来るとは思うんですが」
B:「じゃあ、T(本家の屋号)に行くから」
J:「お願いします」
みたいな感じ。もっと沢山話してたんだけど、こんな感じでした。
245 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 02:24:48 ID:v636FY7y0
また途中投下します…。
で、爺ちゃんが俺にね、話してきたの。
俺の言葉で話しちゃうから、この通りに話していた訳じゃないけどね。
内容的にはこんな感じでした。
「お前はこの家の造りはだいたいわかるだろ?部屋が何個ある?
その部屋で物置にしてる部屋があるだろ?その部屋の奥に襖があるだろ。
そこには昔から近づくなとは言われて多と思うけどな、そこの襖が
ちょっとだけ開いたんだ、最近。そこにはな、錆びた槍の先が
しまわれてるところなんだ。」
ってね。本家の部屋は8つくらいあって、縁側が2こある不思議なつくりなんだけどね、
俺が本当に小さい時から言われてたのが、裏の縁側に回るなってことと
物置の部屋には行くなって事。まぁ物置にしてる部屋なんて確かに暗がりで
薄気味悪いから行かなかったんだけどさ、そうやって言われてたの。
その奥に襖があるのはなんとなーくは知ってたんだけど、その前には
荷物やら何やらが山のように置かれてたから、行くにも行けないようになって
たんだよね。俺は薄気味悪いから物置部屋には近づきもしなかったし
そんな襖のことはどうでもいいと思ってた。今これ書きながら考えると
あの荷物群は絶対に意図的なものだったんだろうなって思う。
で、また爺ちゃんが
「その槍の先はな、爺ちゃんの爺ちゃんの(ry のな、ずっと昔から
あるもんなんだ。爺ちゃんもな、前からあれは近づいても見てもダメだって
お前くらいの時には言われてたんだけどな。近づくなって理由は定かではないけど
爺ちゃんが爺ちゃんから聞いた話だとな、あの槍は昔、ここで飢饉があった時に
あの槍でみんなどんどん死んでいったんだ。何であの槍で自殺したのかは
分からないけど、そうやって爺ちゃんは聞かされた。聞かされたのはお前より
もっと大人になってからのことだったんだけどな。実際はどうかは分からん。
その槍は昔からこの家が預かることになっていてな、お前もわかるだろ。
248 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 02:26:04 ID:v636FY7y0
ここら辺で中心的な家がここだってことくらい。だから、その槍の先を預かってるんだ。
押入れの中にただ槍の先がコロンって転がってるだけなんだが、本当に危ないもの
なんだよ。襖にはおまじないがしてあって、開かないようになってるんだ。
もちろんこっちから開ける事は御祓い(?)の時以外は絶対にないからな。
お前も見たことあるだろ。坊さんがたまに来て物置部屋に入っていくの。
あれは御祓いをしていたんだよ。お前ら子供には見せちゃダメだって坊さんから
言われてたしな。お前も坊さんから爺ちゃんやオサーンから言われた通りなことを
そのまま言われたことあるだろ?物置部屋には近づくなって。
けど、いい子だったよ、お前は。ちゃんと近づかなかったしな。お前の父ちゃんは
悪がきだったから子供の頃近づいて襖付近まで行ってしまって、その後大変だったんだ。
とにかく、大変なものが入ってるんだよ。そっから先は婆ちゃんに聞け。」
のような事を言われて、何か気分がさすがに悪くなっちゃってね、婆ちゃんに聞く気にもなれずに
割と放心状態でした。ガキながらに流石にこれは怖かった。けど、婆ちゃんが聞きたくもないのに
こっちに来てさ、言うんだよね。また俺の言葉による内容のまとめになっちゃうけど…。
279 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 03:05:03 ID:v636FY7y0
すいません、やっと終わりました。投下します。
「その飢饉ではな、いっぱい人が死んだし、自殺もしたし、とにかく楽になりたかったんだ。
天国に行って、のんびりしたかったんだ。けど、本当はもっと婆ちゃん達みたいに
もっと長生きしたかったんだと思う。だからお前も、ちゃんと食べられる事に感謝して
毎日元気にしてなきゃいけない。嘘もつかずに真面目に生きなきゃダメだぞ。
嘘つきはダメ。女の人も子供も、その飢饉では沢山死んだんだ。」
みたいな事だった。俺は夜釣りで幽霊らしきのを見たってハッキリ言おうと思ってさ
「海の上に人立ってた」
って言ったんだよね。二人はこの前みたいにテンパらずに「やっぱりな…」って言った。
俺は怖くなっちゃってガクガク震えちゃったんだけど、婆ちゃんが
「大丈夫大丈夫、婆ちゃんついてるから…」って言ってくれた。
けど、婆ちゃんは実際、かなり不安そうな顔をしてた。爺ちゃんはお寺に行ってくるって言って
出かけていったんだ。
で、坊さんが来たのはその話を聞いた次の日だったと思う。いや、思い出した。次の日だったわ。
初めて俺はその時に襖付近へ行く事を許されたんだけど、荷物群を全部取っ払って
何か棚の準備をしたのを手伝わされてさ、ちょっとしたお寺の拝む棚みたいなのを作るのを
手伝わされた。坊さんはあちこちをブツブツ何か言いながら歩いてね、その棚の前に行くと
お経を上げ始めて、俺は出て行くように言われた。襖はたしかにほんの10cmくらい開いてた。
1時間後くらいだったと思う。坊さんが部屋から出てきて、その間に親戚がみんな集まってて、
近所の人も来ていてね。何かみんなで拝んでまた剣舞見てその日が終わった。
坊さんがさ、俺に言ってきたんだけど
280 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 03:05:35 ID:v636FY7y0
「たぶん、今日はちょっとだけビックリする事が起きるかもしれない。
けど、大丈夫だから。たとえそれが起きたとしてもそのままそこにいなさい。
もう大丈夫だから何が起きてもその場を離れちゃダメだよ」
って言われたの。俺は素直にハイって答えました。夜釣りも行く気になれなかった。
その後に坊さんはオサーンや爺ちゃんに話してた。オサーンが坊さんに
「大丈夫なんでしょうか。アイツは大丈夫なんでしょうか。心配です」
みたいな事を言っていたんだけど、坊さんは「大丈夫、その場を離れなければ」って言ってた。
案の定、爺ちゃんやオサーンに俺は念押しされて、坊さんからの言付けを必ず守るようにって
言われた。その後は普通に飯食って、楽しく花火をして、夏を満喫したんだよ。
まぁ怖かったから無理やり花火やって、楽しもうとしてたんだけどね。忘れたかった。
281 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 03:06:08 ID:v636FY7y0
花火も終わり、お風呂も入ったし寝る事にしました。またオサーンに「早く寝ろは…」って言われたし。
で、寝ようとしたんだけど坊さんの言った事が気になってなかなか眠れなかったんだよね。
俺が寝ている部屋はちょうど物置部屋の斜め隣なんだけどさ。何でいつもは気にせず寝てるのに
流石にこの時ばかりはこの位置が気になって眠れないの。そしたら急にコココココ…って何かを
小刻みに何かに当たってる物置部屋のほうからから音がしだして壁のほうから聞こえてくるん
だよね、人間の声がボソボソって。それはどんどん増えて言ってあちこちから聞こえきだすの。
もう今でもちゃんと覚えてる。
「腹…腹…」
「やんた…やんた…生きて…生きてぇ…」
「腹…は…」
「死にたぐね…やんた…」
「腹…腹…」
「やんた…やんた…やんた…」
「お寺さ…やんた…」
「水っこはやんた…も…」
「腹…水っこは…」
「取ってけっつぇ…死にたぐね…生きてぇ…」
283 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 03:07:03 ID:v636FY7y0
って声があちこちから聞こえてくるの。もう怖くて怖くて仕方なかった。発狂しそうだった。
けど坊さんの言付けを守らなきゃって頑張って自分に言い聞かせて、震えながら寝れずに
じっとしてた。声はやまなくてどんどん増えていったんよ。
そしたら俺の寝ている部屋でも何かがコココココ…て聞こえ出してさ、さすがにそれには閉じていた
眼を開けちゃって、その音の方向を見ちゃったんだよね。
そこにはさ、般若の刺繍(?)っていうか、そういった布で出来た飾りみたいなのが額縁に入れられて
あるんだけどそれが揺れてるんだよね。しかも、その般若の刺繍の眼のとこが動いてるの。
さすがに口を閉じたり閉めたりまではしてなかったとは思うんだけど、般若の刺繍のとこらへんからも
同じ言葉が出てきてるんだよね。「腹…腹…」、「やんた…水っこは…」って。
たぶん、それ見て気絶してました。気づいたら朝だったし。
ちゃんとそれを爺ちゃんと坊さんに言って、お寺でまたお経をあげてもらいました。
坊さんは褒めてくれた。爺ちゃんも褒めてくれた。よく頑張ったなって。
何か長くなってしまい、イライラさせてしまいましたが、こんな感じです。
俺が確かに体験して、今でもその話を帰省すると坊さんや爺ちゃんとします。
で、ちゃんと拝んで過ごしています。取り合えず、ここで終わりますが、
何か聞きたいことあったらどうぞよろしくです。
347 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 05:33:13 ID:v636FY7y0
その後だけど、お経をあげてもらって、普通にお盆を過ごしました。
岩手県の夏は本当に綺麗で、この地域でそんな悲しい出来事があった
なんて信じられないくらい。けど、俺はやっぱり元気が出なくて
怖くて当分ビビって過ごしていました。夜がとにかく怖かった。
その度に爺ちゃんやオサーンが大丈夫だとは言ってくれたけど、
やっぱどうしても怖かったんだよね。
けど、釣り好きだから、また懲りずに夜釣りへ出かけました。
坊さんからは何か変なお守りらしきのを貰っていたし。
何て言えばいいのかな、木を本当に薄くスライスしたものみたいなのに
文字が書いてあるやつ。確か三文字くらいだったかな。勿論、漢字。
梵字ではなかったと思います。
夜釣りをしていると、あ、この時はオサーンも一緒です。爺ちゃんも一緒。
静かな海だったな。凪は落ち着いてて、ウミタナゴがよく釣れました。
爺ちゃんが釣りをしながら俺に話しかけてきたんだけど
「どこらへんで○○を見たんだ?どのあたりだ?」
って言ってきました。○○の名前は思い出せない。人名ではなかった。
何かモノの名前だと思う。きっとそれは立っていた人のことなんだろうけど
何だったかな。何か思い出せないの嫌だな。
俺はあのあたりって言って海の真ん中あたりを指しました。
人差し指では注さずに、目線で以ってさした。人差し指でさすとね、
何かまた怖いこと起きるんじゃないかって思っちゃって。
完全にビビりですねw
349 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 05:40:51 ID:v636FY7y0
「そうか…」
って爺ちゃんが言って、涙ぐんでました。そんな爺ちゃんを見るのが
初めてだったから、ビックリしたんだけど、そこでオサーンが
いいからいいから…って言って無理やり俺に釣りを続けさせました。
釣りから帰ってくるとすぐに婆ちゃんから、早く盆棚に拝んできなさいって
言われて、盆棚に拝みに行ったの。
また夜で、怖かった。斜め隣がどうしても気になっちゃうんだよね。
父ちゃんが俺の隣に来て、昔の話をしてくれました。
父ちゃんが経験した話。前記したとは思うんですが、おんぶされたって
やつね。
352 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 05:55:59 ID:v636FY7y0
「父ちゃんはいきなりな、誰かにピョンって飛び乗られたみたいに
重くなってな、動けなくなってな、腹っこ…腹…。取ってけっつぇ…
って言われたんだ。お前ももしかしたらこういう言葉を聴いたかもしれないな。
けどな、それを怖いと思っちゃいけないって爺ちゃんに言われたんだぞ。
まあ無理だよな、確かに怖いしな。怖いかもしれないけど、ここの地域に
そんな悲しい話があったんだ。それを覚えておけば怖いとは思わなくなるさ」
みたいな感じのことだった。
今思うと、襖開けたくせによく言うわって感じなんだけどねw
しまりのない後日談はこんな感じです。。。
ちなみに、分かっている事は
飢饉があったという事。さっき調べましたが、岩手県って冷害が結構あったらしいです。
東北地方の沿岸部は季節風の「やませ」というのが吹きます。それが続いて吹くと
農業も漁業もうまくいきませんので。「やませ」は必ず毎年吹くものなのですが
度合いが違います。
また、飢饉以外にもそれを超える出来事がありました。詳しく書くと
地域を特定されてしまう為に省略しちゃうけど。綺麗な自然とは対照的に
過去にはたくさん悲しいことがあった土地なんだよね。その地域自体は大好きなところだけど。
あと、やたらと地域のつながりが強い。
意味不明な神事らしき事をよくしていた。
誰かが死んだらは絶対に魚、肉、ネギ類は食べない。
あんまり俺の体験とは関係ないかもだけどね。
137 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 00:38:23 ID:v636FY7y0
じゃ、書かせてもらいます。書くのがちょっと怖かったって気持ちは
理解してくれると嬉しいです。
俺の実家、岩手県のとある地方なんだけどさ、毎年帰省するんだけどね。
よく田舎って「本家」みたいなのがあるのは分かるかな?
その一族の本家っていうかさ、要は親戚縁者を統括する家みたいなの。
血筋の出所って言えば適切かな。まぁそういうのがあるんだわ。
その本家はね、三百年くらい歴史があるその土地の権力血筋だったんだ。
あまり詳しくは書けないけど、立派な造りなんだよ。ボロっちいけどね。
その本家で俺がまだ当時小学生だった時、夏だったかな、大人達が
囲炉裏のあったっていう(今はない)部屋で、何かゴソゴソ話してるの。
もちろん俺といとこは気になっちゃって、こっそり盗み聞きしようとしたんだ。
大人達っていうのは親戚のオサーンとか、俺のじいちゃんとか、そこら辺の親戚の
人間ね。田舎はコミューンが小さいから、結構血が繋がってるんだ。人口少ないし。
「…どうすん…部屋…」
「空いて…近づくしかね…閉め…」
みたいなこと話してたんだ。あまりよく聞こえなかったんだけどさ。
まぁ盗み聞きはソッコーでバレたんだが、親戚のオサーンが
「おめら、何もきぃてねぇべな!!きぃてねぇべな!!」
って凄い剣幕で俺らに言ってきたんだ。いつもは超優しいオサーンだったもんだから
その形相に俺らはビックリしちゃって、何も聞いてないって言ったの。そしたら
オサーンはいつもの優しいオサーンに戻って
「そうか…」
って肩をなでおろしていたのを今でもハッキリ覚えてる。
151 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 00:58:23 ID:v636FY7y0
時期はお盆でした。風習も面白いところなんだが、俺らガキは大人達から
「お盆の海では絶対にお酔いじゃダメだぞ」
みたいな事をいつも言われてた。まぁシカトして泳いでたし、そういった
霊体験みたいのは何もなかったから全然平気だったんだけどさ、
まぁよく言う海で泳ぐのは危険だから、お盆特有の霊現象みたいなので
子供を海へ近づかせない常套句だったんだろね。これは全国各地である話だよね。
話がちょっと脱線したけど、いつもの夏通りに海へ出かけて釣りしてたの。
釣りへ出かけて楽しんでるとさ、釣りへいつも連れて行ってくれてる親戚のオサーンが
元気ないんだわ。さすがにガキながら心配になり「どうしたの?」みたいな
感じの事を言ったんだ。そしたら、オサーンは「どうもしねから、どうもしねから」
って上の空みたいな返事しかしない。この時点で今ならかなり怪しいと思えたんだが、
なにぶん、当時は小学生のガキだったもんでそこまで気にせず釣りを楽しんでたんだよね。
俺らは釣りにすごくハマってて、夜釣りもしてたんだけど、いつも通り、オサーンに
夜釣りに連れて行ってくれって俺らは夕方くらいに頼んだの。
オサーンは何故かかなり拒否して、今日はやめとくべって言ってきたんだ。
いつもはね、「あべ、あべ」(←行こう。の方言だよ)って自分から言ってくる人なんだけど
何故かかたくなに拒否されたんだ。もうこの時は確か盆の入り直後だった思う。
不思議だなと思ったんだけど、俺らはコッソリ夜釣りに黙って出かけちゃったんだよね。
207 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 01:50:10 ID:v636FY7y0
ああ、早くも煽られてる。。。ま、いいや。
続きです。
夜釣りを楽しんでるとさ、いとこの一人が俺に言ってきたんだ。
「A(←俺)、何かあっちさ人たってねは?」
あっちって方向を指差したのは海のど真ん中。コの字型の岸壁のど真ん中で
確かに人らしきのが海の上に立ってるの。最初は舟の上で漁師のオサーンが
何かしてるんだろうなって思ったけど、そんな気配はない。つーか、舟がない。
きっと幽霊だと思ってなんか俺らは怖がらずに、逆にテンションあがって
ワイワイやってたんですよ…。アホだ…。
そしたらオサーンとじいちゃんとかが、俺らが釣りしていた岸壁に
かなり飛ばして、俺らの背後にある漁港までの山道を飛ばしてきたのに気づいてさ
俺ら見つかってオサーンとじいちゃんにかなりその後しぼられたんだ。
車の中で「何か見たか?何か見てねぇべ!?」って言われてさ、
俺らはその幽霊らしきのを見たとは言わず、また事実を隠しちゃったの。
そしたら、また大人達が肩をなでおろしたのがマジで印象的だった。
車の中で本家に帰る途中、ずっと大人達は無言だったんだ。俺らはそれに
不思議がったんだけど、俺は勝手に釣りに出かけたら怒ってるんだろうなって
思ってた。家に着くと大慌てで婆ちゃんが俺らんとこに来て
「何も見なかったべな!!何も見なかったべな!!」
ってオサーンと同じ事を言ったのよ。で、まぁ見てないみたいな事を言ったら
婆ちゃんフラフラ~って崩れ落ちて泣き出した。悪いことしたなぁって反省したんだが
何がそこまで大人達をさせるのかなって気になったんだよね。すぐ後に婆ちゃんが
「くわっせ、うまかっつぉ」
って言ってくれて夕顔の煮たのを出してくれた。郷土料理だよ、美味しいよ。
いつもの婆ちゃんに戻ってたね。さっきのテンパってた婆ちゃんじゃなくて。
だからなおさら気になったんだよね。
209 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 01:50:42 ID:v636FY7y0
夕顔食いながらさ、ふと気になってたから聞いちゃったんだよね。
何か部屋が開くだの閉めるだのみたいなのをこの間話してたでしょ~みたいな感じで。
そしたらまた空気が変わっちゃってさ、婆ちゃん泣き出す、オサーンはテンパる、
爺ちゃんは電話しだす、オヤジ&おかんはうなだれるみたいな感じにね。
俺らはさすがに怖くなって二人とも泣いちゃった。阿鼻叫喚とはまさにこの事。。。
で、オサーンに別の部屋に連れて行かれてね、盆棚がある部屋なんだけどさ
そこで10分くらい拝まされて、「今日は寝ろは…」って言われたんだけど、
気になって寝れない。まだ婆ちゃん泣いてるし、近所から人来るしさ
寝れるわけねーだろみたいな場だったんですよ。まぁ寝たんだがw
朝起きたら、いつも通りの朝で取り合えず一安心。けど、爺ちゃんは難しそうな顔を
したままだった。起きてソッコーで寺に連れて行かれて、剣舞(←字は合ってるか分からん)
を見せられた。ケンバイっていうのは何か背中に旗さして踊ってるよくわからんもの。
この地域では子ども会みたいなのに入ってるヤツらが踊ってるの。学校の帰りとかに
公民館みたいなところに寄って、夏に踊る為に練習してるんです。俺はやらんかった。
見せられた後に寺の本堂の中に連れて行かれて、坊さんに長々とお経をあげられた。
以降は爺ちゃんとオサーン、坊さんの会話ね。うる覚えだからあれだけどさ…。
あと方言が意味不明だと思うので訳して書きます。爺ちゃんをJ、オサーンをO、坊さんをBとします。
O:「何も見てなかったって言ってました」
B:「だとしたら安心だけど油断は出来ないな」
O:「こっちはこっちで何とか出来るとは思うんですが」
B:「じゃあ、T(本家の屋号)に行くから」
J:「お願いします」
みたいな感じ。もっと沢山話してたんだけど、こんな感じでした。
245 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 02:24:48 ID:v636FY7y0
また途中投下します…。
で、爺ちゃんが俺にね、話してきたの。
俺の言葉で話しちゃうから、この通りに話していた訳じゃないけどね。
内容的にはこんな感じでした。
「お前はこの家の造りはだいたいわかるだろ?部屋が何個ある?
その部屋で物置にしてる部屋があるだろ?その部屋の奥に襖があるだろ。
そこには昔から近づくなとは言われて多と思うけどな、そこの襖が
ちょっとだけ開いたんだ、最近。そこにはな、錆びた槍の先が
しまわれてるところなんだ。」
ってね。本家の部屋は8つくらいあって、縁側が2こある不思議なつくりなんだけどね、
俺が本当に小さい時から言われてたのが、裏の縁側に回るなってことと
物置の部屋には行くなって事。まぁ物置にしてる部屋なんて確かに暗がりで
薄気味悪いから行かなかったんだけどさ、そうやって言われてたの。
その奥に襖があるのはなんとなーくは知ってたんだけど、その前には
荷物やら何やらが山のように置かれてたから、行くにも行けないようになって
たんだよね。俺は薄気味悪いから物置部屋には近づきもしなかったし
そんな襖のことはどうでもいいと思ってた。今これ書きながら考えると
あの荷物群は絶対に意図的なものだったんだろうなって思う。
で、また爺ちゃんが
「その槍の先はな、爺ちゃんの爺ちゃんの(ry のな、ずっと昔から
あるもんなんだ。爺ちゃんもな、前からあれは近づいても見てもダメだって
お前くらいの時には言われてたんだけどな。近づくなって理由は定かではないけど
爺ちゃんが爺ちゃんから聞いた話だとな、あの槍は昔、ここで飢饉があった時に
あの槍でみんなどんどん死んでいったんだ。何であの槍で自殺したのかは
分からないけど、そうやって爺ちゃんは聞かされた。聞かされたのはお前より
もっと大人になってからのことだったんだけどな。実際はどうかは分からん。
その槍は昔からこの家が預かることになっていてな、お前もわかるだろ。
248 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 02:26:04 ID:v636FY7y0
ここら辺で中心的な家がここだってことくらい。だから、その槍の先を預かってるんだ。
押入れの中にただ槍の先がコロンって転がってるだけなんだが、本当に危ないもの
なんだよ。襖にはおまじないがしてあって、開かないようになってるんだ。
もちろんこっちから開ける事は御祓い(?)の時以外は絶対にないからな。
お前も見たことあるだろ。坊さんがたまに来て物置部屋に入っていくの。
あれは御祓いをしていたんだよ。お前ら子供には見せちゃダメだって坊さんから
言われてたしな。お前も坊さんから爺ちゃんやオサーンから言われた通りなことを
そのまま言われたことあるだろ?物置部屋には近づくなって。
けど、いい子だったよ、お前は。ちゃんと近づかなかったしな。お前の父ちゃんは
悪がきだったから子供の頃近づいて襖付近まで行ってしまって、その後大変だったんだ。
とにかく、大変なものが入ってるんだよ。そっから先は婆ちゃんに聞け。」
のような事を言われて、何か気分がさすがに悪くなっちゃってね、婆ちゃんに聞く気にもなれずに
割と放心状態でした。ガキながらに流石にこれは怖かった。けど、婆ちゃんが聞きたくもないのに
こっちに来てさ、言うんだよね。また俺の言葉による内容のまとめになっちゃうけど…。
279 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 03:05:03 ID:v636FY7y0
すいません、やっと終わりました。投下します。
「その飢饉ではな、いっぱい人が死んだし、自殺もしたし、とにかく楽になりたかったんだ。
天国に行って、のんびりしたかったんだ。けど、本当はもっと婆ちゃん達みたいに
もっと長生きしたかったんだと思う。だからお前も、ちゃんと食べられる事に感謝して
毎日元気にしてなきゃいけない。嘘もつかずに真面目に生きなきゃダメだぞ。
嘘つきはダメ。女の人も子供も、その飢饉では沢山死んだんだ。」
みたいな事だった。俺は夜釣りで幽霊らしきのを見たってハッキリ言おうと思ってさ
「海の上に人立ってた」
って言ったんだよね。二人はこの前みたいにテンパらずに「やっぱりな…」って言った。
俺は怖くなっちゃってガクガク震えちゃったんだけど、婆ちゃんが
「大丈夫大丈夫、婆ちゃんついてるから…」って言ってくれた。
けど、婆ちゃんは実際、かなり不安そうな顔をしてた。爺ちゃんはお寺に行ってくるって言って
出かけていったんだ。
で、坊さんが来たのはその話を聞いた次の日だったと思う。いや、思い出した。次の日だったわ。
初めて俺はその時に襖付近へ行く事を許されたんだけど、荷物群を全部取っ払って
何か棚の準備をしたのを手伝わされてさ、ちょっとしたお寺の拝む棚みたいなのを作るのを
手伝わされた。坊さんはあちこちをブツブツ何か言いながら歩いてね、その棚の前に行くと
お経を上げ始めて、俺は出て行くように言われた。襖はたしかにほんの10cmくらい開いてた。
1時間後くらいだったと思う。坊さんが部屋から出てきて、その間に親戚がみんな集まってて、
近所の人も来ていてね。何かみんなで拝んでまた剣舞見てその日が終わった。
坊さんがさ、俺に言ってきたんだけど
280 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 03:05:35 ID:v636FY7y0
「たぶん、今日はちょっとだけビックリする事が起きるかもしれない。
けど、大丈夫だから。たとえそれが起きたとしてもそのままそこにいなさい。
もう大丈夫だから何が起きてもその場を離れちゃダメだよ」
って言われたの。俺は素直にハイって答えました。夜釣りも行く気になれなかった。
その後に坊さんはオサーンや爺ちゃんに話してた。オサーンが坊さんに
「大丈夫なんでしょうか。アイツは大丈夫なんでしょうか。心配です」
みたいな事を言っていたんだけど、坊さんは「大丈夫、その場を離れなければ」って言ってた。
案の定、爺ちゃんやオサーンに俺は念押しされて、坊さんからの言付けを必ず守るようにって
言われた。その後は普通に飯食って、楽しく花火をして、夏を満喫したんだよ。
まぁ怖かったから無理やり花火やって、楽しもうとしてたんだけどね。忘れたかった。
281 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 03:06:08 ID:v636FY7y0
花火も終わり、お風呂も入ったし寝る事にしました。またオサーンに「早く寝ろは…」って言われたし。
で、寝ようとしたんだけど坊さんの言った事が気になってなかなか眠れなかったんだよね。
俺が寝ている部屋はちょうど物置部屋の斜め隣なんだけどさ。何でいつもは気にせず寝てるのに
流石にこの時ばかりはこの位置が気になって眠れないの。そしたら急にコココココ…って何かを
小刻みに何かに当たってる物置部屋のほうからから音がしだして壁のほうから聞こえてくるん
だよね、人間の声がボソボソって。それはどんどん増えて言ってあちこちから聞こえきだすの。
もう今でもちゃんと覚えてる。
「腹…腹…」
「やんた…やんた…生きて…生きてぇ…」
「腹…は…」
「死にたぐね…やんた…」
「腹…腹…」
「やんた…やんた…やんた…」
「お寺さ…やんた…」
「水っこはやんた…も…」
「腹…水っこは…」
「取ってけっつぇ…死にたぐね…生きてぇ…」
283 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 03:07:03 ID:v636FY7y0
って声があちこちから聞こえてくるの。もう怖くて怖くて仕方なかった。発狂しそうだった。
けど坊さんの言付けを守らなきゃって頑張って自分に言い聞かせて、震えながら寝れずに
じっとしてた。声はやまなくてどんどん増えていったんよ。
そしたら俺の寝ている部屋でも何かがコココココ…て聞こえ出してさ、さすがにそれには閉じていた
眼を開けちゃって、その音の方向を見ちゃったんだよね。
そこにはさ、般若の刺繍(?)っていうか、そういった布で出来た飾りみたいなのが額縁に入れられて
あるんだけどそれが揺れてるんだよね。しかも、その般若の刺繍の眼のとこが動いてるの。
さすがに口を閉じたり閉めたりまではしてなかったとは思うんだけど、般若の刺繍のとこらへんからも
同じ言葉が出てきてるんだよね。「腹…腹…」、「やんた…水っこは…」って。
たぶん、それ見て気絶してました。気づいたら朝だったし。
ちゃんとそれを爺ちゃんと坊さんに言って、お寺でまたお経をあげてもらいました。
坊さんは褒めてくれた。爺ちゃんも褒めてくれた。よく頑張ったなって。
何か長くなってしまい、イライラさせてしまいましたが、こんな感じです。
俺が確かに体験して、今でもその話を帰省すると坊さんや爺ちゃんとします。
で、ちゃんと拝んで過ごしています。取り合えず、ここで終わりますが、
何か聞きたいことあったらどうぞよろしくです。
347 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 05:33:13 ID:v636FY7y0
その後だけど、お経をあげてもらって、普通にお盆を過ごしました。
岩手県の夏は本当に綺麗で、この地域でそんな悲しい出来事があった
なんて信じられないくらい。けど、俺はやっぱり元気が出なくて
怖くて当分ビビって過ごしていました。夜がとにかく怖かった。
その度に爺ちゃんやオサーンが大丈夫だとは言ってくれたけど、
やっぱどうしても怖かったんだよね。
けど、釣り好きだから、また懲りずに夜釣りへ出かけました。
坊さんからは何か変なお守りらしきのを貰っていたし。
何て言えばいいのかな、木を本当に薄くスライスしたものみたいなのに
文字が書いてあるやつ。確か三文字くらいだったかな。勿論、漢字。
梵字ではなかったと思います。
夜釣りをしていると、あ、この時はオサーンも一緒です。爺ちゃんも一緒。
静かな海だったな。凪は落ち着いてて、ウミタナゴがよく釣れました。
爺ちゃんが釣りをしながら俺に話しかけてきたんだけど
「どこらへんで○○を見たんだ?どのあたりだ?」
って言ってきました。○○の名前は思い出せない。人名ではなかった。
何かモノの名前だと思う。きっとそれは立っていた人のことなんだろうけど
何だったかな。何か思い出せないの嫌だな。
俺はあのあたりって言って海の真ん中あたりを指しました。
人差し指では注さずに、目線で以ってさした。人差し指でさすとね、
何かまた怖いこと起きるんじゃないかって思っちゃって。
完全にビビりですねw
349 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 05:40:51 ID:v636FY7y0
「そうか…」
って爺ちゃんが言って、涙ぐんでました。そんな爺ちゃんを見るのが
初めてだったから、ビックリしたんだけど、そこでオサーンが
いいからいいから…って言って無理やり俺に釣りを続けさせました。
釣りから帰ってくるとすぐに婆ちゃんから、早く盆棚に拝んできなさいって
言われて、盆棚に拝みに行ったの。
また夜で、怖かった。斜め隣がどうしても気になっちゃうんだよね。
父ちゃんが俺の隣に来て、昔の話をしてくれました。
父ちゃんが経験した話。前記したとは思うんですが、おんぶされたって
やつね。
352 107 ◆h36IzogZBI 2005/10/10(月) 05:55:59 ID:v636FY7y0
「父ちゃんはいきなりな、誰かにピョンって飛び乗られたみたいに
重くなってな、動けなくなってな、腹っこ…腹…。取ってけっつぇ…
って言われたんだ。お前ももしかしたらこういう言葉を聴いたかもしれないな。
けどな、それを怖いと思っちゃいけないって爺ちゃんに言われたんだぞ。
まあ無理だよな、確かに怖いしな。怖いかもしれないけど、ここの地域に
そんな悲しい話があったんだ。それを覚えておけば怖いとは思わなくなるさ」
みたいな感じのことだった。
今思うと、襖開けたくせによく言うわって感じなんだけどねw
しまりのない後日談はこんな感じです。。。
ちなみに、分かっている事は
飢饉があったという事。さっき調べましたが、岩手県って冷害が結構あったらしいです。
東北地方の沿岸部は季節風の「やませ」というのが吹きます。それが続いて吹くと
農業も漁業もうまくいきませんので。「やませ」は必ず毎年吹くものなのですが
度合いが違います。
また、飢饉以外にもそれを超える出来事がありました。詳しく書くと
地域を特定されてしまう為に省略しちゃうけど。綺麗な自然とは対照的に
過去にはたくさん悲しいことがあった土地なんだよね。その地域自体は大好きなところだけど。
あと、やたらと地域のつながりが強い。
意味不明な神事らしき事をよくしていた。
誰かが死んだらは絶対に魚、肉、ネギ類は食べない。
あんまり俺の体験とは関係ないかもだけどね。
2010年09月29日
呪いのコンパクト~巣くうものシリーズ⑦
呪いのコンパクト
834 :本スレ208の128:2010/08/05(木) 01:29:57 ID:O03Tu5yY0
……すみません。
投稿しようとして、間違えてスレ立てしてしまいました……可能ならば
管理人様に削除して頂きたいのですが、どうしたらいいでしょうか?
ご教示いただければ従います。
で、以下に改めて投下します。
本スレ208の128です。
“巣くうものシリーズ”で纏めてもらったので、説明は省略。
仕事が多忙で2ちゃんから遠ざかってたが、時間できたんで投下。
今年初めのことだから、もう結構前のことです。
前回書いた怨霊のカタマリ憑き男Iの件で知り合った、
俺の人生2人目の「おそらく本当にみえるひと」Hがらみの事件だ。
BがAに連絡して、会おうと言ったそうで。
思えば、学生時代からAはBを(というかBについてるモノを)
避け気味だったが、BはAを気に入ってたようだった。
去年から何だかんだでAがBと関わってるから、このまま友達付き合いを
復活したい(現在進行形)んじゃないかと思う。
Aは断る理由もなく、先の件で引け目があったのでOKしたものの、
Bと2人きりはどうしても気が進まず、俺を呼び出した次第だ。
引け目とは、怨霊塊憑男Iの家に熟睡中のBが連れ込まれた段階で
反対しなかったことだそうだ。
A曰く、前回は本当にとんでもなかったらしい。
「井戸の時は逃げたら済んだけど、あの時はHさんが逃げ道を塞いでたから……
ドアが揺れ始めてからずっと、止めなきゃいけなかったんじゃないかって
思って、もしBのアレが負けたらBはどうなるの?って凄く怖かった」と。
当日、Bと待ち合わせ場所で会った時、すでにAが微妙な顔してた。
ファミレスに入ると、Bが「コレ見て♪」と鞄から何か出した。
コンパクト?ってのか?丸い平たい2つ折りで、内側は両面が鏡の奴。
何か古そうな奴。金属っぽい質感で、凄く古っぽい感じ。
横のAは、また表情が固まってる。
「アンティークなんだよー。この前ほら、肝試しなのに現地到着前に私が
寝ちゃったでしょ?Aと俺君が旦那に連絡してくれて」
Bは、あの後Cの呼び出しで“肝試しスポットを教えてくれた人”として、
Hに会ったそうだった。
「Hさん、おかしな場所に行かせたせいで倒れたんじゃないかって
謝ってくれてね、お詫びにってコレくれたの♪
結構よくて気に入ってるんだけど、安いものじゃないみたいなんだよね。
お返しにお菓子でも送ろうかと思ってさー」
835 :本スレ208の128:2010/08/05(木) 01:30:53 ID:O03Tu5yY0
適当に喋ってBを返した後、Aが即効でHに連絡して、数日後に会った。
現れたHは、俺らがBに会ったと聞いた段階で何やら察してたようだった。
Aが「何考えてんですか!」と怒鳴ると、Hはフフンと鼻で笑って言った。
「いいアイディアだと思わない?散らばらないよ、あれ」
……呪いの部屋と同じように呪いのグッズも現実に存在することを、
改めて知らされました。
いや、指輪の一件で既に判っていたようにも思うが、古物やリサイクル品に
稀にでもその類のものがあると思うとやはり怖い。
件のコンパクト、確かにモノは良いがHは一銭も払ってないそうです。
むしろ金をやるから黙って引き取ってくれと泣かれた代物だと。
前回の話の怨霊塊憑き男IのためにHが情報収集してる間、
Hが「みえるひと」だという情報も、広く垂れ流しだったそうで、
お払いしてくれと妙なものを持ち込んでくる奴は割りと居たと。
Hは、何も憑いてない場合はそう教えてやり、たまに出てくるホンモノに
ついては小遣い稼ぎのネタにしていたと言ってました。
金目の物で自力で片付くものは引き取り(そして片付けて売り)、
奉納で済むものは処理方法を助言したりして、ポツポツ稼いでたのだそうな。
「もちろん命は惜しいから、手に負えないのはムリだっつって断ったよ。
あの鏡はね、間違えた。鏡から離れないんだから最悪本体ごとおっぽり出せば
済むわけで、リスクも小さいと思ったんだけどね。甘かったねー。
だからBさんに頼んじゃった」
Hは、からからと笑って言った。
Hに聞いたところでは、そのコンパクト?は持ち主の不在を許さないのだとか。
捨てようとすると邪魔が入って、どうしても捨てられなかったそうです。
憑いてるモノはHの手に余るから長く持ってたくないし、かと言って他人に
譲るのも良心が痛むので、持て余してた一品だと。
「本体から他所にはいけない奴だし、Bさんのアレと勝負できるレベルじゃない
から問題なし。Bさん、寝なかったっしょ?」
Bが例のコンパクトをしばらく愛用してくれたら擦り切れて掠れて
消え去ってくれるだろう、と言うのがHの言い分でした。
で、実はここまでが前フリです。
836 :本スレ208の128:2010/08/05(木) 01:32:07 ID:O03Tu5yY0
再度俺にAから連絡が来たのが、確か5月下旬。
……B、コンパクトを手放してしまったと。
Hにも連絡したら、あの飄々としたHがあわくってたそうです。
俺も巻き込まれで付き合い、3人で次の所有者を訪ねました。
AがBに聞いたところだと、友人(学生時代のではない、俺達とは面識なし)に
見せたら、凄く良い品だと言われ羨ましがられ、ちょっとだけ貸して欲しいと
言うから貸したら返してくれない、と。
「携帯に連絡してもメールしても返事がないの」
と言った時のAの表情を誤解したようで
「貰い物なのに申し訳ない」とBは凹んでいたそうです。
……Aが苦労してBから聞きだした名前その他の情報を頼りに
俺達がB友人宅を探し当てた時、B友人は離婚前提の別居だとかで、
家には居ませんでした。
ご主人だけいて、俺達の目的が奥さんに貸したコンパクトだと言うと、
出てきて暗い顔で言葉少なくモノを渡してくれました。
そのとき、両足首に包帯を巻いていた彼の右袖口からちらりと、
手首より少しだけ上辺りに何か見えました。
モノを引き取りB友人宅を辞して、俺はAとHに確認しました。
…見間違いじゃなかったです。ヒトの歯型だった、と2人とも言いました。
その後の2人の会話は、以下の通り。
「奥さんの歯型だよね、アレ」
「だろうね。……やっちゃったねえ」
さすがのHが、真っ青に青ざめていました。
「Hさんのせいだよ」
「うん、俺のせい。……呪いのコンパクトだよって言っといたから、
Bさん離さないと思ってた」
「勝手なこと言わないで下さい。大体、高価なものなら泥棒にあうこと
だって考えられるでしょ。何でそんないい加減なことするんですか」
Aが物凄く刺々しい口調で言ってHが黙り込み、気まずい気分で
俺らはHと別れました。
837 :本スレ208の128:2010/08/05(木) 01:33:22 ID:O03Tu5yY0
例のコンパクトは、Hが持ち帰りました。
もっともA曰く、もうコンパクトには何もないそうでした。
Bが愛用していた数ヶ月で削り取られ磨り減り続けたモノの、
最後っ屁と言うか断末魔と言うか、そういうものをB友人は
受けてしまったのだと思う、と。
その後、俺が6月にHと飲んだとき(Iの件以降、何となく付き合いしてる)に
聞いたところでは、まっさらになった例のコンパクトを売り払った金に
色をつけて、例のB友人である女性に送金したそうです。
送金先は自腹で調べたそうで、いつも能天気に見えるコイツでもあの一件は
こたえたんだな、と思いました。
また最後になりますが、そのコンパクトに憑いてたものの正体について。
Bのコンパクト紛失以前、AがHを呼び出した際に少し聞きました。
……俺にはよく判らなかった話ですが、Hが“みた”ところでは、
『4つ足の哺乳類に昆虫の羽根がある』生き物がしがみ付いてたとか。
Aには姿は見えなかったが(能力の差か、Bが居たことによる影響かは
解らないと)、ぶんぶんと背筋の寒い羽音が絡まりついてたと。
その中では1人だけみえない俺が、
「哺乳類に虫の羽って何?異次元の生き物とか?」
と聞いたら、AとHがまるで狙ったようなタイミングでバッと
目をそらしたのが印象的でした。
Aは黙ってましたが、Hはハハハとわざとらしく笑い、
「……人間が、恨みとか呪いだけで精神のカタチまで捻じ曲げて
あんなモノになれるってのが怖いよね。本当に」と言いました。
正直、俺はグロいものを見る力が無くてよかったです。
曖昧な部分が多いですが、以上です。
834 :本スレ208の128:2010/08/05(木) 01:29:57 ID:O03Tu5yY0
……すみません。
投稿しようとして、間違えてスレ立てしてしまいました……可能ならば
管理人様に削除して頂きたいのですが、どうしたらいいでしょうか?
ご教示いただければ従います。
で、以下に改めて投下します。
本スレ208の128です。
“巣くうものシリーズ”で纏めてもらったので、説明は省略。
仕事が多忙で2ちゃんから遠ざかってたが、時間できたんで投下。
今年初めのことだから、もう結構前のことです。
前回書いた怨霊のカタマリ憑き男Iの件で知り合った、
俺の人生2人目の「おそらく本当にみえるひと」Hがらみの事件だ。
BがAに連絡して、会おうと言ったそうで。
思えば、学生時代からAはBを(というかBについてるモノを)
避け気味だったが、BはAを気に入ってたようだった。
去年から何だかんだでAがBと関わってるから、このまま友達付き合いを
復活したい(現在進行形)んじゃないかと思う。
Aは断る理由もなく、先の件で引け目があったのでOKしたものの、
Bと2人きりはどうしても気が進まず、俺を呼び出した次第だ。
引け目とは、怨霊塊憑男Iの家に熟睡中のBが連れ込まれた段階で
反対しなかったことだそうだ。
A曰く、前回は本当にとんでもなかったらしい。
「井戸の時は逃げたら済んだけど、あの時はHさんが逃げ道を塞いでたから……
ドアが揺れ始めてからずっと、止めなきゃいけなかったんじゃないかって
思って、もしBのアレが負けたらBはどうなるの?って凄く怖かった」と。
当日、Bと待ち合わせ場所で会った時、すでにAが微妙な顔してた。
ファミレスに入ると、Bが「コレ見て♪」と鞄から何か出した。
コンパクト?ってのか?丸い平たい2つ折りで、内側は両面が鏡の奴。
何か古そうな奴。金属っぽい質感で、凄く古っぽい感じ。
横のAは、また表情が固まってる。
「アンティークなんだよー。この前ほら、肝試しなのに現地到着前に私が
寝ちゃったでしょ?Aと俺君が旦那に連絡してくれて」
Bは、あの後Cの呼び出しで“肝試しスポットを教えてくれた人”として、
Hに会ったそうだった。
「Hさん、おかしな場所に行かせたせいで倒れたんじゃないかって
謝ってくれてね、お詫びにってコレくれたの♪
結構よくて気に入ってるんだけど、安いものじゃないみたいなんだよね。
お返しにお菓子でも送ろうかと思ってさー」
835 :本スレ208の128:2010/08/05(木) 01:30:53 ID:O03Tu5yY0
適当に喋ってBを返した後、Aが即効でHに連絡して、数日後に会った。
現れたHは、俺らがBに会ったと聞いた段階で何やら察してたようだった。
Aが「何考えてんですか!」と怒鳴ると、Hはフフンと鼻で笑って言った。
「いいアイディアだと思わない?散らばらないよ、あれ」
……呪いの部屋と同じように呪いのグッズも現実に存在することを、
改めて知らされました。
いや、指輪の一件で既に判っていたようにも思うが、古物やリサイクル品に
稀にでもその類のものがあると思うとやはり怖い。
件のコンパクト、確かにモノは良いがHは一銭も払ってないそうです。
むしろ金をやるから黙って引き取ってくれと泣かれた代物だと。
前回の話の怨霊塊憑き男IのためにHが情報収集してる間、
Hが「みえるひと」だという情報も、広く垂れ流しだったそうで、
お払いしてくれと妙なものを持ち込んでくる奴は割りと居たと。
Hは、何も憑いてない場合はそう教えてやり、たまに出てくるホンモノに
ついては小遣い稼ぎのネタにしていたと言ってました。
金目の物で自力で片付くものは引き取り(そして片付けて売り)、
奉納で済むものは処理方法を助言したりして、ポツポツ稼いでたのだそうな。
「もちろん命は惜しいから、手に負えないのはムリだっつって断ったよ。
あの鏡はね、間違えた。鏡から離れないんだから最悪本体ごとおっぽり出せば
済むわけで、リスクも小さいと思ったんだけどね。甘かったねー。
だからBさんに頼んじゃった」
Hは、からからと笑って言った。
Hに聞いたところでは、そのコンパクト?は持ち主の不在を許さないのだとか。
捨てようとすると邪魔が入って、どうしても捨てられなかったそうです。
憑いてるモノはHの手に余るから長く持ってたくないし、かと言って他人に
譲るのも良心が痛むので、持て余してた一品だと。
「本体から他所にはいけない奴だし、Bさんのアレと勝負できるレベルじゃない
から問題なし。Bさん、寝なかったっしょ?」
Bが例のコンパクトをしばらく愛用してくれたら擦り切れて掠れて
消え去ってくれるだろう、と言うのがHの言い分でした。
で、実はここまでが前フリです。
836 :本スレ208の128:2010/08/05(木) 01:32:07 ID:O03Tu5yY0
再度俺にAから連絡が来たのが、確か5月下旬。
……B、コンパクトを手放してしまったと。
Hにも連絡したら、あの飄々としたHがあわくってたそうです。
俺も巻き込まれで付き合い、3人で次の所有者を訪ねました。
AがBに聞いたところだと、友人(学生時代のではない、俺達とは面識なし)に
見せたら、凄く良い品だと言われ羨ましがられ、ちょっとだけ貸して欲しいと
言うから貸したら返してくれない、と。
「携帯に連絡してもメールしても返事がないの」
と言った時のAの表情を誤解したようで
「貰い物なのに申し訳ない」とBは凹んでいたそうです。
……Aが苦労してBから聞きだした名前その他の情報を頼りに
俺達がB友人宅を探し当てた時、B友人は離婚前提の別居だとかで、
家には居ませんでした。
ご主人だけいて、俺達の目的が奥さんに貸したコンパクトだと言うと、
出てきて暗い顔で言葉少なくモノを渡してくれました。
そのとき、両足首に包帯を巻いていた彼の右袖口からちらりと、
手首より少しだけ上辺りに何か見えました。
モノを引き取りB友人宅を辞して、俺はAとHに確認しました。
…見間違いじゃなかったです。ヒトの歯型だった、と2人とも言いました。
その後の2人の会話は、以下の通り。
「奥さんの歯型だよね、アレ」
「だろうね。……やっちゃったねえ」
さすがのHが、真っ青に青ざめていました。
「Hさんのせいだよ」
「うん、俺のせい。……呪いのコンパクトだよって言っといたから、
Bさん離さないと思ってた」
「勝手なこと言わないで下さい。大体、高価なものなら泥棒にあうこと
だって考えられるでしょ。何でそんないい加減なことするんですか」
Aが物凄く刺々しい口調で言ってHが黙り込み、気まずい気分で
俺らはHと別れました。
837 :本スレ208の128:2010/08/05(木) 01:33:22 ID:O03Tu5yY0
例のコンパクトは、Hが持ち帰りました。
もっともA曰く、もうコンパクトには何もないそうでした。
Bが愛用していた数ヶ月で削り取られ磨り減り続けたモノの、
最後っ屁と言うか断末魔と言うか、そういうものをB友人は
受けてしまったのだと思う、と。
その後、俺が6月にHと飲んだとき(Iの件以降、何となく付き合いしてる)に
聞いたところでは、まっさらになった例のコンパクトを売り払った金に
色をつけて、例のB友人である女性に送金したそうです。
送金先は自腹で調べたそうで、いつも能天気に見えるコイツでもあの一件は
こたえたんだな、と思いました。
また最後になりますが、そのコンパクトに憑いてたものの正体について。
Bのコンパクト紛失以前、AがHを呼び出した際に少し聞きました。
……俺にはよく判らなかった話ですが、Hが“みた”ところでは、
『4つ足の哺乳類に昆虫の羽根がある』生き物がしがみ付いてたとか。
Aには姿は見えなかったが(能力の差か、Bが居たことによる影響かは
解らないと)、ぶんぶんと背筋の寒い羽音が絡まりついてたと。
その中では1人だけみえない俺が、
「哺乳類に虫の羽って何?異次元の生き物とか?」
と聞いたら、AとHがまるで狙ったようなタイミングでバッと
目をそらしたのが印象的でした。
Aは黙ってましたが、Hはハハハとわざとらしく笑い、
「……人間が、恨みとか呪いだけで精神のカタチまで捻じ曲げて
あんなモノになれるってのが怖いよね。本当に」と言いました。
正直、俺はグロいものを見る力が無くてよかったです。
曖昧な部分が多いですが、以上です。
2010年09月29日
心霊イイ話 良い行い
良い行い
710 1/5 sage New! 2007/01/18(木) 15:19:45 ID:SUlaGoNV0
高校生の頃、暇さえあれば山辺の道を歩いていた時期があります。
三輪山の霊気は、独特で非常に強いし、あの辺りは歩いていても心が和むんです。
道のあちこちにある石仏も優しげですしね。
汗かいて、一服していたら、「今日は暑いの」と話し掛けられ「そうですね」と何気
なしに答えたら、石仏が微笑んでたなんてことはよくあります。
さて、この辺り有名な古刹が点在しています。
そのひとつにお参りしました。
711 2/5 sage New! 2007/01/18(木) 15:20:42 ID:SUlaGoNV0
山の斜面に建立されたそのお寺は山そのものが聖域です。
小さな洞窟もあり、しめ縄で入り口を塞ぎ、「立ち入り禁止」としています。
こういうのは修行場で一般人の立入禁止にしている場合と、修行場だったけどやばくなったんで立入禁止にしている場合もあります。ここの場合は後者でした。
勿論、そんなところへ入るほど愚かじゃありません。
境内を登っていくと、極太のしめ縄でそれ以上上へは上がらぬようにしてます。「立
入禁止」の標示もやたら大きくあちこちにあります。
(やばいな・・・・)
そう思ったんですが、その結界の前に猫がいました。
僕をみてます。
712 3/5 sage New! 2007/01/18(木) 15:22:13 ID:SUlaGoNV0
小猫みたいに小さいんですが、明らかに成獣です。白く美しい華奢な美人です。
(・・・・使い魔?)
こういう場所には時々出るんです。
猫は「ついておいで」と言うように顎をしゃくると結界の中へ入っていきます。何も
考えずついて行きました。松林の中を暫く行くと唐突に拓けた場所に出ました。
崩れた卒塔婆があります。
猫はそこで立ち止まり僕を見つめます。
彼女がなぜ僕を連れてきたのか分かりました。卒塔婆を直し、白い素焼きの徳利と杯があったので側の小川で水を汲んでお供えしました。
ひととおり終わったところで、猫が擦り寄ってきます。頭を撫でてやって、見るとな
にか咥えています。
713 4/5 sage New! 2007/01/18(木) 15:24:07 ID:SUlaGoNV0
錆びた銀の簪でした。赤い珊瑚で飾っています。黒ずんで汚れて見る影もありませんでしたが・・・・
猫はこの簪を渡したいようです。
受け取ると頭を下げました。
ひとり戻ると、結界の所に中年のお坊さんが私を待ってました。にこやかに微笑んでいます。私に向かって手を出しました。
僕は無意識に簪を手渡しました。
「ご苦労様でした」
お坊さんはそう言うときびすを返して戻っていきました。
その時はなんの違和感も無かったのですが、今、考えると大分奇妙な話です。
714 5/5 sage New! 2007/01/18(木) 15:24:43 ID:SUlaGoNV0
さて、後日談。
数年後、恋人だった今の妻と嵯峨野へ旅行へ行きました。
天竜寺の渡り廊下でポーズを取る妻をカメラに収めようとしたとき、庭に人影を見ました。
真紅の毛せんを敷き、ちんまりと座ったお姫様です。15、6歳の可愛い娘でした。
直感であの卒塔婆の主だと確信しました。
お姫様は僕にお辞儀をすると消えました。
710 1/5 sage New! 2007/01/18(木) 15:19:45 ID:SUlaGoNV0
高校生の頃、暇さえあれば山辺の道を歩いていた時期があります。
三輪山の霊気は、独特で非常に強いし、あの辺りは歩いていても心が和むんです。
道のあちこちにある石仏も優しげですしね。
汗かいて、一服していたら、「今日は暑いの」と話し掛けられ「そうですね」と何気
なしに答えたら、石仏が微笑んでたなんてことはよくあります。
さて、この辺り有名な古刹が点在しています。
そのひとつにお参りしました。
711 2/5 sage New! 2007/01/18(木) 15:20:42 ID:SUlaGoNV0
山の斜面に建立されたそのお寺は山そのものが聖域です。
小さな洞窟もあり、しめ縄で入り口を塞ぎ、「立ち入り禁止」としています。
こういうのは修行場で一般人の立入禁止にしている場合と、修行場だったけどやばくなったんで立入禁止にしている場合もあります。ここの場合は後者でした。
勿論、そんなところへ入るほど愚かじゃありません。
境内を登っていくと、極太のしめ縄でそれ以上上へは上がらぬようにしてます。「立
入禁止」の標示もやたら大きくあちこちにあります。
(やばいな・・・・)
そう思ったんですが、その結界の前に猫がいました。
僕をみてます。
712 3/5 sage New! 2007/01/18(木) 15:22:13 ID:SUlaGoNV0
小猫みたいに小さいんですが、明らかに成獣です。白く美しい華奢な美人です。
(・・・・使い魔?)
こういう場所には時々出るんです。
猫は「ついておいで」と言うように顎をしゃくると結界の中へ入っていきます。何も
考えずついて行きました。松林の中を暫く行くと唐突に拓けた場所に出ました。
崩れた卒塔婆があります。
猫はそこで立ち止まり僕を見つめます。
彼女がなぜ僕を連れてきたのか分かりました。卒塔婆を直し、白い素焼きの徳利と杯があったので側の小川で水を汲んでお供えしました。
ひととおり終わったところで、猫が擦り寄ってきます。頭を撫でてやって、見るとな
にか咥えています。
713 4/5 sage New! 2007/01/18(木) 15:24:07 ID:SUlaGoNV0
錆びた銀の簪でした。赤い珊瑚で飾っています。黒ずんで汚れて見る影もありませんでしたが・・・・
猫はこの簪を渡したいようです。
受け取ると頭を下げました。
ひとり戻ると、結界の所に中年のお坊さんが私を待ってました。にこやかに微笑んでいます。私に向かって手を出しました。
僕は無意識に簪を手渡しました。
「ご苦労様でした」
お坊さんはそう言うときびすを返して戻っていきました。
その時はなんの違和感も無かったのですが、今、考えると大分奇妙な話です。
714 5/5 sage New! 2007/01/18(木) 15:24:43 ID:SUlaGoNV0
さて、後日談。
数年後、恋人だった今の妻と嵯峨野へ旅行へ行きました。
天竜寺の渡り廊下でポーズを取る妻をカメラに収めようとしたとき、庭に人影を見ました。
真紅の毛せんを敷き、ちんまりと座ったお姫様です。15、6歳の可愛い娘でした。
直感であの卒塔婆の主だと確信しました。
お姫様は僕にお辞儀をすると消えました。
2010年09月29日
心霊イイ話 待ち続ける猫
624 名前: コピペですマソ 04/05/06 21:07 ID:fhEH2t4C
../../society_traf/1082/1082810840.html#82
小学生の頃、親戚の家に遊びに行ったら痩せてガリガリの子猫が庭にいた。
両親にせがんで家に連れて帰った。思い切り可愛がった。
猫は太って元気になり、小学生の私を途中まで迎えに来てくれるようになった。
いつも一緒に帰っていたけれど、六年生の林間学校に泊りがけで行っているときに
車に轢かれて死んでしまった。もう、猫は飼わないと思った。
年月が過ぎ、私は就職して三交バスで通勤をするようになった。
仕事がうまくいかず、やめようかどうしようか迷っていた。バスを降りると
いつも我慢していた仕事の悩みが噴出して泣きながら暗い夜道を歩いていた。
そんなある日、バスをおりて歩いていると、少し先に白い猫がいた。
その猫は振り返りながら距離をとりながら私の前を歩く。坂を上がり、いくつもの
曲がり道を曲がって行く。私の家に向かって。家の前に出る最後の曲がり角を曲がると
その猫の姿はなかった。数日そうやって猫に先導されるように家に帰る毎日が過ぎた。
ある日、いつものように待っていてくれる猫を見て気が付いた。
しっぽをぱたん、ぱたんとゆっくり上げて下ろす仕草。
小学生の時に飼っていた猫と同じ。思わず猫の名を呼んだ。
振り返った猫は一声鳴いて、また家に向かって歩いた。
涙が出てしかたがなかった。心配して出てきてくれたんだね、ありがとう、ごめんね。
大丈夫だから、もう、安心しているべき所に帰ってね……。
後ろ姿に向かってつぶやいた。最後の曲がり角を曲がる前に猫は振り返った。
近づいて撫でたかったけど、近寄ったら消えてしまいそうで、もう一度つぶやいた。
ありがとうね、大丈夫だからね。 そして、猫は曲がり角をまがった。
なぜかふと、後ろが気になって振り返ると白い小さな塊がふっと消えて行く所だった。
そこは林間学校に行って帰らない私を待ち続けて猫が車に轢かれた場所だった。
625 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 04/05/06 21:21 ID:ViBF1J7b
>>624
ええ話や… ・゚・(ノД`)・゚・
2010年09月29日
コワイ話 絵馬
絵馬
476 ○○ 2005/10/27(木) 22:23:15 ID:vYtCijxl0
8年ほど前、オレが専門学校に通っていた頃の話。
そのころは専門学校生で、学校でつるんでる仲間とよく心霊スポットに行ってた。
別に大好きって訳でもなくて、特に行くとこもなくてただドライブしてるだけもつまんないので、
適当な目的地として心霊スポットを選んでるってだけだった。
「うぉ~怖ぇ~」とかその場のノリで言ってはみるものの、別に怖いなんて思ったことは一度もなかった。
477 ○○ 2005/10/27(木) 22:24:25 ID:vYtCijxl0
そんなころ、友達が車を買ったというのでその新車でドライブに行く事になった。
「またKダム行く?」
「もう心霊スポットええよ~。別に女の子おるわけじゃなし。」
「行くとこないじゃん。米軍基地でも行こうか?」
あらかた近場の心霊スポットは行き尽くしたオレたちは、そんなこと話ながらドライブしてた。
「そういえば!」
と、友達が話はじめた。
「YってとこにS峰ってとこあるらしいんじゃけど、そこなんか怖いらしいで。」
「へぇ、どんないわくがあるん?」
聞くと、なんでもYって場所は縁結びの神様が祭られてる神社があるそうなんだが、
そこである女が好きな男への思いを願いつづけたが、ついぞ叶わず、その神様を呪うという遺書を残して身を投げたとこなんだそうな。
「ええじゃん!行こうや!」
「でも場所がいまいちようわからんわ。Yは分かるけど、S峰って聞いた事ないよ。」
「ええよ、コンビニで聞こw」
別に目的地につけずとも、何か探すっていう目的でよかった。オレら流の遊び方。
478 ○○ 2005/10/27(木) 22:25:22 ID:vYtCijxl0
Yは少し遠かったけれども、夜は道もすいててそんなに時間はかからなかった。
オレらは適当なコンビニを見つけて、S峰を探すことにした。
友達2人は売り物の地図を広げて、オレは店員に聞いてみた。
「すんません、ここらでS峰って知りません?」
「あぁ、S峰。ありますよ。」
そういって店員は詳しい行き方を教えてくれた。
「そこって神社あります?」
「あぁ、T神社でしょ?今から行くんですか?」
「そうそう、なんか怖いらしいから、、、。」
「怖いですよ。あそこは。」
店員の口ぶりに興味をひかれた。
「え?店員さんもいったことあるの?」
「ええ、絵馬でしょ?」
「絵馬、、、?」
480 ○○ 2005/10/27(木) 22:26:08 ID:vYtCijxl0
「ええ、絵馬の遺書。」
「ナニそれ?絵馬に遺書が書いてあるんですか?」
「そうですよ、右側のかけるとこの一番下の右から、、、3番目くらいかな?一番奥。でももうさすがにないかな?」
「そこにあるの!?」
「ええ、オレは見たんですけどね。ま、今から行くんでしょ。もし見られなかったら何が書いてあったか教えますよ。大体覚えてるから。帰りもここ通るんでしょ?」
「そんなん見て大丈夫なん?」
「はずしちゃダメらしいですよ。オレはびびってはずせんかった。できたら外してみて下さいよ。」
またまた~、なんて店員と談笑していると、
「おい、場所わかった?」
と、友達が地図をしまって話しかけてきた。
「おう、店員さんが教えてくれたわ。ついでにおもろい話も。」
「ホンマ?地図載ってなかったーや。分かったんなら行こうや。」
「OK!OK!おもろい話したるけーの!」
ただ出るのは悪かったので、缶コーヒーを一本買って店を後にした。
481 ○○ 2005/10/27(木) 22:27:08 ID:vYtCijxl0
オレはさっき店員から聞いた話を走る車の中でコーヒーを飲みながら友達に話した。
「それマジで?やばいんじゃないん?」
「まぁはずすまーや。見るだけならええんと。」
「外したらどうなるか知りたいわ。○○ちゃん外してみてや。」
「お前店員と同じ事言よるわw」
そんな話をしながら、店員に教えてもらった通り車を走らせた。
「お、アレじゃないん?」
神社らしきものが見えてきた。そこは結構山を上ったとこで、神社はちょうど頂上付近に建ってるって感じだった。
その辺り一帯がたぶんS峰なんだと思う。
オレ達は車を停め、神社に入ったが、
神社は思ったより奇麗でなんだか拍子抜けしてしまった。
482 ○○ 2005/10/27(木) 22:27:57 ID:vYtCijxl0
「なんか心霊スポットって感じでもないのー。」
「おぉ、これならW(近所の地名)の神社のがよっぽど怖いで。」
「まぁ、絵馬探してみようや。」
絵馬がかけてある掲示板みたいなものはすぐに見つかった。
幅2メートル弱くらいのものが2つならんでいた。
「右側の一番下の右から2~3番目、、、」
絵馬は掲示板全体に、ギッシリといった感じでかけられていたが、
店員が言った箇所に目をやるとちょっとおかしい。
「あった?」
「いや、ないけど、、、何コレ?」
右側の掲示板、一番下の一番右。絵馬をかける釘の根元に、なんだか郵便ポストのような、ロッカーのような、
いや、まるでビルの配線やらが入ってて、丸いとこを押して取手を出して開くやつみたいな(わかってもらえるか、、、)。
そんなものが取り付けられていて、蓋に開いた小さな穴を通って釘は打ち付けられていた。
その蓋の両端は耳みたいに取手が出してあって、それぞれ南京錠がしてあった。
483 ○○ 2005/10/27(木) 22:28:48 ID:vYtCijxl0
「、、、?」
「こん中に遺書が入っとるとか、、、?」
「、、、!そうじゃ、きっとそうじゃ!うぉ、これ怖いw」
中に目的のそれが入っていると確信して妙にテンションがあがったオレらは、
そのロッカーみたいな、箱をはずしてみようとなった。
箱は掲示板には釘で打ち付けられているだけだったので、
みんなで引っ張ればはずれそうな気がした。
最初に、外に掛かってる絵馬を全部はずして、
車からもってきたマイナスドライバーで箱の打ち付けられている部分を持ち上げて、
指が入るくらいの隙間になってからみんなで引っ張った。
バキッ!と音がして箱が外れた。
「うぉ!外れた!」
484 ○○ 2005/10/27(木) 22:29:39 ID:vYtCijxl0
中には明らかに他のものより古い、黒ずんだ絵馬が入っていた。
みんな最初は黙ってみていたが、オレは絵馬に顔を近づけよく見てみた。
何も書いてない、、、裏返してみると、字らしきものが書いてある、、、。
みんなも顔を近づけた。
「おい、火ぃ点けて。見えんわ。」
友達がライターの火で絵馬を灯す。
大好きなYさん
大好きなYさん
祈ったのに
離れて行った
裏切られた
許さない
485 ○○ 2005/10/27(木) 22:30:25 ID:vYtCijxl0
「!!!」
みんな絶句した、、これは怖い!
「うぉ~~!怖ぇ~~~~!!!!」
テンションが上がったオレは調子にのってオーバーリアクションをしてしまった。
手に持っていた絵馬がオレが振った手に引っかかってポーンと飛んで行った。
「あっ!」
カツンと音を立てて落ちる絵馬。
オレは急いで拾い、すぐにもとの場所にかけた。
「、、、。やべ。」
「、、、さすが○○ちゃん。」
「いや、ホンマにわざとじゃないんよ、ちょっと調子乗ってもうて、、、」
友達に言い訳をしてもしょうがないのだが、なんだか怖くてそんなことを言った。
「ヤバいんかね?」
「、、、。ま、迷信じゃろ。なんもないよ、こんなもん。」
ちょっとビビりはじめたオレに気を使ってくれる友達にちょっとホッとしたその瞬間、
486 ○○ 2005/10/27(木) 22:31:20 ID:vYtCijxl0
「こりゃ~~~~~~~~~~~!!!!!」
ものすごい怒鳴り声!
オレは腰を抜かしてそこにへたり込んでしまった。
「また冷やかしかと思ったら、まさか外しおるとは、、、こんの馬鹿もんがぁ!!!」
いきなり怒鳴ったオッサンが神社の人だってのはすぐにわかった。
いい歳こいて、こんなところ見つかるなんて情けない、、、。
警察呼ばれたらヤバイかも、、、。
「すんません、、、。」X3
みんな謝るフリして、逃げるタイミングを目くばせして計ってた。
するとオッサンは、
「外したか?」
「あ、、。あの、、、はい。」
「箱外したんは見りゃ分かるわ!!絵馬じゃ!!絵馬は外しとらんじゃろうのぉ!!!」
487 ○○ 2005/10/27(木) 22:31:59 ID:vYtCijxl0
「あの、、、ちょっとだけ、、、ほんのちょっと。すぐに戻しましたよ。」
「、、、。」
オッサンは押し黙って、フゥーッとため息をついた。
「だれなら?外したんは。」
「オレ、、、です、、。」
「ちょっと来い。」
「いや、ホンマにすいません。出来心で。箱も直しますから、、、。ごめんなさい、、、。」
「えぇけ~、来い言うとろうが!」
オッサンはいかにも神社の人って格好をしているのに、まくしたてる様子はまるでヤクザだった。
オレは仕方なく、言うがままついて行った。
その時オレを置いて逃げようかどうしようか迷っていた友達の様子がとても憎らしかった。
488 ○○ 2005/10/27(木) 22:32:37 ID:vYtCijxl0
結局友達2人もついてきて、オレらは神社の裏手の建物の中に連れてこられた。
「さてと。」
オッサンは正座しているオレの前にしゃなりと座って、じっとオレの目を見た。
顔が怖くて目をそらしたかったが、そらしてはいけないような気がしてオレもオッサンの目をじっと見ていた。
しばらくして、
「あんたぁ、男前じゃの。」
「は?」
「彼女はおるんかい。」
「え?、、、ええ、一応。」
「好きなんかいの。」
「???、、、、ええ、まぁ、、。」
訳のわからない質問に困惑したが、なんとなく心配になって聞き返した。
「あの、、、彼女がなんかまずいことにでもなるんですか?」
「ん~、もしかしたら調子壊すかもしれん。」
「えぇ?なんで?」
489 ○○ 2005/10/27(木) 22:33:16 ID:vYtCijxl0
「あんたぁ、あそこまでしたんならあの絵馬が何か知っとるんじゃろ?」
「えぇ、噂で、、、。」
「あの絵馬があそこにかかっとるうちはの、女も悪さはせん。決して安らかな訳ではないがの。外すととたんに悪さをするんじゃ。自殺したもんもおる。」
「、、、、。」
オレは絶句した。
「オレらもヤバいんですか?」
後ろの友達2人が聞くと、
「ちょっと外れたくらいなら、あんたらは大丈夫じゃ。でもあんたは、ちょっと悪さされるかもしれん。あんたぁ男前なけー、もしかすると女を狙われるかもしれん。」
「ちょ、ちょっと、どうすればいいんですか!?」
幽霊なんか信じない。そう信じていたオレは、もう完全に霊の存在を肯定していた。
490 ○○ 2005/10/27(木) 22:33:53 ID:vYtCijxl0
「あんたに影が見えん。女の所に飛んだのかもしれん。もしかしたらなんもないかもしれん。女が調子悪くなったら、病院行く前にここに来い。」
オッサンは棚からメモ用紙を取り出し、電話番号を書いてオレにくれた。
「ええか?次悪さしたら警察突き出すけんの?わったか!?」
「ハイ!」X3
いい返事をして頭を下げて帰ろうとするオレらを呼び止めて、オッサンは工具一式を持ってきた。
「直して行け。」
オレたちは外した箱の修理をやらされた。まぁ当然と言えば当然なんだが、、、。
捲れた板をボンドでひっつけている途中、目の前で揺れる古びた絵馬が怖くて、マジで帰りたかった。
絵馬に箱をそっと被せて、釘を打ち直した。
「こりゃ、どうにかせんとのぅ、、、。」
オッサンが後でつぶやいた。
491 ○○ 2005/10/27(木) 22:34:41 ID:vYtCijxl0
その日は、なんだか大変なことをしたと思ったが、なんか実感がなかった。
帰りの車の中でも、
「いや~○○ちゃんはやる思うたよ。さすがじゃーや。うぉ、怖ぇ~~、ポーン!じゃもんの~、オレできんわ。」
「いや、マジでびびってもうたよ。でも正直オッサンのが怖かったけど。」
「ホンマよ、なんやあれ、ヤクザか思うたーや。」
緊張感などまるでなく、解放された安堵で逆にハイテンションだった。
「☆ちゃん(オレの彼女)も大丈夫よ、あんなぁ脅かすために言うたんじゃーや。」
オレも、まぁないだろう、、、と思っていた。
帰りに行きによったコンビニによって、店員に絵馬を外したと報告して帰った。
店員はどうなったか聞いてきたが、何もなかったと言うと、なぁ~んだと言った感じで笑っていた。
492 ○○ 2005/10/27(木) 22:35:26 ID:vYtCijxl0
次の日、一応心配だったオレは彼女に電話をして体調を確認した。
そんなことを聞いてくるオレを彼女は不思議に思って、何かあったのかと聞いてきたが、元気そうだったので次の日の休日に会う約束をして電話を切った。
その晩、彼女から電話があった。
「○○ちゃん?ごめん明日会えんかも」
「え?どした?」
ドキッとした。
「なんか風邪ひいたみたい。熱あるし、寒気もする、、、。治ったらいいんじゃけど、なんかひどくなりそうで、、、。もしダメじゃったらごめんね。」
オレは急に怖くなった。
「そう、、、あったかくして、今日はもう寝ーや。」
電話を切ってオレはすぐにオッサンにもらったメモがちゃんとあるか確認した。
電話番号を携帯のメモリーに入れて、メモも財布に入れておいた。
もし明日彼女の体調がやばかったら電話をしよう、、、。
493 ○○ 2005/10/27(木) 22:36:15 ID:vYtCijxl0
次の日、昼前に起きて彼女に電話を入れてみた。
何回かかけたが、出ない。
しばらく待ってまたかけた。さらに待ってまたかけた。
全く電話にでない彼女が心配になって、バイクで彼女の家に行った。
彼女は実家暮らしで実家の番号は知らなかった。
彼女の家について、チャイムを押そうとしたその時、玄関がガチャリと開いて、彼女を背負ったお父さんが出てきた。
「☆っ!、、、!」
お父さんはオレを見て、
「☆の友達?今はちょっと、、体調が悪いんじゃ。病院につれて行くけー。」
背負われている彼女は意識があるのか、ないのかもよくわからなくて、口をぱくぱくさせてやっと呼吸をしているといった感じだった。
(これは電話をしないと、、、。)
494 ○○ 2005/10/27(木) 22:36:57 ID:vYtCijxl0
すぐに携帯を取り出して、神社の番号に電話をかけた。
玄関から半ベソのお母さんが出てきて、お父さんにかけより、
「あなた、、救急車呼ぼう!」
「車の方が早い!」
なんて言い争いをしていた。それを聞いてオレはパニックになりかけてた。
『T神社です。』
「あの、○○と申します、神主さんを、、、Jさん(オッサン)を、、、!」
『は、はぁ、少々お待ちを』
保留音が2~3秒流れすぐにオッサンが出た、
『もしもし、大丈夫か?』
「彼女が、、、☆が、、、、!!」
『落ち着け!すぐに来れるか!』
「はい、すぐに、、すぐに行くから、、、助けて下さい!」
『すぐに来い!車か?気をつけぇ。それと、これは携帯電話か?』
「そうです、、、」
『じゃあ切るな!このまま彼女の耳に押し当ててわしの声が聞こえるようにせぇ!』
「わ、わかりました。」
495 ○○ 2005/10/27(木) 22:37:50 ID:vYtCijxl0
携帯を自分の耳からはなしたオレに両親はすぐ詰め寄ってきた。
「お、おい、今の話はなんや!どういうことや!」
「車で話します!だから、、、車貸して下さい!スグに!」
気づくとオレはベソかいて涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃだった。
「病院に行くんじゃないんか?訳を話せ!」
「神社に行くんです!オレが幽霊にちょっかい出したんです!そのせいで彼女がこうなってるんです!お祓いしてもらうんじゃ!スグ行かんと!!」
オレはまくしたてた。
オレのすごいけんまくに、両親も押され気味で困惑していた。
さすがにいきなり幽霊とか言われりゃ困惑するだろうが、、、。
「何言ってるの、、、病院行かなきゃ、、、!!あなた!!」
迷うお父さんの背中から、☆がふと目を開けてオレを見て言った。
「Yさん、、、」
絵馬にあった名前、、、大好きなYさん、、、オレは血の気がひいた。
両親を殴り倒して車を奪ってでも神社に行かなきゃ。
「行こう。」
急にお父さんが娘を車にのせた。
496 ○○ 2005/10/27(木) 22:38:51 ID:vYtCijxl0
「君が運転してくれ。」
オレはすぐに車に乗り込んだ。
お母さんは、
「あなた!本気!?どういうこと!?」
と錯乱気味だ。
お母さんも乗り込んできて運転席のオレにつかみかかるが、オレは構うもんかと車を発車させた。
そしてもめている両親の怒号を打ち消すような大声で叫んだ。
「この携帯電話を☆の耳に当ててくれ!!」
キーキー騒ぎ立てる母親を静止して、お父さんは携帯電話を彼女の耳にあてた。
すると彼女は苦しみ出した様子で、お母さんはもう狂ったように、
「やめてー!やめてー!」
と叫んでいた。
「これは、なんや!なんでこんなことするんや!」
「神社の神主さんがそうしろって!オレもわかりません、、!」
車の中はしばらく騒々しかったが、やがてお母さんも落ち着いてきて(というか疲れてきたというか、、、)お父さんは詳細を把握しようとオレに経緯を訪ねた。
オレは神社のこと、女と絵馬のこと、そしてあの夜のことを話した。
両親は信じがたかったろうが、特に反論もせず、それからはしきりに彼女の名前を呼んで励ましていた。
497 ○○ 2005/10/27(木) 22:39:32 ID:vYtCijxl0
神社につくと、オレは彼女の耳から携帯をとり自分の耳にあてた、
電話からは、オッサンのお経のような、呪文のような、そんな声が聞こえる。
「つきました!」
『~~~、、!そうか!すぐに前お前が入った建物まで運べ!』
オレとお父さんで急いで彼女を神社の裏手の建物に運んだ。
オッサンはなんか、神々しい格好をしていて、頼もしかった。
「彼女をここに!」
言われた通り、彼女をオッサンの前の布がひかれた場所に寝かせる。
オッサンはお経のような、呪文のような、歌のような。そんな言葉を発しながら、彼女の身体に手をかざしたりしはじめた。
たまに普通の日本語っぽい言葉も聞こえた。
そのうち彼女に変化があった。
「うぅ~~、うぉおお~~。」
498 ○○ 2005/10/27(木) 22:40:13 ID:vYtCijxl0
うなり声があがったと思うと、彼女は目を見開いて
「またかー!またかー!おのれー!おのれー!」
とすごい形相で叫び出した。身体は反り返り、たまにドスンと床に落ち、すぐ反り返る。
お母さんはその様子を見て気を失ってしまった。
オレももう身体がありえないくらい震えていた。
「違う!違うぞ!この男は違うのだー!」
「ヒャーッ!ヒャーッ!Y~~~~~!Y~~~~~!」
卒倒寸前のオレをオッサンはいきなり捕まえて、
彼女の目の前に突き出した。
「よく見るがいい!おまえの愛した男か!違うであろう!」
すごい彼女の形相。いや、これはあの女の顔なのか。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、違うんです、ごめんなさい、、、」
オレは絵馬を外したことを心のそこから謝った。
499 ○○ 2005/10/27(木) 22:40:50 ID:vYtCijxl0
「~~~~~~~~~~~~~~~~。」
声にならない声で唸っている彼女、、、そのうちそれはすすり泣きのようになっていった。
オッサンはそれをみはからったように、彼女の横にそっとしゃがみこみ、今迄とはくらべものにならないくらい小さな声で語りかけていた。
オレは腰が抜けて放心状態だった。横では彼女のお父さんもへたり込んでいた。
やがて、彼女はだんだん落ち着いた様子になり、オッサンは最後の仕上げとでもいうように、立ち上がり、またお経のようなものを呼んで、オレらの前にしゃなりと正座した。
「もう、大丈夫です。」
それを聞いてオレは涙がボロボロ出た。声をあげて泣きじゃくってしまった。
お父さんとオッサンがいろいろ話をしていたようだが、よく聞いていない。
彼女は気を失ったままで、意識が戻ってからでいいので、病院に行くようにと言われたらしい。
オッサンは帰り際にオレに話した。
500 ○○@終わりです。 2005/10/27(木) 22:42:02 ID:vYtCijxl0
「正直あの程度でここまでつかれるとは思わんかった。あんたぁ、よっぼど気に入られたんじゃのぉ。もう祓ったから心配いらん。
が、もう彼女には会うな。未練はそうとうなもんじゃ。またあんたと一緒におればああなるかも知らん。もう会うな。お互いの為じゃ。気の毒じゃがそうせぇ。」
彼女のことは好きだったので、ショックだったが、やむを得ないと思った。
オッサンは続けて、
「できればの、、、引っ越せ。この土地を離れぇ。それが一番安全じゃ。もとはと言えばあんたの軽はずみな行動が原因じゃ、反省せぇ。」
引っ越しはちょっと、、、と思ったが、やっぱりやむを得ないと思った。学校もやめなきゃ、、、。
その後彼女の両親に送ってもらった。お父さんは、こうなったのは君のせいだが、助けてくれたのも君だから礼を言う、と言ってくれた。
お母さんはずっと黙ってた。
オレは両親にもう彼女とは別れ、自分もこの土地を後にし、戻らないと約束した。
お別れも言えないなんてつらくて涙が出た。
その後オレは学校をやめて地元に戻り就職した。
その頃つるんでいた友達(心霊スポットを一緒に回った友達2人も)もちょくちょく遊びに来てくれたが、
誰も彼女のことや、あの夜の後日談に触れるやつはいなかった。
476 ○○ 2005/10/27(木) 22:23:15 ID:vYtCijxl0
8年ほど前、オレが専門学校に通っていた頃の話。
そのころは専門学校生で、学校でつるんでる仲間とよく心霊スポットに行ってた。
別に大好きって訳でもなくて、特に行くとこもなくてただドライブしてるだけもつまんないので、
適当な目的地として心霊スポットを選んでるってだけだった。
「うぉ~怖ぇ~」とかその場のノリで言ってはみるものの、別に怖いなんて思ったことは一度もなかった。
477 ○○ 2005/10/27(木) 22:24:25 ID:vYtCijxl0
そんなころ、友達が車を買ったというのでその新車でドライブに行く事になった。
「またKダム行く?」
「もう心霊スポットええよ~。別に女の子おるわけじゃなし。」
「行くとこないじゃん。米軍基地でも行こうか?」
あらかた近場の心霊スポットは行き尽くしたオレたちは、そんなこと話ながらドライブしてた。
「そういえば!」
と、友達が話はじめた。
「YってとこにS峰ってとこあるらしいんじゃけど、そこなんか怖いらしいで。」
「へぇ、どんないわくがあるん?」
聞くと、なんでもYって場所は縁結びの神様が祭られてる神社があるそうなんだが、
そこである女が好きな男への思いを願いつづけたが、ついぞ叶わず、その神様を呪うという遺書を残して身を投げたとこなんだそうな。
「ええじゃん!行こうや!」
「でも場所がいまいちようわからんわ。Yは分かるけど、S峰って聞いた事ないよ。」
「ええよ、コンビニで聞こw」
別に目的地につけずとも、何か探すっていう目的でよかった。オレら流の遊び方。
478 ○○ 2005/10/27(木) 22:25:22 ID:vYtCijxl0
Yは少し遠かったけれども、夜は道もすいててそんなに時間はかからなかった。
オレらは適当なコンビニを見つけて、S峰を探すことにした。
友達2人は売り物の地図を広げて、オレは店員に聞いてみた。
「すんません、ここらでS峰って知りません?」
「あぁ、S峰。ありますよ。」
そういって店員は詳しい行き方を教えてくれた。
「そこって神社あります?」
「あぁ、T神社でしょ?今から行くんですか?」
「そうそう、なんか怖いらしいから、、、。」
「怖いですよ。あそこは。」
店員の口ぶりに興味をひかれた。
「え?店員さんもいったことあるの?」
「ええ、絵馬でしょ?」
「絵馬、、、?」
480 ○○ 2005/10/27(木) 22:26:08 ID:vYtCijxl0
「ええ、絵馬の遺書。」
「ナニそれ?絵馬に遺書が書いてあるんですか?」
「そうですよ、右側のかけるとこの一番下の右から、、、3番目くらいかな?一番奥。でももうさすがにないかな?」
「そこにあるの!?」
「ええ、オレは見たんですけどね。ま、今から行くんでしょ。もし見られなかったら何が書いてあったか教えますよ。大体覚えてるから。帰りもここ通るんでしょ?」
「そんなん見て大丈夫なん?」
「はずしちゃダメらしいですよ。オレはびびってはずせんかった。できたら外してみて下さいよ。」
またまた~、なんて店員と談笑していると、
「おい、場所わかった?」
と、友達が地図をしまって話しかけてきた。
「おう、店員さんが教えてくれたわ。ついでにおもろい話も。」
「ホンマ?地図載ってなかったーや。分かったんなら行こうや。」
「OK!OK!おもろい話したるけーの!」
ただ出るのは悪かったので、缶コーヒーを一本買って店を後にした。
481 ○○ 2005/10/27(木) 22:27:08 ID:vYtCijxl0
オレはさっき店員から聞いた話を走る車の中でコーヒーを飲みながら友達に話した。
「それマジで?やばいんじゃないん?」
「まぁはずすまーや。見るだけならええんと。」
「外したらどうなるか知りたいわ。○○ちゃん外してみてや。」
「お前店員と同じ事言よるわw」
そんな話をしながら、店員に教えてもらった通り車を走らせた。
「お、アレじゃないん?」
神社らしきものが見えてきた。そこは結構山を上ったとこで、神社はちょうど頂上付近に建ってるって感じだった。
その辺り一帯がたぶんS峰なんだと思う。
オレ達は車を停め、神社に入ったが、
神社は思ったより奇麗でなんだか拍子抜けしてしまった。
482 ○○ 2005/10/27(木) 22:27:57 ID:vYtCijxl0
「なんか心霊スポットって感じでもないのー。」
「おぉ、これならW(近所の地名)の神社のがよっぽど怖いで。」
「まぁ、絵馬探してみようや。」
絵馬がかけてある掲示板みたいなものはすぐに見つかった。
幅2メートル弱くらいのものが2つならんでいた。
「右側の一番下の右から2~3番目、、、」
絵馬は掲示板全体に、ギッシリといった感じでかけられていたが、
店員が言った箇所に目をやるとちょっとおかしい。
「あった?」
「いや、ないけど、、、何コレ?」
右側の掲示板、一番下の一番右。絵馬をかける釘の根元に、なんだか郵便ポストのような、ロッカーのような、
いや、まるでビルの配線やらが入ってて、丸いとこを押して取手を出して開くやつみたいな(わかってもらえるか、、、)。
そんなものが取り付けられていて、蓋に開いた小さな穴を通って釘は打ち付けられていた。
その蓋の両端は耳みたいに取手が出してあって、それぞれ南京錠がしてあった。
483 ○○ 2005/10/27(木) 22:28:48 ID:vYtCijxl0
「、、、?」
「こん中に遺書が入っとるとか、、、?」
「、、、!そうじゃ、きっとそうじゃ!うぉ、これ怖いw」
中に目的のそれが入っていると確信して妙にテンションがあがったオレらは、
そのロッカーみたいな、箱をはずしてみようとなった。
箱は掲示板には釘で打ち付けられているだけだったので、
みんなで引っ張ればはずれそうな気がした。
最初に、外に掛かってる絵馬を全部はずして、
車からもってきたマイナスドライバーで箱の打ち付けられている部分を持ち上げて、
指が入るくらいの隙間になってからみんなで引っ張った。
バキッ!と音がして箱が外れた。
「うぉ!外れた!」
484 ○○ 2005/10/27(木) 22:29:39 ID:vYtCijxl0
中には明らかに他のものより古い、黒ずんだ絵馬が入っていた。
みんな最初は黙ってみていたが、オレは絵馬に顔を近づけよく見てみた。
何も書いてない、、、裏返してみると、字らしきものが書いてある、、、。
みんなも顔を近づけた。
「おい、火ぃ点けて。見えんわ。」
友達がライターの火で絵馬を灯す。
大好きなYさん
大好きなYさん
祈ったのに
離れて行った
裏切られた
許さない
485 ○○ 2005/10/27(木) 22:30:25 ID:vYtCijxl0
「!!!」
みんな絶句した、、これは怖い!
「うぉ~~!怖ぇ~~~~!!!!」
テンションが上がったオレは調子にのってオーバーリアクションをしてしまった。
手に持っていた絵馬がオレが振った手に引っかかってポーンと飛んで行った。
「あっ!」
カツンと音を立てて落ちる絵馬。
オレは急いで拾い、すぐにもとの場所にかけた。
「、、、。やべ。」
「、、、さすが○○ちゃん。」
「いや、ホンマにわざとじゃないんよ、ちょっと調子乗ってもうて、、、」
友達に言い訳をしてもしょうがないのだが、なんだか怖くてそんなことを言った。
「ヤバいんかね?」
「、、、。ま、迷信じゃろ。なんもないよ、こんなもん。」
ちょっとビビりはじめたオレに気を使ってくれる友達にちょっとホッとしたその瞬間、
486 ○○ 2005/10/27(木) 22:31:20 ID:vYtCijxl0
「こりゃ~~~~~~~~~~~!!!!!」
ものすごい怒鳴り声!
オレは腰を抜かしてそこにへたり込んでしまった。
「また冷やかしかと思ったら、まさか外しおるとは、、、こんの馬鹿もんがぁ!!!」
いきなり怒鳴ったオッサンが神社の人だってのはすぐにわかった。
いい歳こいて、こんなところ見つかるなんて情けない、、、。
警察呼ばれたらヤバイかも、、、。
「すんません、、、。」X3
みんな謝るフリして、逃げるタイミングを目くばせして計ってた。
するとオッサンは、
「外したか?」
「あ、、。あの、、、はい。」
「箱外したんは見りゃ分かるわ!!絵馬じゃ!!絵馬は外しとらんじゃろうのぉ!!!」
487 ○○ 2005/10/27(木) 22:31:59 ID:vYtCijxl0
「あの、、、ちょっとだけ、、、ほんのちょっと。すぐに戻しましたよ。」
「、、、。」
オッサンは押し黙って、フゥーッとため息をついた。
「だれなら?外したんは。」
「オレ、、、です、、。」
「ちょっと来い。」
「いや、ホンマにすいません。出来心で。箱も直しますから、、、。ごめんなさい、、、。」
「えぇけ~、来い言うとろうが!」
オッサンはいかにも神社の人って格好をしているのに、まくしたてる様子はまるでヤクザだった。
オレは仕方なく、言うがままついて行った。
その時オレを置いて逃げようかどうしようか迷っていた友達の様子がとても憎らしかった。
488 ○○ 2005/10/27(木) 22:32:37 ID:vYtCijxl0
結局友達2人もついてきて、オレらは神社の裏手の建物の中に連れてこられた。
「さてと。」
オッサンは正座しているオレの前にしゃなりと座って、じっとオレの目を見た。
顔が怖くて目をそらしたかったが、そらしてはいけないような気がしてオレもオッサンの目をじっと見ていた。
しばらくして、
「あんたぁ、男前じゃの。」
「は?」
「彼女はおるんかい。」
「え?、、、ええ、一応。」
「好きなんかいの。」
「???、、、、ええ、まぁ、、。」
訳のわからない質問に困惑したが、なんとなく心配になって聞き返した。
「あの、、、彼女がなんかまずいことにでもなるんですか?」
「ん~、もしかしたら調子壊すかもしれん。」
「えぇ?なんで?」
489 ○○ 2005/10/27(木) 22:33:16 ID:vYtCijxl0
「あんたぁ、あそこまでしたんならあの絵馬が何か知っとるんじゃろ?」
「えぇ、噂で、、、。」
「あの絵馬があそこにかかっとるうちはの、女も悪さはせん。決して安らかな訳ではないがの。外すととたんに悪さをするんじゃ。自殺したもんもおる。」
「、、、、。」
オレは絶句した。
「オレらもヤバいんですか?」
後ろの友達2人が聞くと、
「ちょっと外れたくらいなら、あんたらは大丈夫じゃ。でもあんたは、ちょっと悪さされるかもしれん。あんたぁ男前なけー、もしかすると女を狙われるかもしれん。」
「ちょ、ちょっと、どうすればいいんですか!?」
幽霊なんか信じない。そう信じていたオレは、もう完全に霊の存在を肯定していた。
490 ○○ 2005/10/27(木) 22:33:53 ID:vYtCijxl0
「あんたに影が見えん。女の所に飛んだのかもしれん。もしかしたらなんもないかもしれん。女が調子悪くなったら、病院行く前にここに来い。」
オッサンは棚からメモ用紙を取り出し、電話番号を書いてオレにくれた。
「ええか?次悪さしたら警察突き出すけんの?わったか!?」
「ハイ!」X3
いい返事をして頭を下げて帰ろうとするオレらを呼び止めて、オッサンは工具一式を持ってきた。
「直して行け。」
オレたちは外した箱の修理をやらされた。まぁ当然と言えば当然なんだが、、、。
捲れた板をボンドでひっつけている途中、目の前で揺れる古びた絵馬が怖くて、マジで帰りたかった。
絵馬に箱をそっと被せて、釘を打ち直した。
「こりゃ、どうにかせんとのぅ、、、。」
オッサンが後でつぶやいた。
491 ○○ 2005/10/27(木) 22:34:41 ID:vYtCijxl0
その日は、なんだか大変なことをしたと思ったが、なんか実感がなかった。
帰りの車の中でも、
「いや~○○ちゃんはやる思うたよ。さすがじゃーや。うぉ、怖ぇ~~、ポーン!じゃもんの~、オレできんわ。」
「いや、マジでびびってもうたよ。でも正直オッサンのが怖かったけど。」
「ホンマよ、なんやあれ、ヤクザか思うたーや。」
緊張感などまるでなく、解放された安堵で逆にハイテンションだった。
「☆ちゃん(オレの彼女)も大丈夫よ、あんなぁ脅かすために言うたんじゃーや。」
オレも、まぁないだろう、、、と思っていた。
帰りに行きによったコンビニによって、店員に絵馬を外したと報告して帰った。
店員はどうなったか聞いてきたが、何もなかったと言うと、なぁ~んだと言った感じで笑っていた。
492 ○○ 2005/10/27(木) 22:35:26 ID:vYtCijxl0
次の日、一応心配だったオレは彼女に電話をして体調を確認した。
そんなことを聞いてくるオレを彼女は不思議に思って、何かあったのかと聞いてきたが、元気そうだったので次の日の休日に会う約束をして電話を切った。
その晩、彼女から電話があった。
「○○ちゃん?ごめん明日会えんかも」
「え?どした?」
ドキッとした。
「なんか風邪ひいたみたい。熱あるし、寒気もする、、、。治ったらいいんじゃけど、なんかひどくなりそうで、、、。もしダメじゃったらごめんね。」
オレは急に怖くなった。
「そう、、、あったかくして、今日はもう寝ーや。」
電話を切ってオレはすぐにオッサンにもらったメモがちゃんとあるか確認した。
電話番号を携帯のメモリーに入れて、メモも財布に入れておいた。
もし明日彼女の体調がやばかったら電話をしよう、、、。
493 ○○ 2005/10/27(木) 22:36:15 ID:vYtCijxl0
次の日、昼前に起きて彼女に電話を入れてみた。
何回かかけたが、出ない。
しばらく待ってまたかけた。さらに待ってまたかけた。
全く電話にでない彼女が心配になって、バイクで彼女の家に行った。
彼女は実家暮らしで実家の番号は知らなかった。
彼女の家について、チャイムを押そうとしたその時、玄関がガチャリと開いて、彼女を背負ったお父さんが出てきた。
「☆っ!、、、!」
お父さんはオレを見て、
「☆の友達?今はちょっと、、体調が悪いんじゃ。病院につれて行くけー。」
背負われている彼女は意識があるのか、ないのかもよくわからなくて、口をぱくぱくさせてやっと呼吸をしているといった感じだった。
(これは電話をしないと、、、。)
494 ○○ 2005/10/27(木) 22:36:57 ID:vYtCijxl0
すぐに携帯を取り出して、神社の番号に電話をかけた。
玄関から半ベソのお母さんが出てきて、お父さんにかけより、
「あなた、、救急車呼ぼう!」
「車の方が早い!」
なんて言い争いをしていた。それを聞いてオレはパニックになりかけてた。
『T神社です。』
「あの、○○と申します、神主さんを、、、Jさん(オッサン)を、、、!」
『は、はぁ、少々お待ちを』
保留音が2~3秒流れすぐにオッサンが出た、
『もしもし、大丈夫か?』
「彼女が、、、☆が、、、、!!」
『落ち着け!すぐに来れるか!』
「はい、すぐに、、すぐに行くから、、、助けて下さい!」
『すぐに来い!車か?気をつけぇ。それと、これは携帯電話か?』
「そうです、、、」
『じゃあ切るな!このまま彼女の耳に押し当ててわしの声が聞こえるようにせぇ!』
「わ、わかりました。」
495 ○○ 2005/10/27(木) 22:37:50 ID:vYtCijxl0
携帯を自分の耳からはなしたオレに両親はすぐ詰め寄ってきた。
「お、おい、今の話はなんや!どういうことや!」
「車で話します!だから、、、車貸して下さい!スグに!」
気づくとオレはベソかいて涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃだった。
「病院に行くんじゃないんか?訳を話せ!」
「神社に行くんです!オレが幽霊にちょっかい出したんです!そのせいで彼女がこうなってるんです!お祓いしてもらうんじゃ!スグ行かんと!!」
オレはまくしたてた。
オレのすごいけんまくに、両親も押され気味で困惑していた。
さすがにいきなり幽霊とか言われりゃ困惑するだろうが、、、。
「何言ってるの、、、病院行かなきゃ、、、!!あなた!!」
迷うお父さんの背中から、☆がふと目を開けてオレを見て言った。
「Yさん、、、」
絵馬にあった名前、、、大好きなYさん、、、オレは血の気がひいた。
両親を殴り倒して車を奪ってでも神社に行かなきゃ。
「行こう。」
急にお父さんが娘を車にのせた。
496 ○○ 2005/10/27(木) 22:38:51 ID:vYtCijxl0
「君が運転してくれ。」
オレはすぐに車に乗り込んだ。
お母さんは、
「あなた!本気!?どういうこと!?」
と錯乱気味だ。
お母さんも乗り込んできて運転席のオレにつかみかかるが、オレは構うもんかと車を発車させた。
そしてもめている両親の怒号を打ち消すような大声で叫んだ。
「この携帯電話を☆の耳に当ててくれ!!」
キーキー騒ぎ立てる母親を静止して、お父さんは携帯電話を彼女の耳にあてた。
すると彼女は苦しみ出した様子で、お母さんはもう狂ったように、
「やめてー!やめてー!」
と叫んでいた。
「これは、なんや!なんでこんなことするんや!」
「神社の神主さんがそうしろって!オレもわかりません、、!」
車の中はしばらく騒々しかったが、やがてお母さんも落ち着いてきて(というか疲れてきたというか、、、)お父さんは詳細を把握しようとオレに経緯を訪ねた。
オレは神社のこと、女と絵馬のこと、そしてあの夜のことを話した。
両親は信じがたかったろうが、特に反論もせず、それからはしきりに彼女の名前を呼んで励ましていた。
497 ○○ 2005/10/27(木) 22:39:32 ID:vYtCijxl0
神社につくと、オレは彼女の耳から携帯をとり自分の耳にあてた、
電話からは、オッサンのお経のような、呪文のような、そんな声が聞こえる。
「つきました!」
『~~~、、!そうか!すぐに前お前が入った建物まで運べ!』
オレとお父さんで急いで彼女を神社の裏手の建物に運んだ。
オッサンはなんか、神々しい格好をしていて、頼もしかった。
「彼女をここに!」
言われた通り、彼女をオッサンの前の布がひかれた場所に寝かせる。
オッサンはお経のような、呪文のような、歌のような。そんな言葉を発しながら、彼女の身体に手をかざしたりしはじめた。
たまに普通の日本語っぽい言葉も聞こえた。
そのうち彼女に変化があった。
「うぅ~~、うぉおお~~。」
498 ○○ 2005/10/27(木) 22:40:13 ID:vYtCijxl0
うなり声があがったと思うと、彼女は目を見開いて
「またかー!またかー!おのれー!おのれー!」
とすごい形相で叫び出した。身体は反り返り、たまにドスンと床に落ち、すぐ反り返る。
お母さんはその様子を見て気を失ってしまった。
オレももう身体がありえないくらい震えていた。
「違う!違うぞ!この男は違うのだー!」
「ヒャーッ!ヒャーッ!Y~~~~~!Y~~~~~!」
卒倒寸前のオレをオッサンはいきなり捕まえて、
彼女の目の前に突き出した。
「よく見るがいい!おまえの愛した男か!違うであろう!」
すごい彼女の形相。いや、これはあの女の顔なのか。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、違うんです、ごめんなさい、、、」
オレは絵馬を外したことを心のそこから謝った。
499 ○○ 2005/10/27(木) 22:40:50 ID:vYtCijxl0
「~~~~~~~~~~~~~~~~。」
声にならない声で唸っている彼女、、、そのうちそれはすすり泣きのようになっていった。
オッサンはそれをみはからったように、彼女の横にそっとしゃがみこみ、今迄とはくらべものにならないくらい小さな声で語りかけていた。
オレは腰が抜けて放心状態だった。横では彼女のお父さんもへたり込んでいた。
やがて、彼女はだんだん落ち着いた様子になり、オッサンは最後の仕上げとでもいうように、立ち上がり、またお経のようなものを呼んで、オレらの前にしゃなりと正座した。
「もう、大丈夫です。」
それを聞いてオレは涙がボロボロ出た。声をあげて泣きじゃくってしまった。
お父さんとオッサンがいろいろ話をしていたようだが、よく聞いていない。
彼女は気を失ったままで、意識が戻ってからでいいので、病院に行くようにと言われたらしい。
オッサンは帰り際にオレに話した。
500 ○○@終わりです。 2005/10/27(木) 22:42:02 ID:vYtCijxl0
「正直あの程度でここまでつかれるとは思わんかった。あんたぁ、よっぼど気に入られたんじゃのぉ。もう祓ったから心配いらん。
が、もう彼女には会うな。未練はそうとうなもんじゃ。またあんたと一緒におればああなるかも知らん。もう会うな。お互いの為じゃ。気の毒じゃがそうせぇ。」
彼女のことは好きだったので、ショックだったが、やむを得ないと思った。
オッサンは続けて、
「できればの、、、引っ越せ。この土地を離れぇ。それが一番安全じゃ。もとはと言えばあんたの軽はずみな行動が原因じゃ、反省せぇ。」
引っ越しはちょっと、、、と思ったが、やっぱりやむを得ないと思った。学校もやめなきゃ、、、。
その後彼女の両親に送ってもらった。お父さんは、こうなったのは君のせいだが、助けてくれたのも君だから礼を言う、と言ってくれた。
お母さんはずっと黙ってた。
オレは両親にもう彼女とは別れ、自分もこの土地を後にし、戻らないと約束した。
お別れも言えないなんてつらくて涙が出た。
その後オレは学校をやめて地元に戻り就職した。
その頃つるんでいた友達(心霊スポットを一緒に回った友達2人も)もちょくちょく遊びに来てくれたが、
誰も彼女のことや、あの夜の後日談に触れるやつはいなかった。